表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
軌道エレベーターの管理人たち〜地上コンシェルジュは、宇宙(そら)の英雄に恋をする  作者: ざつ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/40

第23話:地上の家族と宇宙の故郷(前編)

 その日、ユウキとアキは、電車に乗ってアキの実家がある小さな町の駅に到着した。


 窓の外の景色は、高層ビルが立ち並ぶ未来都市から、古い街並みが残る小さな町へと、ゆっくりと変わっていく。


 アキは、ユウキの隣で、静かに窓の外を眺めていた。


「ねぇ、アキくん。私、アキくんの実家に行くの、なんだかすごくドキドキするよ」


 ユウキは、そう言って、アキの腕にそっと自分の腕を絡ませた。


「大丈夫だよ。みんな、ユウキに会うのを、楽しみにしている」


 アキは、そう言って、ユウキの頭を優しく撫でた。


「そうかな…?でも、アキくんのご両親に、私のこと、ちゃんと話してくれたかな…?」


 ユウキは、不安そうに尋ねた。アキは、ユウキの言葉に、少しだけ照れたように微笑んだ。


「…話したさ。でも、ユウキが想像しているような、ちゃんとした話じゃない。俺は、ただ…」


 アキは、そこで言葉を詰まらせた。


「ただ…?」


「…ただ、ユウキといると、毎日が楽しいって、それだけを伝えた」


 アキの素直で、しかし、深い愛情のこもった言葉に、ユウキは、胸が熱くなるのを感じた。


「もう!アキくん、そういうの、反則だよ…」


 ユウキは、そう言って、アキの腕に顔をうずめた。アキは、そんなユウキの可愛らしさに、思わずクスリと笑った。






 ---







 二人が、電車に揺られながら話していると、電車は、アキの実家がある小さな町の駅に到着した。


 駅のホームに降り立つと、そこには、アキの父、高遠誠治が、大きな笑顔で二人を迎えてくれていた。


「おお、陽樹!よく帰ってきたな!…ユウキちゃんも、久しぶりだな!」


 誠治は、ユウキを優しく抱きしめ、ユウキは少しだけ戸惑いながらも、その温かさに安堵した。


「誠治さん、里香さん!ご無沙汰しております。お久しぶりです!アキくんにはいつもお世話になっております、森野悠希です!」


 ユウキは、少し緊張しながらも、満面の笑顔で挨拶した。誠治は、そんなユウキの様子を、嬉しそうに見つめていた。


「お父さん、ユウキは俺の彼女だから…」


 アキがそう言うと、誠治は、アキをからかうように笑った。


「わかってるよ!でも、陽樹がこんなに可愛い彼女を連れて帰ってくるなんて、本当に夢みたいでな!」


 誠治は、そう言って、アキの肩を叩いた。


 ---


 誠治の運転する車に乗り込み、アキの実家へと向かう。駅前の広場には、小さな軌道エレベーターのモニュメントが飾られていた。


「すごい!アキくんの町、エレベーターだらけだね!」


 ユウキは、まるで宇宙旅行にでも来たかのように目を輝かせ、街の景色に見入っていた。車窓から見える商店街の看板には、エレベーターをモチーフにしたキャラクターが描かれ、街灯にもエレベーターのシルエットが施されている。


「ああ。この町の人たちは、みんなエレベーターが大好きだからな」


 アキは、少しだけ照れくさそうに微笑んだ。


「でも、なんで?こんなにエレベーターにまつわるものがいっぱいあるの?」


 ユウキが尋ねると、アキの父、誠治が、嬉しそうに答えた。


「ああ、ユウキちゃん。この町はな、軌道エレベーターの建設に、多くの技術者が関わっていた、いわば『エレベーターの故郷』みたいなもんだ。だから、みんな、エレベーターを誇りに思っているんだ」


 誠治の言葉に、ユウキは、納得したように頷いた。ユウキは、アキがエレベーターに特別な想いを抱いている理由を、改めて知ることができた。


 リビングに通されると、そこは、まるで軌道エレベーターの資料館のようだった。壁には、エレベーターの設計図や、建設現場の写真が所狭しと飾られ、テーブルの上には、精巧なエレベーターの模型が置かれていた。


「アキくんのお父さんって、本当にエレベーターマニアなんだね…」


 ユウキがそう呟くと、アキは、少しだけ苦笑いをした。


「ああ。俺がエレベーターに興味を持ったのは、親父の影響だからな」


 その時、奥からアキの母、高遠里香が、温かいお茶を持って現れた。


「あら、ユウキさん。もう、またご無沙汰ね。陽樹がお世話になってるみたいで、本当にありがとう」


 里香は、ユウキの手を優しく握り、温かい笑顔を向けた。


「いえ、こちらこそ!アキくんがいつも、私のことまで気にかけてくれて、本当に助かってます」


 ユウキは、里香にそう言って、アキをチラリと見た。アキは、気恥ずかしそうに、鼻をかく。


「あの、里香さん、アキくんは、エレベーターのこと、お父さんから教わったんですか?」


 ユウキがそう尋ねると、里香は、楽しそうに笑いながら、アキを見た。


「いいえ、逆よ。あの子は、小さな頃からエレベーターのことに詳しくて、私たちの方が、色々と教わっていたくらいなの」


 里香の言葉に、アキは、少しだけ照れたように俯いた。


 ユウキは、アキの意外な一面を知り、さらにアキへの想いを募らせていった。



ぜひご感想をお寄せください。

また評価とブックマークもしていただけると嬉しいです!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の姫たちと世界を変える戦いへ!
《音楽xSFxファンタジー戦記》【交響詩】竜の姫と絆のユニゾン ~最強の力は絆の中に。人類に裏切られた天才軍師の俺は、六竜姫の激情を調律し和音を奏でて覇道を往く~(代表作)
《ダークファンタジー戦記》【交響詩】竜の姫と絆のユニゾン外伝~断罪のプレリュード :黄金の残光と偽りの誓約〜
(あらすじ)
元・天才軍師候補のヒカルは、仇敵カインの謀略と人類の憎悪により「裏切り者」の濡れ衣を着せられ、処刑寸前にまで追い込まれる。人間社会に絶望した彼の前に炎の竜姫レヴィアが降臨し、救われた彼は、六人の竜姫(六龍姫)の感情をリアルタイムで把握する「絆の共感者」の異能に目覚めさせられる。
ヒカルの義務は、レヴィアの激情的な愛や、アクアの理性的な愛といった、制御不能な竜姫たちの愛の感情を音楽の和音(ユニゾン)として調律し、軍団の戦闘力へと変えること 。彼は裏切りのトラウマを抱えながら、まず古王軍(闇の竜族)との絶望的な劣勢を覆す内戦に勝利し、六龍盟約軍を完成させ、竜の世界の新たな王になることを誓うのだった。

その他の作品もぜひ!

《冒険者ギルドのお仕事ファンタジー》鉄の受付嬢リリアンのプロの流儀 ~冒険は、窓口から始まります~
《純SFハイファンタジー》星を穿つ槍と、黄金のオムライス――放浪の戦術師とポンコツ戦闘メイド――
メゾン・ド・バレット~戦う乙女と秘密の護衛生活~
軌道エレベーターの管理人たち〜地上コンシェルジュは、宇宙(そら)の英雄に恋をする
スローライフを目指したい鈍感勇者のラブコメは、天《災》賢者の意のままに!!〜システィナ様の暴走ラブコメ劇場〜
桃太郎伝 ~追放された元神は、きびだんごの絆で鬼を討子、愛しき仲間たちと世界を救う~
異世界グルメ革命! ~魔力ゼロの聖女が、通販チートでB級グルメを振る舞ったら、王宮も民もメロメロになりました~(週間ランクイン)
時間貸し『ダンジョン』経営奮闘記
【ライトミステリー?】没落お嬢様の路地裏探偵事務所~「お嬢様、危険です!」過保護なメイドと学者と妖精に囲まれて、共感力と絆で紡ぐ、ほのぼの事件簿
ニャンてこった!異世界転生した元猫の私が世界を救う最強魔法使いに?
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ