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軌道エレベーターの管理人たち〜地上コンシェルジュは、宇宙(そら)の英雄に恋をする  作者: ざつ


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第32話:地上から届く、宇宙の光(後編)

 アキは、ユウキが地上から自分たちを見守っていることを知る由もなかった。


 だが、彼の心の中には、ユウキの明るい笑顔と、彼女が語った人々の夢が、鮮明に蘇っていた。


『アキくんが守っているのは、きっと、こういう人たちの夢なんだね。すごいね、アキくん』


 ユウキの言葉が、アキの心に、何度も響く。彼は、停電したエレベーターの照明を再び点灯させることに、全力を尽くした。


「高遠! 復旧だ!」


 上司のサカグチの声が響く。アキは、カイと共に、最後のプロトコルを打ち込む。彼の手は震えていたが、その瞳には一点の迷いもなかった。


 その時、アキの脳裏に、ユウキの温かい声が蘇った。


『大丈夫だよ』


 アキは、その声に背中を押されるように、最後のキーボードを叩いた。


 その瞬間、地上駅の窓から見える、軌道エレベーターの照明が、再び煌々と輝き始めた。ユウキは、その光景を、ただ見つめていた。それは、遠く離れたアキからの、希望の光だった。






 停電が復旧し、地上駅に明かりが戻ると、乗客たちは、安堵のため息をついた。ユウキは、ホッとした表情で、その光景を見つめていた。


「ユウキさん! よかった…!」


 ルナが、ユウキの元に駆け寄ってきた。


「ありがとう、ルナ…アキくんが、頑張ってくれたんだね」


 ユウキは、そう言って、ルナの手を握りしめた。


 数時間後、アキが地上駅にやってきた。彼の隣には、同じく疲労の色を浮かべたカイの姿があった。


「アキくん! カイさん!」


 ユウキは、二人の元に駆け寄った。


「こっちは大丈夫だったか?」


 カイは、ルナにそう尋ねた。ルナは、カイの言葉に、少しだけ照れたように微笑んだ。


「はい!お客様も、ユウキさんがいたから、全然怖がってませんでしたよ!それに、カイも、頑張ったんだよね?」


 ルナの素直な言葉に、カイは、顔を赤らめて、そっぽを向いた。


「な、なんだよ。当たり前だろ」


 ユウキは、そんな二人のやり取りを見て、ふふ、と笑った。


「ねぇ、アキくん。私、思ったんだけどさ…」


 ユウキがそう言って、アキの腕に自分の腕を絡ませた。


「うん」


「…ルナとカイさんってさ、いつ、どっちから告白したんだろうね? なんだか、私とアキくんよりも、先に進んでる気がしない?」


 ユウキの言葉に、アキは、少しだけ戸惑ったような顔をした。


「…さあな。今度、カイに聞いてみるか」


 ユウキの言葉に、カイとルナは、顔を真っ赤にして、慌てて二人の元から離れていった。


「な、何を言ってるんだ! ユウキさん!」


「そ、そうですよ、ユウキさん! わ、私たちは、ただの同僚です!」


 慌てふためく二人を見て、ユウキは、先ほどまでの緊張が嘘だったかのように、楽しそうに笑った。アキも、そんなユウキの無邪気な様子を、やれやれ、といった感じで暖かく見守っている。


「もう! ルナとカイさんたら! こんなに仲良しで、お互いのこと呼び捨てにしちゃって……! 私たちよりラブラブなのかな~? ねぇ、アキくん?」


 ユウキは、そう言って、アキにさらに甘える。アキは、困ったように微笑むだけだった。


「……まさか、この前、私たち抜きで、二人だけで食事でも行ったんじゃないの?ほら、だって、この前、ルナ、カイさんのこと『意地悪!』って言ってましたもん!」


 ユウキが畳みかけるように言うと、カイとルナは、顔を真っ赤にしたまま、さらに遠ざかっていった。


「な、何を言ってるんですか! ユウキさん! そ、それは言っちゃダメなんです!!」


「そうだぞ! お、俺たちは…っ」


 カイが言いかけた言葉を、ルナが慌てて遮る。


「…もう! 黙っててください! カイ! 墓穴掘るだけです……」


「ふふ。私たち、二人の愛のキューピッドになったんだから、今度、美味しいものご馳走してね!」


 ユウキは、そう言って、二人にダメ押しをする。カイとルナは、顔を真っ赤にしたまま、二人の元からさらに遠ざかっていった。


 アキは、ユウキを優しく抱きしめた。


「で、大丈夫だったか、ユウキ?」


 アキは、そう言って、ユウキを気遣った。


「うん! アキくんが頑張ってくれたから、全然怖くなかったよ!」


 ユウキは、そう言って、アキに微笑んだ。


「ねぇ、アキくん。今日の光、すごく綺麗だったよ」


 ユウキがそう話すと、アキは、ユウキの瞳を真っ直ぐに見つめ、静かに微笑んだ。


「ありがとう、ユウキ。お前が、俺の仕事を理解してくれて、嬉しい」


 二人は、誰にも邪魔されず、ただ二人で、互いの存在を噛み締めていた。



 二人の心は、この困難な夜を共に過ごしたことで、さらに深く、強く結びついたのだった。


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