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伏魔殿と恐れていた学園の魔王は、私だけを溺愛する婚約者だった

“伏魔殿”

王都にある学園は、いつの時代においても権力争いと派閥闘争の渦中にある場所の比喩として、そのように称されてきました。


故に、私としても受験を決める前には、それなりの覚悟は決めていた……つもりだったのですが。


「本当に大丈夫かしら??」


入学者名簿とにらめっこするうち、思わずそんな弱音が零れました。


隣国の恐れ知らずの第二王子。

聡明で美しい侯爵令嬢。

冷静沈着で切れ者とすでに名高い宰相嫡子。

近年まで下町で庶民として暮らしていたため、分け隔てない明るさを振りまく、男爵家の婚外子。


同じ学舎で短くない時を共有することとなる顔ぶれが、よりにもよって、波瀾万丈な予感しか抱かせない、そんな有名な面々だったからです……。


眉をハの字に下げた私を、


「嫌だったら、無理して通う必要なんてないんだよ」


ひとつ年上の婚約者アゼルが、いつものように優しく笑って慰めてくれました。



アゼルノクト・エルグレイヴ辺境伯令息。

母の身分が低く、城内で捨て置かれるように育った末姫である私が『最初で最後のわがまま』として父に婚約者にと望んだ相手。

そのせいで彼は、自分が本当に望む相手と共に生きる権利を、(よわい)七つにして永遠に奪われてしまったわけなのですが……。


それでなお、私をまるで本物のお姫様のように扱ってくれる、外見も中身も天使のような素晴らしい人です。



「勉強なら、これからも僕が見てあげるし……」


言いかけたアゼルの言葉を、


「ううん、大丈夫! 私、アゼルともっと一緒に過ごす時間が欲しいの。アゼルの学校が終わるのを、ただ待っているだけはもう嫌! だから、辛くても頑張るわ!!」


受験を志した当初の目的を思い出し、ぶんぶんと頭を振り慌てて遮れば


「……分かった。でも、辞めたくなったら、いつでも言って」


アゼルはいつものようにヤレヤレとばかりに苦笑しつつも、控えめながらも優し気な笑みを浮かべ、乱れてしまった私の髪を指先でそっと整えてくれたのでした。







******


「この私めに、貴女をエスコートする栄誉をお与えいただけませんか?」


入学式が終わり、それぞれが自分のクラスに向かう道すがら――

隣国の第二王子殿下からそんな大仰な言葉とは裏腹な、人懐っこそうな笑みと手を差し伸べられ、私は内心パニックに襲われました。


殿下のお名前は、確か……カエン様? とかおっしゃったでしょうか。


以前、アゼルから『ハニートラップ』なるものについて教わったことがありました。

万が一、他国の王侯貴族から言い寄られた場合には相手にせず、適当に受け流すようにとのことで。

頭では理解していましたし、いざという時も、きっと同じように振る舞えるつもりではいたのですが……。


初めて、アゼル以外の男性から差し伸べられた、手袋もしていない、剣だこだらけの、大きくていかにも男性らしいその手に、思わず戸惑い――


受け流すどころか、思わずその場に固まってしまった時でした。


「殿下は繊細なお方です。初対面の方のエスコートでは、きっと落ち着かれないでしょう。どうぞこちらへ。私がご案内いたします」


そう言って、宰相嫡子であるエルネストがパリッとした制服を着こなした腕を、こちらへと差し出しながら、まるでカエン様の視界を遮るかのように一歩前へ出ました。


アゼルは、自国の貴族については『捨て置け』と言うばかりで、具体的にどう振る舞えばよいのかまでは教えてくれませんでした。


こういう時はどうすればよいのかと内心パニックに陥り、固まったままの私の目の前で、カエン様とエルネストが、目からバチバチと見えない火花を散らしているのが分かります。


つい数年前まで、カエン様の生まれ育ったサンベルディア国と我が国は、交戦状態にありました。

そのため、互いに深く思うところがあるのでしょう。

そこまでは、分かるのですが……。


我が国よりも強い国力を誇るサンベルディアに敬意を払い、カエン様の手を取るべきか。

それとも、毅然とした態度でそれを断り、エルネストのエスコートを受けるべきか。

いっそ、三人で手を繋ぐ?

いや、さすがにそれは違いますよね??


パニックのあまり、何が正しいのか分からなくなり、


『いっそ、カエン様のエスコートをエルネストにお願いすれば、誰も恥ずかしい思いをせず、すべて解決なのでは!?』


などという血迷った事を危うく提案しかけた、まさにその時でした。


「入学おめでとう! おいで、僕が送る」


生徒会の仕事を終えたアゼルが、息を切らしながら駆け寄ってきてくれたので、私は思わず彼の胸の中に飛び込んでしまったのでした。



ゆくゆく国政に深く関わっていく立場にある二人は、私のそんな年齢にそぐわない幼さを目の当たりにし、『ハニートラップにも値しない』と判断したのでしょう。

暫く後で私が教室に戻った際に再開した二人は、一瞬何か言いかけたものの、すぐさま口を噤み……。


以降二度と私に話しかけて来ることはなかったのでした。





始業式翌日――

教室では早速、生粋の貴族令嬢であるホルンハイム伯爵令嬢と、下町育ちのブライトン男爵令嬢が言い争っていました。


密かに耳をそばだてて聞いたところによると、カエン様に対するブライトン男爵令嬢の物言いや距離の近さがあまりにも不敬だとして、ホルンハイム伯爵令嬢が注意したのに対し、ブライトン男爵令嬢が


「平等を謳う学園で、そのような指摘は無粋です!」


と毅然と言い返したのを機に、大口論へと発展した模様。


「リディア様は、淑女としての振る舞いについて、どのようにお考えですか?!」

「そんなの、大きなお世話ですよね!?」


一応は王族というカーストの頂点に立つ立場にあるため、二人から同時に詰め寄られ、意見を求められましたが……。

城の裏庭に捨て置かれ、アゼル以外の人間との交流もほとんどないまま育った私に、

うまくその場を収める言葉など、言えるはずもなく


「ブライトン嬢の言うように、爵位を理由に皆から距離を取られ友人に恵まれないのは、寂しいことだと思います。ただ、親しくすることと、適切な距離感を測り間違えるのは違う事だと、ブライトン男爵令嬢を友人として心配するホルンハイム嬢の気持ちもまた、理解出来ます」


焦ったあまり、そんな実にどっちつかずな事を言ってしまいました。


失望を思わせる沈黙がその場を覆い、いたたまれなくなった、その時でした。


「リディ、ちょっと手伝ってくれないか?」


そう言いながらアゼルが現れ、上手い事私をその場から連れ出してくれました。



至らないことばかりの自分を恥じてうつむく私に、


「最初にも言ったけど、リディが無理してこの学園に通ってまで、学ぶべきことなんて無いんじゃないかな?」


そう言って、アゼルだけは変わらず優しい慰めをくれましたが……。



アゼルに付き添われ、恐る恐る再び教室へ戻った私に声をかけてくる女生徒は――

やはり、それ以降ひとりもなかったのでした。





気づまり故、実に長く感じられた午前中の授業が何とか終わり――


昼食を取ろうと食堂へ向かいましたが、そこではすでに、第二王子派、宰相令息派、貴族令嬢派、平民派と、派閥ごとに席がきれいに分かれていました。

そして当然、どこにも属せなかった私と目を合わせてくれる人はおらず……。

たくさんの椅子が並んでいるにもかかわらず、私の席など一つも無いように見えました。


仕方がないので食事を諦めかけた、その時です。

バスケットを手にしたアゼルが現れ、


「生徒会室で、一緒に食べよう」


そう言って、誰もいない、木漏れ日の落ちる静かな教室へと私を誘ってくれました。


アゼル曰く、生徒会室で真面目に仕事をしているのは自分だけのため、他の誰も滅多にこの教室には寄りつかないのだそうで。

だから、部外者だからと遠慮する必要はないとのこと。


その言葉は、独りぼっちの私にとっては本当に本当にありがたく。


それ以降、私にとって悲しい時間になる筈だった昼休みは、アゼルと二人きりで過ごせる、大好きな時間の一つとなったのでした。







******


最上級生である三年生の卒業が間近に迫った、ある日の午後のことでした。


「アゼル、貴方にも友人たちとの付き合いがあるでしょうに。勉強を見るという名目で放課後を拘束されただけでなく、昼休みにまで殿下のお()りだなんて……本当にお気の毒ね」


「ラングレイ嬢には、関係ないことでしょう」


生徒会室の中から、そんな二人のやりとりが聞こえてきて、私は思わず、ドアノブに触れかけていた手を引っ込めました。


「関係なくなんてないわ! 私、殿下の我儘に振り回されてばかりの貴方を見ていると、辛いの……。貴方が殿下を大切にするのは、王命に逆らえないからでしょう? 愛しているなんて嘘よ。だって……だって、貴方も今でも……私の事だけを、思ってくださっているのでしょう?」


先の会話に続いた、考えもしたことなかった、そんな会話内容を成すすべなく聞きながら、


『美しく、聡明で、生徒会長として皆の尊敬を集めるラングレイ侯爵令嬢と、一つ下の学年のアゼルが書記として彼女に寄り添うようにして並び立つ姿は、まるで一幅の絵画のように美しかったな……』


と、そんな事を思った時でした。


「殿下? どうされました?? お顔が真っ青ですよ!?」


たまたま通りかかったホルンハイム伯爵令嬢とブライトン男爵令嬢が、パッと駆け寄り、私の両脇を支えるようにして校内の救護室まで連れて行ってくれました。





「軽い貧血でしょう。しばらくはこちらで安静になさってください」


校医を務める先生からそのような指示を受けた私を置いていくことなく、その場に留まってくれたホルンハイム伯爵令嬢に思わず、ラングレイ侯爵令嬢の事を尋ねれば……。


彼女は酷く驚いたように目を見開いた後、どこか気まずそうに目を泳がせた後


「……詳しい話は存じません」


そう言っただけで、詳しい事は教えてはくれませんでした。


彼女の表情から察するに、彼女の言葉が事実と異なる事は明らかなのに。

それ以上ホルンハイム伯爵令嬢の立場を考えると下手に追及することも出来ず……。


「もう大丈夫ですから。二人は、先に教室へ戻っていてください」


と、無理に笑って二人に告げた、その時でした。


ブライトン男爵令嬢が、


「本来ならエルグレイヴ様は、ラングレイ侯爵家に婿入りし、侯爵家を継ぐはずだったそうです」


と、正に私が知りたかった、でも出来れば一生知りたくなかったアゼルの過去を、実にあっけなく教えてくれました。



「だから、貴女はどうして、いつもいつもそんなデリカシーのないことばかり言うのよ?!」


「本当の友人のやるべきことは、優しい嘘をつき続ける事ではないでしょう!!」


新学期の言い争いをきっかけに、思いのほか仲良くなったらしい二人が、いつものように真向から意見を戦わせるのを耳にしながら……。

私は再び目の前が暗くなっていくのを感じていました。





落ちた夢の中で、これまでのアゼルの言葉を思い出します。


『無理して通う必要なんてないんだよ』

『辞めたくなったら、いつでも言って』

『リディが無理してこの学園に通ってまで、学ぶべき事なんて無いんじゃないかな?』


優しいアゼルが口にした、それらの言葉の意味を、私はこれまで深く考える事無く、言葉通りに受け取ってきましたが……。


もしそこに、アゼルに許された、精一杯の拒絶の意図が隠されていたのだとしたら?





一週間ほど学校を休み、寝込むようにして長いこと一人で悩みに悩んだ末にようやく――


『巷ではやっているように卒業パーティーで一方的な婚約破棄をアゼルに突きつけ、私が悪者になることで、彼に自由を返してあげる』


私はその覚悟を――本当にようやく――決めることが出来たのでした。





覚悟を決めた私が、共犯者として選んだ相手。

それは、初日に手を差し伸べられたきり、この一年間ずっと没交渉だったカエン様でした。


「お願いします。私の真実の愛の相手になってください!」


「えっ?? 真実の、愛……はぁ???!」


驚くカエン様に、私は洗いざらい事情を打ち明けました。


『なぜ、宰相令息のエルネスト様ではなく、オレを選んだ?』


そう問われたので、エルネスト様にはすでに婚約者候補が存在するため迷惑をかけられず。

迷惑を被る相手のいないカエン様にこそ、助力を乞うことにしたのだと説明しました。

するとカエン様は、実につまらなさそうな表情を浮かべた後で、


「オレへの見返りは?」


それでもなお、王族らしく強かに交渉材料を問いかけていらっしゃいました。


「私が差し上げられるものでしたら、何でも」



報酬としては、不十分だったに違いありません。

しかし、ラングレイ男爵令嬢が言っていたように、情に厚い彼は、落ち込む私を捨て置くことが、どうしてもできなかったのでしょう。


カエン様は、そんな私の答えを聞いた後、最後に覚悟を決めるように小さく喉を鳴らした後、


「……いいだろう」


そう言って。

初めて出会った時と同じように、けれどその時よりも剣だこの増えた大きな手を、私に向け、再びまっすぐ伸べてくださったのでした。


しかし――





「ラングレイ侯爵令嬢……どうか、私の妻に!」


アゼルに婚約破棄を告げるよりも先に、卒業パーティーで私が目にすることとなったもの。

それは、真っ青な顔のまま跪き、ラングレイ侯爵令嬢にプロポーズするカエン様と、同じく顔色を失い小刻みに震えながら、激しく縦に首を振るラングレイ侯爵令嬢の姿でした。


驚いて周囲を見渡せば


「オメデトウゴザイマス……」

「スバラシイデスワ……」


真っ白な顔で、その頬を引きつらせながら拍手を送るエルネスト宰相令息と。

そしてそれに倣い、焦ったように拍手を送る、顔色のすぐれない生徒および教職員一同の姿が目に入ります。



何が起きているのか理解できない私に向かい――

いつも学園では隠していたはずの、本来の人のそれとは異なる赤い瞳と、背中から生えた漆黒の天使の翼を露わにしたアゼルが暗く嗤って私の耳元にその薄い唇を寄せると、お腹に響くような低い声で言いました。


「婚約破棄して、逃げるつもりだったんだろうが、残念だったな。リディは生涯、僕だけのものだ」


「どうして?! だって……だってアゼルは、ラングレイ侯爵令嬢と愛し合って……」


あの日立ち聞きしてしまった会話を思い出し、思わず溢れかけた涙をこらえる為、割すかに震える声で、私がアゼルにそう問いかけた時でした。


「違います!!! 愛し合っているなんて、滅相もない!!!!! 私の一方的な気の迷いでしたぁ!!!!!」


私が言葉を最後まで紡ぐよりも、アゼル自身が否定するよりも早く。

ラングレイ侯爵令嬢がカエン様の手をギュッと強く握りながら、令嬢らしからぬ、まるで騎士のように腹の底から振り絞った全力野声でもって、私の(彼女の?)思い違い(??)を否定しました。


「そう、なの??」


考えもしなかった展開に、どうするのが良いのか分からなくなって。

入学当初と同じ様に思わずその場に固まれば。


そんな私に向かい――

アゼルがこれまでと異なり、皆が見とれているであろうルビーのような赤い瞳と、美しい漆黒の翼を周囲に対しても惜しみなく露わにしたまま、しかしまたいつものように、私を甘やかす為だけにヤレヤレとばかりに優しく笑って言います。


そんな私に向かって、アゼルは――

これまでとは異なり、皆が見とれているであろうルビーのような赤い瞳と、美しい漆黒の翼を、周囲に対し惜しみなく露わにしたまま。

しかしそれでもいつものように、私を甘やかすためだけに、やれやれとでも言いたげに、優しく微笑んで言いました。


「これ以上、こんなくだらない茶番に付き合うのは時間の無駄だ。さぁ、一緒に帰ろう?」



これは……

私が見ている、都合の良い夢なのでしょうか?


もう、二度とその笑みが私に向けられる事はないのだと、そう、覚悟を決めたはずだったのに。


またアゼルが。

私に対し優しく笑ってくれるから……。


アゼルに自由を返す覚悟を決めた筈だったはずだったのに。

それがもうどうにも出来なくなった私は、溢れる涙を止められぬまま、またしても自ら彼の腕の中に飛び込んだのでした。



「私が……私の我儘が貴方の自由を奪ってしまったのに……。だから、私は本当は、貴方に自由を返さなければいけないのに……」


上手く思いを言葉に出来ない私の事を、安心させるようにギュッと強く抱きしめてくれた後、泣き止めない私の髪を優しく指で梳きでながら、アゼルが言います。


「リディ、君が僕の自由を奪っただなんてとんでも無い。僕はそんな風に思った事なんて、一度も無いよ。僕はリディに選んでもらったことが嬉しくて、自分の意思で、ずっとリディの傍にいたいと願ってきた」


「本当に? 本当に、私なんかが、これからもアゼルの傍にいていいの?」


緊張の糸が解け、零れる涙を止められぬまま、そんな想いを口にした私に、


「君()いいんじゃなくて、君()いいんだ。君が僕を婚約者に臨んでくれた時から、リディ、君以外に、欲しいものなんて何もない。君が望むなら、命だってあげる。だから……君の全ては他の誰でもなく、僕に……僕だけにくれないか?」


これまでと同じ優し気な笑みの形に歪めた瞳の奥に、しかしこれまでとは異なり、どうしようもない切なさを滲ませながら、アゼルがそんな言葉をくれました。





******


一年後――


「えっ? 私もアゼルと一緒に今年で学園を退学するの??」


「卒業にあたり、僕が父から受け継ぐことになった伯爵領はここから遠いからね。リディ一人をここに残していくのは心配だ。だから僕と一緒に来て欲しい。……嫌かい?」


そんなアゼルの提案に、少し迷った末、小さく頷きました。

元より私が学園に通いたいと思ったのは、アゼルともっと一緒にいたいと思ったからで。

勉強だけなら家庭教師を雇えば事足りるのです。


でも……。


「何か、辞めたくない理由があるの?」


飲み込もうとした想いを、アゼルに見透かされた私は


「実は……」


と、少し恥ずかしく思いながらも、秘めていた思いを彼に打ち明ける事に決めました。


この学園の奥には三年生だけが授業で訪れることを許されている、古い礼拝堂があり、そこで祈れば、生涯、伴侶と離れることなく過ごせるというジンクスがあります。


――だからずっと、その授業を受けたかったのだと、そう言えば……


「なんだ、そんなことか」


私の話を聞いたアゼルは溜息をつき、またやれやれといった様子で、癖なのでしょう、優しく目を細めました。

そんなアゼルの態度をみて、未だ自分の中に残る子供っぽさを、恥ずかしく思った翌日の、授業終わりの事でした。



「行こうか」


そういってアゼルが私に、私が昨日行きたいと願った古い礼拝堂とそこへ続く門の、鍵束を見せました。


「どうして? 再度、結界を張り直すのも、魔物除けの手間もかかって大変だから、年に一度の授業でしか、学園長は鍵の貸し出しを許可しないのでしょう??」


「大変な思いをする人間がいるだけで。別に、出来ないわけじゃないんだよ」


昨年の卒業パーティー以降、もはや、内に秘めていた腹黒さを私の前でも隠すのをやめたアゼルが、黒い笑みを浮かべながら、そんなとんでもないことサラッと言ってのけます。


「他に思い残したことはない? リディの願いなら何だって叶えてみせるよ。君を虐める上級生がいるなら、今からでもみんな自主退学にさせてあげるし、君を貶める教師がいるなら自ら二度とこの学園の門をくぐらないようしてあげる」


「とんでもない! みんなとっても良くしてくれるわ!! それに、万が一、何か誤解(・・)があったとしても、もう辞めるのだから関係ないし!!!」


「あぁ、そうだった。辞めるのだから、確かにもう関係がないことだね」



「僕のリディは、本当に優しいな」


と実に意味ありげに呟いて。

アゼルがまた、その目をまた一見優しげな、しかし本当のところは、実に蠱惑的な弧の形に眇めてみせました。



アゼルのそんな黒い笑みを見た時です。

私の胸の中を、ふとある思いが過りました。


入学前に私が恐れていた、この陰謀渦巻く“伏魔殿”の主である魔王の正体、それはもしかして――

他ならぬ、私の婚約者だったのではないのか、と。









【Side アゼル】


辺境伯家は、かつて魔王を討ち、世界に平和をもたらした勇者の末裔だ。

しかし、魔王討伐の際にその身に呪いを受けたため、その子孫には時折、“魔王”の力と容姿を引き継ぐ者が生まれるようになってしまった。


第四王子の遊び相手として城を訪れていた他の子供達から悪魔と罵られ、感情の暴発と共に赤い瞳と漆黒の翼の発露を止められなくなった僕が、姿を隠そうと迷い込んだ先――

それがリディの暮らす美しい箱庭だった。



城の中で大事に大事に囲われ育ったせいで、可哀そうに。

彼女は常識というものを誰からも教えてもらえなかったのだろう。


彼女は、庭に置かれていた色を持たない天使の石造と、醜い僕の翼が同じものだと誤解したまま


「きれい」


と僕の事を称して、母からさえも疎まれて育った僕を、自らの婚約者にと望んでくれたから。

以降、僕の世界の全ては、そんな彼女が綺麗と称する天使の像なんかよりも何倍も美しいリディになった。



15を過ぎてなお、皆が忌諱する本来の僕の赤い瞳と黒い翼を、彼女は変わらず殊のほか気に入っているようで。

二人きりになるたび、人の擬態を解き本来の姿になるよう無邪気に強請ってくる。


僕としてはずっとこうして城の中に、無知ゆえの無垢という檻の中に、彼女を閉じ込めておきたかったのだけれど……。


しかし、さすがに彼女を哀れに思った彼女の父王が彼女を学園へ入れることを決めてしまったから。

僕は、使えそうな者は懐柔し、逆らう者は排斥し、教師陣の弱みを握り、僕が黒と言えば白いものすら黒だと通るように、学園を牛耳る事に決めた。


それらの努力は一重に、彼女の父王が支配する城に代わり、“伏魔殿”と呼ばれるこの学園を、成長と共に魔王と称されるに相応しい力を得た僕のための、新たな城へと作り替え、そこに彼女を囲い直すために他ならない。





彼女を僕から引き離しうる、全ての要因を裏から手をまわし排除して。


生徒会室とは名ばかりの、人払いされた本来は誰も連れ込むことを許されない僕の私室で、腹の色と同じ真っ黒な翼の中へ彼女を囲い込みながら――


あぁ、これで、リディは永遠に僕から逃げられないと、倒錯的な多幸感に目を細めていた、まさにそんな時期だった。


「お願いします。私の真実の愛の相手になってください!」


リディが、僕ではない別の男に、そんなとんでもないことを口にしているのを聞いてしまったから。

その瞬間、僕はリディの前でも“優しい人間”のふりを続けるのは、もうやめることにした。





擬態をやめた僕の、先代の魔王そのものの姿を見て、周囲から悲鳴が上がった。

腰を抜かして這うようにして逃げて行った男子生徒もいれば、生まれたばかりの僕を見て母がそうしたように、卒倒した女生徒もすくなくなかった。


あぁ、こんな周囲の様子を見て、ようやくリディも気づいただろう。

自分が“綺麗”だと言っていた僕のこの姿が、実際にはどれほど醜悪なものだったかということに。


だが、もう遅い。

この学園で、後ろ盾という名の“共犯者”を大量に得た今となっては、彼女の父王でさえ僕からリディを取り返せない。


あぁ、僕なんかに魅入られたばかりに可哀そうに。

どれだけオレから逃れようと藻掻こうと、リディは一生僕の“檻”の中だ。


彼女に恨まれようと関係ない。

だって、彼女を失って生きていくこと等、僕には出来ないのだから。



と、そんな、悲壮な覚悟をまで決めたのに……。


「本当に……本当に、私でいいの?」


リディがまた、そんな、思いがけない事を言うから。


『残念だったな、諦めろ』


そんなふうに勝手にリディの拒絶的な返しを予想して用意していた、実際の彼女の言葉とは噛み合わない言葉は、行き場を失って、音になる前に消えて行った。


そして、その代わり――


「君()いいんじゃなくて、君()いいんだ。君が僕を婚約者に臨んでくれた時から、リディ、君以外に、欲しいものなんて何もない。君が望むなら、命だってあげる。だから……君の全ては他の誰でもなく、僕に……僕だけにくれないか?」


ずっと言いたかった、そんな言葉を止める事が、どうしても出来なくなってしまった。





「本気か?! 相手は本物の魔王だぞ?!」

「殿下は騙されてましてよ!! 目を覚まして下さい!!!」


そんな阿鼻叫喚には、誰よりもオレが共感していたので。

少しの間咎めもせず聞き流していたが……。


いい加減、煩わしくなったので、一睨みして黙らせることにした。








「伯爵領はここから遠いからね。リディ一人をここに残していくのは心配だ。だから僕と一緒に来て欲しい」


すぐに良い返事がもらえるものと思ったのに。

その問いかけに対し、リディが返事を濁した。


次の瞬間、あぁやっぱりリディを外に出すんじゃなかったと胸の奥が黒く冷たくなっていくのを感じる。


危うく、学園自体が消滅すれば彼女も諦めるだろうかと、そんな事を思いかけたときだ。


予想もしなかった、彼女の愛らしすぎる真意を知ったので、僕は僕の権力をもって、そんな可愛すぎる我儘を聞いてあげることにした。





「どうか、アゼルと生涯離れることなく暮らせますように」


そんなリディの願いが、泉の底に沈んでいくのを、そして水面に映る悪魔そのものと言った容姿の自分を眺めながら、願うべきは逆だろうと一人心の中で思う。


「アゼルはお願いしないの?」


リディにそう聞かれ、


「いいの?」


そう尋ねれば


「もちろん!」


そう返されたので


「リディと生涯一緒にいられますように」


そう、願いを口にした。



泉の奥に、重く重く沈んでいく、その言葉をぼんやり見やりながら――


『まるで呪いだな』


と、そういつもの様に内心で自嘲しようとした時だった。


リディが感動した様子で綺麗な涙をポロポロ零しながら、僕のその言葉を心から喜んでくれたから……

僕はもうそれ以上、その純粋な二人の幸福な未来への願いを、かつて傷ついたことですっかりひねくれてしまった幼い感情で汚すのは、止める事にした。





「ねえ、退学する前に、クララとエミリーを生徒会室の昼食に招いてもいいかしら? お友達とお昼を一緒に過ごすというのも、私の夢だったの!」


翌日、リディにそう強請られ、


『他に思い残したことはない? リディの願いなら何だって叶えてみせるよ』


そんな事を言ってしまった手前嫌とも言えず、分かったと了承してしまった。


クララというのは、クラリッサ・ホルンハイム伯爵令嬢のことで、エミリーというのはエミリア・ブライトン男爵令嬢のことなのだろう。



リディを誰にも盗られたくなくて、リディに近づこうとするものは誰彼構わず排除してきたつもりだったが、リディはそれでもいろんな人を惹きつけ引き寄せて止まない。


僕の事を、皆は伏魔殿の魔王と称するが、しかしよく考えてみたら……。


いろんな人を惹きつけ、権力者と目されている僕にさえも自分から何でも言う事を聞いてしまう彼女こそ、本当のこの伏魔殿の魔王なのかもしれない。



年頃の女子三人の姦しくも結末の無いおしゃべりに鼓膜をやられ、疲れ切った僕は、横目で窓の外に繋がる青い空を見るとはなしに見ながら。

現実逃避的にふと、そんな事を思うのだった。









【Side カエン】


自国での政権争いに敗れ――

逃げるように辿り着いた隣国で、オレが最初に目にしたもの。


それは、くさくさしてすさんでいたオレの心を、一瞬で虜にしてしまう銀色の髪を持つ、儚げで美しい第七王女だった。


どうしてこれまで面識がなかったのかと、乳兄弟である従者に尋ねれば。

彼女の亡き母は本来王妃になれるような身分ではなかったため、外交の場には一度も出ることがなく、また不器用な王の寵愛も格別で、世間から玉の如く半ば隠されるように育てられたのだという。


それを聞いて――

賢王と呼ばれる陛下がそのような愚行に走ったくらいだ。

亡くなった彼女の母もまた、どうしようもないくらい美しい人だったに違いないと、妙な納得を覚えた。





「この私めに、貴女をエスコートする栄誉をお与えいただけませんか?」


大仰にそう言って。

高鳴る胸を抑えるため、少しふざけるように彼女に向かい手を伸ばす。


すると、戸惑ったように言葉を飲み込む彼女のその無垢さに、思わず生唾を飲み込んだ自分の喉が、小さく鳴るのが分かった。


あぁ、自分がこの国へ逃げ込むことになったのにも、意味があったのだなと、その瞬間は本気で運命を感じたのだが……

その幻想はすぐに砕かれた。





「どうぞ、私の婚約者への干渉はお控えください」


どこの誰とも知れぬ一つ上学年の男子生徒が、当然のようにオレの前へ立ちはだかったからだ。


「第二王子の地位は、失うには惜しいでしょう?」


気づけば、逃げ道を塞ぐようにぐるりと複数の生徒がオレを囲んでいた。

さて、どうしてやろうかと思った時だ。

オレを囲う生徒の中に、生涯決して自分を裏切ることは無いだろうと思っていた乳兄弟の姿を見つけ


『あぁ、これが耳にしていた“伏魔殿”の意味か』


そう観念し、白旗を上げた。



虫も殺さぬような顔をして。

第七王女殿下の婚約者殿は、実に食えない男のようだ。







ある日のことだった――

クラスメイトの男爵令嬢であるエミリーが、あちこちを浄化して歩いているのに気がついた。


聞けば、聖女である彼女には、この学園にまき散らされた強い魔力の残滓が見えるらしい。

放っておいても害が出るほどではないとのことだが、こちらを絡め獲ろうとする蜘蛛の巣のように、生理的に気持ちの悪いものだから浄化して回っているのだという。


オレの生まれ育った国でも、黒魔術などの禁術に手を出す者は、決して少なくなかった。

金が欲しい、権力が欲しい、自分ではない誰かに向けられた愛が欲しい――理由は様々だが、その欲求は実に原始的で、それ故に切実だ。





もし、自分にも黒魔術の才があったら、どうしただろう……。


遠くを歩く第七王女、リディアの姿を眺めながら。

もし自分に黒魔術の際があったらきっと、彼女を攫って逃げ切るだけの力が欲しいと魔王に願うのだろうなと、そんな事を考えてしまった、そのときだった。


リディアが、まっすぐ自分へ向かって歩いてきている事に気が付いて、思わず心臓が跳ねた。



「お願いします。私の真実の愛の相手になってください!」


リディアから突然そんなことを言われ、


「はぁ???!」


嬉しさよりも驚きが勝って、思わず変な声を出してしまった。


少し冷静になろうと、相手役を受けることでオレが得られる見返りは何かと尋ねれば、


「私が持つものでしたら全て」


そんな、やっぱりとんでもない事を言われ。

衝動的に彼女の美しい肢体に向けて伸ばしかけた手を、掌に爪を立ててなんとか抑え込んだ。



「……いいだろう」


そう返す前に、リディを連れた逃走に失敗した挙句、湖に浮かぶ自分の水死体を僅かでも想像しなかったと言えば嘘になるが……。

それ以上にリディのその誘惑は、あまりに甘美すぎた。


思わず上ずってしまった自分の了承の声を思い出し、決まらないなぁと苦笑しながら。

一度彼女と別れ、浮かれ気分のまま自室へ戻ろうと角を曲がった――まさにその時だった。


僕の目の前に、真っ黒な翼を広げ満月を背に空へ浮かぶ“魔王”が姿を現した。


血の色をした瞳に見下ろされた瞬間、忌避感からくる本能的な恐怖がどうしようもなく全身を貫き、身が竦み、言いつけられるまま首を縦に振った。





隣国の学園は伏魔殿だとは聞いていたが……。

まさか、本当に“魔王”がいるなんて聞いていなかった。


そう内心で悪態をつきながら、魔王に脅迫されるまま


「ラングレイ侯爵令嬢……どうか私の妻に」


目の前の相手に求婚すれば、こちらの返事を聞く前に彼女が首がもげんばかりの勢いで首を縦に振った。

恐らくあちらも、魔王に脅されているのだろう。



セシリア・ラングレイ侯爵令嬢。

野心家で計算高く、その清廉な見た目とは裏腹に毒花と陰で揶揄される彼女は――

恥ずかしながらオレの初恋相手だ。


この学園の影の支配者でもある魔王殿は、飴と鞭を使い分け、オレまでもを配下に引き込むつもりなのだろうか。


伏魔殿はオレが思う以上に恐ろしいところだったらしい。









【Side セシリア】


転生したら、悪役令嬢物の小説のヒロインの侯爵令嬢だった。

多分、多くの人にはこれで伝わると思うし、問題は『何故・どうして』ではないから、説明は一端これで勘弁してほしい。


自分の中の異世界恋愛ブームも終わり、最近はモキュメント・ホラーばかり読んでいた筈なのに、どうしてこうなったし?

いや、まぁホラーの世界に転生するより全然良かったけどさ。



ちなみにヒーローはおきまりの執着、もとい! 愛の重い、もとい! 一途な隣国の第二王子様。


顔がタイプでないかって聞かれると……まぁ別にそういう訳では決してないんだけどね?

顔がイイとうアドバンテージを吹き飛ばす程、一人を愛すると覚悟を決めた後の、カエン君の愛は重いのよ。


どんぐらい思いかっていうと、普通の人の愛の重さが、UNI●LOの最新の薄手のダウンコートくらいだとしたら、カエン君の愛は、おばあちゃんの箪笥の奥に眠ってた年代物のこれでもかって湿気を吸い込んだウールのコートくらい。


おしゃれは我慢って割り切れる人なら耐えられるのかもしれないし、一途なのは素敵な事なのかもしれないけど……。

ちゃらんぽらんで軽率な私には多分、肩こって無理だわ。



そこで私は安易に考えました☆

この小説でモブ故最後まで平和に生き抜いていた辺境伯次男(顔も穏やかな性格も私のタイプの元婚約者候補)と学園卒業後早々に結婚して、平凡な幸せを手に入れよう! って。


令嬢仲間(取り巻きちゃん達)に色々聞いてみたところ、残念ながらモブ男さんには既に別の婚約者がいるものの、それは相手の我儘で決まったもので、モブ男さん側からの愛は無く。

むしろモブ男さんは、昔から私の事が好きなのではいかとのこと。


やったね、両想い(笑)じゃん☆





そう思ったのも束の間――


人の恋路を邪魔する奴は、馬にけられてシンジまえ。


そんな先人の英知の詰まったありがたい言葉を知っていながら、華麗にスルーしようとしたのが悪かったんでしょうね……。


実は正体が魔王だったモブ男さんの逆鱗に触れ、Ded or ヤンデレ男子こと、私が転生した小説のヒーローである第二王子との結婚を突きつけられ――

泣く泣く人前で、ヤンデレ第二王子の求婚を受ける運びとなってしまいましたとさ。



モブがまぢもんの魔王とか、マジ誰得なん?



まぁ、こっちの世界でも別に離婚が認められない訳ではないみたいだし?

婚約破棄も日常茶飯事のようだし??

私はこれからも、平凡な幸せを諦めず追い求めていくつもり。


だってほら、有名なロボットマンガの主人公も言ってたでしょ。


『諦めたらそこで戦闘終了だから、逃げちゃダメだ』


って。


よし!

円満な婚約破棄目指してがんば……

おっと? 誰か来たようだ??


沢山あるお話の中見つけて、そして最後まで読んで下さりありがとうございました。

いつも応援してくださり本当にありがとうございます。

もしよろしければ忘年会でのハイタッチ代わりに、ブックマークや評価をポチっと押していただけたりなんかすると、とっても喜びます。



☆お知らせ☆

本日発売となりました

『お飾り妻は冷酷旦那様と離縁したい! ~実は溺愛されていたなんて知りません~ アンソロジーコミック』

https://www.amazon.co.jp/dp/4758089035?ref_=cm_sw_r_ffobk_cp_ud_dp_9A69A2D5YFYRZBGYCMWA&bestFormat=true


こちらの、2作目として拙作

『うっかり異世界召喚された結果、責任を取る形でツンで過保護な騎士様のお飾りの妻になりました』

https://syosetu.com/usernovelmanage/top/ncode/1883434/

を収録していただいております。


私のX(旧twitte)から、冒頭4ページ試し読みいただけますので、そちらだけでも見ていただけるととっても幸せです。

https://x.com/tea_narou


リンクは活動報告にも載せておりますので、除夜の鐘つきの代わりに『ポチっとな』していただければとっても嬉しいです。


それでは皆様、どうぞ良いお年を☆

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