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軌道エレベーターの管理人たち〜地上コンシェルジュは、宇宙(そら)の英雄に恋をする  作者: ざつ


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第30話:宇宙観光客と失くした思い出(後編)

 ユウキは、老夫婦から写真が撮影された場所が、地上からエレベーターが見える「丘」だったことを聞き出した。


 さらに、確認すると、どうやら最近その思い出の場所に行ったそうで、写真も持って行っていたそうだ。


 そして、そのあと写真の有無を確認しておらず、今に至る、そこまでを聞き出した。





 その日の夜、ユウキはアキに、老夫婦の切ない物語を語った。


「アキくん…その写真が、お二人の故郷と地球を繋ぐ、たった一つの思い出なんだって。私、なんとかして、見つけてあげたいの」


 ユウキの言葉に、アキは何も言わずに、ただ静かにユウキの瞳を見つめていた。アキは、ユウキの優しい心に触れ、胸が熱くなるのを感じた。


「…分かった。俺に任せてくれ」


 アキは、そう言って、自分のノートパソコンを開いた。ユウキは、アキの意外な反応に、少しだけ驚いた。


「アキくん、どうやって探すの?」


「運行管理システムの衛星画像に、日時と場所を照合する機能がある。老夫婦に、いつ、その丘に行ったか聞いてみてくれ。日時がわかれば、場所も絞り込める。もしかしたら、そこに落としてしまったのかもしれない」


 アキは、専門的な話を、ユウキにも分かるように、丁寧に説明した。ユウキは、アキの言葉に、嬉しそうに頷いた。



 ユウキは、老夫婦に連絡を取り、思い出の丘を訪れた日時を特定を試みた。

 具体的な日付ではない、その日の天気や気温、空の様子などという非常に曖昧な情報だ。


 アキは、ユウキが聞き出した情報をもとに、気象データと衛星画像を解析し、老夫婦が丘を訪れた日、さらには時間、そして、記録から場所までもを特定した。


「この二人じゃないかな?」


 アキは、データに移っている老夫婦を指さした。


「すごい!アキくん、本当にすごい!」


 ユウキは、アキの正確な分析力に、目を丸くした。


「あとは、ドローンを飛ばして、その場所を探すだけだ。…頼むぞ、ユウキ」


 アキは、そう言って、ユウキにドローンの操作方法を教えた。




 翌日、ユウキと老夫婦は、アキが特定した思い出の丘を訪れた。


 丘の上からは、都会の景色と、空へと伸びる軌道エレベーターが、まるで二人の思い出を祝福しているかのように見えた。


「ユウキさん、本当にありがとうございます…」


 おじいさんが、ユウキにそう言って、深々と頭を下げた。


「いえ!私、絶対に、見つけ出しますから!」


 ユウキは、そう言って、ドローンを空へと飛ばした。ドローンは、アキが特定した場所へと向かい、地面を映し出す。ユウキは、ドローンのモニターを食い入るように見つめた。




 その時、ドローンのモニターに、何か小さな光が映った。


 ユウキは、ドローンをゆっくりと着陸させ、その場所へと向かった。そこには、老夫婦が探していた、一枚の家族写真が、風に飛ばされないように、そっと石で抑えられていた。


「…あった…!」


 ユウキは、そう言って、写真を見つけた。老夫婦は、写真を見つけると、ユウキに抱きつき、涙を流した。


「ユウキさん…ありがとう…!本当に、ありがとう…!」


 おばあさんは、そう言って、ユウキの手を握りしめた。ユウキは、老夫婦の涙を見て、胸が熱くなるのを感じた。



 その写真には、若き日の二人が、満面の笑みで軌道エレベーターを背景に写っていた。老夫婦は、写真を見つめながら、当時の思い出をユウキに語った。


「あの頃、私たちは、このエレベーターに乗って、故郷の星に帰るのが、夢だったんだ…」


 ユウキは、老夫婦の話を聞きながら、アキのことを想った。アキの仕事は、ただエレベーターの運行を管理するだけじゃない。そこには、こうして、たくさんの人々の、大切な思い出や、愛が詰まっている。





 その日の夜、ユウキは、アキに今日の出来事を話した。


「アキくん、ありがとう。アキくんのおかげで、お二人の大切な思い出を、守ることができたよ」


 ユウキは、そう言って、アキに微笑んだ。


「…そうか。よかったな、ユウキ」


 アキは、そう言って、ユウキの頭を優しく撫でた。


「…ねぇ、アキくん。私たちも、いつか、こんな風に、たくさんの思い出を、作っていこうね」


 ユウキは、そう言って、アキに語りかけた。アキは、何も言わずに、ただ、ユウキの手を強く握りしめた。


 二人は、老夫婦の愛の証である写真を見て、自分たちの愛もまた、軌道エレベーターによって繋がれていることを感じた。


 そして、ユウキとアキの仕事は、単なる業務ではなく、人々の思い出や愛を繋ぐ、大切な役割を担っていることを、改めて実感したのだった。




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