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軌道エレベーターの管理人たち〜地上コンシェルジュは、宇宙(そら)の英雄に恋をする  作者: ざつ


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第34話:二人で過ごす休日(後編)

 旅館に到着した二人は、早速、部屋に案内された。


 窓の外には、壮大な山々と、遠くには煌々と輝く軌道エレベーターが、まるで巨大な光の柱のように見えた。ユウキは、窓に駆け寄り、その光景を食い入るように見つめている。


「すごいね、アキくん…!ここから見ると、エレベーターって、すごく雄大で、まるで生きているみたいだね」


 ユウキの言葉に、アキは、ただ静かに微笑んだ。彼は、ユウキの言葉に、自分の仕事の誇りを感じていた。


 夕食は、部屋で楽しむ懐石料理だった。


 一品一品、丁寧に作られた料理を、二人はゆっくりと味わう。


 アキは、普段、仕事で食事をゆっくりと取ることができないためか、一品ずつ、その味を噛み締めるように食べていた。ユウキは、そんなアキの姿を、ただ微笑ましく見つめていた。




 食後、二人は、部屋に備え付けられた露天風呂へと向かった。


 湯気に包まれ、ユウキは、思わず「あ〜…」と幸せそうな声を漏らす。アキは、そんなユウキの隣に静かに座り、ぼんやりと空を見上げていた。


「アキくん、お疲れ様…」


 ユウキがそう言って、アキの背中を優しく撫でた。アキは、ユウキの優しい手に、思わず目を閉じる。仕事の重圧から解放され、ユウキと共にいるこの時間が、アキにとって、何よりも幸せだった。


「…ユウキ、ありがとう」


 アキは、そう言って、ユウキの頭を優しく撫でた。


「ねぇ、アキくん。私、コンシェルジュの仕事をして、たくさんの人と話をしてきたんだ。宇宙に住んでいる人、宇宙に行ってみたい人、夢を追う人…みんな、宇宙に、それぞれ色々な想いを持ってるんだって知ったの」


 ユウキは、そう言って、静かに語り始めた。


「私、ずっと、宇宙に行くのが怖かったんだ。でも、アキくんがいてくれたから、たくさんの人たちが宇宙へ行く姿を見てきたから、いつか、私も…アキくんと、一緒に宇宙へ行ってみたいって、思うようになったんだ」


 ユウキは、そう言って、アキの顔をじっと見つめた。


 アキは、ユウキの言葉に、驚きを隠せない。ユウキが、自らの意志で宇宙へ行きたいと願うまでに成長したことに、アキは、心から感動した。


「…ユウキ」


 アキは、ユウキを優しく抱きしめた。


「…嬉しい。お前が、俺と同じ夢を見てくれて、嬉しい」


 夜が更け、二人は部屋で月を見上げていた。地上から見上げる月は、まるで宇宙と自分たちを繋いでいるかのように、優しく輝いていた。


「ねぇ、アキくん。今日の月、すごく綺麗だね」


 ユウキがそう話すと、アキは、ユウキの手を握りしめ、静かに微笑んだ。


「そういえばさ、私、アキくんのこと、最初は『高遠くん』って呼んでたよね?それが、いつの間にか『はるきくん』になって、今は『アキくん』。なんか、面白いよね」


 ユウキの言葉に、アキは、少しだけ照れたように笑った。


「…そうだな。俺も、お前がいつ『アキ』って呼ぶようになるのか、ずっと楽しみだった」


 アキの言葉に、ユウキは、はっと顔を上げた。


「…そうなの?でも、なんで『アキくん』なの?」


 ユウキの問いかけに、アキは少しだけ遠い目をした。


「俺の名前、『陽樹』って書くだろ?お前は『はるき』って呼んでたけど、俺の父親も同じ名前なんだ。だから、正直、あまり好きじゃなかった。でも…」


 アキは、ユウキの目を見つめ、静かに続けた。


「初めて出会った日、お前が俺の名前を見て、『陽』の字を『あき』って読むんだな、って言ったんだ。俺は、その時、お前が自分のことのように嬉しそうな顔をしてくれたのを、覚えてる。あの時、お前が呼んでくれた『アキくん』という響きが、すごく優しくて、俺の名前を好きになれたんだ」


 アキの告白に、ユウキは胸が締め付けられるような思いがした。自分が何気なく口にした言葉が、アキの心をどれほど救っていたのか、初めて知ったからだ。


「…だって、そうじゃない!『陽』っていう漢字は、太陽の光を表す言葉でしょ?太陽は、もちろん夏には力強く輝くけど、秋になると、少し柔らかく、穏やかになる。私は、そういう温かくて優しい光のイメージが、アキくんにぴったりだなって思ったんだよ!」


 ユウキは、涙目で、そう言ってアキに抱きついた。


「…アキくん」


 ユウキは、そう言って、アキに抱きついた。


「いつか、僕たちの手で、宇宙にたくさんの夢を届けよう。そして、いつか二人で、あの月まで行こう」


 アキの言葉に、ユウキは、未来への希望を感じた。

 二人の心は、この困難な夜を共に過ごしたことで、さらに深く、強く結びついたのだった。



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