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お化け屋敷その2


「あいたたたた………」


私がずり落ちたところにはマットがしかれてはいたが、着地の衝撃は完全には消すことは出来ていなかった。


とりあえずマットから這い出た私は周りを見渡す。


扉は正面に一つだけ、ここを通れということだろうか。


ドアを開けた先には昇りようの階段のみで、私は警戒心を解くことなく一歩一歩足を進める。


カツカツと靴の音だけが階段をこだまする。


まるで音が逆に私に一人と不安ということを教えてくるみたいだ。


(ほんとアイツの存在は……)


ふとアイツのことを思い浮かべ力なく笑う。


そういえばアイツはいつも友達に囲まれている気がする。


学校から出ても私と同じAクラスの風間姉妹と道場に通っているらしい。


きっと人を惹き付ける力があるのだろう。


(私は…………はっ!)


またブンブンと無理矢理考えてることを消した。


(いけないはまたいらぬ雑念を考えてしまった……よし!)


気合いを入れ直した私は微かに響く音に気付く。


「金属同士がぶつかる音だ、今度は音で驚かそうって魂胆ね、こんなんじゃ驚きもしないわ」


と私は気にせずに、階段の途中で止めていた足を再び動かして上りきる。


「……が………もんだ………」


音の間に微かに聞こえる言葉、これも演出なのだろうか?


どこかで聞いたことがあるのに……


(まあいっか、先を急ごう)


途中にあった扉を開け、私は先を急いだ。


まさに真上で何が起こっているかもしらずに……




―その真上では


キィン!


激しくぶつかり合う俺とナイフの男。


戦況はお互い譲らず、まさに拮抗していた。


「やるじゃねぇか、ここまでやる奴はなかなかいなかったぜ」


「当たり前だ、こちとらお前をお化け屋敷の仲間入りさせに来たんだからな」


「悪いが、こっちは一つの仕事で手が一杯なんだ、飛来刃!」


「おっとっと当たらなければ問題はない!」


攻撃を簡単にかわし、距離を詰められる。


あきらかに化け物染みた脚力だ、能力者に違いない。

(能力者なら話は早いな……やっかいな能力出される前に潰す!)


トポスに手を突っ込み、中からカードを二枚取り出した。


「さあ、行くぜ」


二枚の内一枚を男に投げ、男の前でカードは煙幕を上げた。


「ふん、同じ手はくわん!」


片足を軽くあげすぐに強く踏むと煙が吹き飛んでしまった。


が、そんなことはわかっていた。


この男に目眩ましが二度も使えないとわかっていたのだから、俺は一気に前に飛び出し、一気に距離を詰めていた。


構えは一日前に男に喰らわした牙城だった。



間合いタイミングも前よりは完璧だったはずなのに、牙城は男に当たらなかった。


男は左手で刀を右に弾く。


牙城は当たることなく通過し、俺は見事にバランスを崩してしまった。


「言った筈だ二度も同じ手はくわんと」


「しまっ……」


防ぐ術がない俺に、男は右手で持っていたナイフを深く心臓に突き刺した。


「さらばだ十 剣士よ………ぬ!」


男は何かの異変に気がついた。


「な、ナイフが抜けない!」


「へへへ、残念だったなー」


ナイフで心臓を刺したはずだったのに、俺はナイフ男の後ろに手を両手を回してそのままガッチリと掴みロック、両手を巻き込み相手の動きまでも封じている。


「バカな!どこにそんな力が!」


無理もない、ナイフが心臓にしっかりと刺さっている相手がこんな力を残っているのだ。


「後は頼んだぜ!」


「ああ、任せな!」


(な、何が起こってるんだ)


男が驚いたのも無理もない、今目の前でナイフが心臓に突き刺さっている俺が後ろに普通に立っているのだから。


「さあ終いだ、刹……」


「仕方がない……」


「刹牙!」


きっちり振り抜いた刹牙は見事に決まった。


――もう一人の俺に……


「ありゃ?」


「な、何で………」


もう一人の俺は体が小さな粒子になり、そのまま消えていき、床には一枚のカードが落ちた。


刀を納刀し床に落ちたカードを拾い、俺は振り向かないままため息を吐く。


「それがあんたの能力か?」


「さあて、どうだろうな?」


後ろにいるのはぴんぴんしていナイフ男がいた。


「逆に聞きたいのはこちらだ、今回の攻撃一体どうした?」


「やだね、あんたが教えないなら俺も教えないね」


お互いにすでに臨戦体制は解き、先ほどまでの何一つ入れない緊張感はない。


「ふぅ~~リベンジマッチなのに何だか気が抜けちまったな」


トポスを開き刀を収納し、男もそれを見てナイフをしまう。


それからビシッと指を俺に向け指す。


「次は必ず決着をつける、能力も惜しみ無く使わせてもらう」


そのまま後方へ走った男は暗闇に姿を飲まれるようにして消えていった。


後にギャーっ男性の悲鳴が聞こえたのは姿を消してから10秒も経たないうちだった。




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