表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
軌道エレベーターの管理人たち〜地上コンシェルジュは、宇宙(そら)の英雄に恋をする  作者: ざつ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/40

第14話:地上探検のダブルデート(後編)

 水族館での楽しい時間を過ごし、4人は水族館からほど近い浜辺へと向かった。


 ユウキとアキは、お互いの手を繋いで、ゆっくりと波打ち際を歩いた。


 寄せては返す波の音、潮風の匂い、そして遠くで聞こえるルナとカイの楽しそうな声。それらすべてが、二人の静かで穏やかな時間を彩っていた。


「アキくん、楽しんでる?」


 ユウキは、アキの顔を覗き込み、尋ねた。


「ああ。こんなに、ゆっくりと海を見たのは、いつ以来だろう」


 アキは、そう言って、ユウキに微笑みかけた。アキは、運行管理者として、エレベーターから海を見ることはあっても、こうして砂浜に立って、波の音を聞くことはほとんどなかった。


 ユウキといることで、アキは、今まで見過ごしてきた「地上の日常」の美しさに、改めて気づかされていた。


 一方、ルナとカイは、二人の静かな時間とは対照的に、浜辺を駆け回っていた。


「カイ!見てください!この砂!フワフワしています!」


 ルナは、そう言って、素足で砂の上を飛び跳ねた。彼女の故郷である月のコロニーには、砂のようなフワフワとした物質は存在しない。ルナは、砂の感触に、まるで魔法にかかったかのように興奮していた。


「おい、そんなに跳ねるなよ。服が砂まみれになるだろ」


 カイは、そう言いながらも、ルナの無邪気な様子を、楽しそうに見ていた。


「大丈夫です!…あっ!」


 その時、ルナの足元に、小さなカニが横切った。

 ルナは、思わず悲鳴を上げ、バランスを崩して、よろめいた。

 カイは、慌ててルナの手を掴み、彼女を支えた。


「大丈夫かよ!…ったく、子供みたいだな」


 カイは、そう言って、ルナをからかう。しかし、その声は、どこか優しさに満ちていた。ルナは、カイの言葉に、にこりと微笑んだ。


「カイは、私のことを心配してくれているんですね!」


「な、なんだよ、別に…!」


 カイは、顔を赤らめて、そっぽを向いた。




 その後、4人は、浜辺にある小さなカフェで、遅い昼食をとった。窓から見えるのは、夕暮れの海。空は、オレンジ色から紫色へと、ゆっくりとグラデーションを描いていた。


 メニューを広げたルナは、途端に悩んでしまった。


「うーん……どれも美味しそうですが…パスタは、勢いよく食べるとソースが跳ねてしまいそうですし…、カレーライスも、もしかしたら…せっかくのワンピースが汚れてしまうのは、ちょっと嫌ですし…」


 ルナは、服を汚してしまうかもしれないという不安から、なかなか注文を決められないでいた。そんなルナの様子を、カイは不機嫌そうな顔で見ていた。


「おい、ぐずぐずしてると日が暮れるぞ。…いいから、それ食っとけ」


 カイは、そう言って、メニューの中から、ルナの服にソースが跳ねる心配のないサンドイッチを指さした。


「え、でも…」


 ルナが戸惑っていると、カイは、ルナの返事を待たずに、注文を告げた。


「マスター、このサンドイッチと、あと…」


 カイは、ユウキとアキ、そしてルナの分もまとめて注文を済ませた。ルナは、カイの行動に、目を丸くして彼を見つめた。


「ありがとう、カイ!」


 ルナは、嬉しそうに微笑んだ。カイは、ルナの言葉に、顔を赤らめながら、そっぽを向いた。


「別に、お前のためじゃねぇよ…」


 しかし、その口元は、ほんの少しだけ緩んでいた。


「宇宙から見る夕日は、どうですか?」


 ユウキは、ルナとカイに、そう尋ねた。


「地球で見るよりも、もっと濃い色ですよ。まるで、燃えるようなオレンジ色です」


 ルナは、そう言って、遠い故郷を想うような眼差しで、空を見上げた。


「俺は、夕日よりも、地球が丸く見える方が好きだな」


 カイは、不機嫌そうな顔で、そう呟いた。

 しかし、その言葉には、地球への、そして故郷への、特別な想いが込められているように感じられた。



 アキは、そんな二人の話を聞きながら、静かに微笑んでいた。


 アキもまた、エレベーターから地球を見下ろすことがある。

 けれども、ルナとカイの話を聞いて、アキは、自分が守ろうとしている「地球」が、いかに美しい場所なのかを、改めて実感した。





 カフェを出て、駅へと向かう帰り道。

 ユウキは、アキの手を握りながら、幸せそうに微笑んでいた。


「アキくん、ルナとカイさん、なんだかんだ言って、すごくお似合いだと思わない?」


 ユウキは、そう言って、アキに尋ねた。


「そうだな。ルナの純粋さに、カイもタジタジだったな」


 アキは、そう言って、クスリと笑った。


「でしょ?もう、絶対相思相愛だよ!お似合いだもん!」


 ユウキは、二人の関係を断定した。アキは、ユウキの無邪気な言葉に、少しだけ照れくさそうに笑った。


「…まあ、俺もそう思う。今度、カイに感想を聞いておくよ」


 アキは、そう言って、ユウキの頭を優しく撫でた。ユウキは、アキの言葉に、嬉しそうに頷いた。


 その時、ユウキのスマートフォンに、通知が届いた。画面を見ると、ルナからのチャットだった。


『ユウキさん!今日はありがとうございました!カイさんと、水族館の魚たちについて、延々と話しています!笑』


 チャットには、楽しそうなルナと、少しだけ不機嫌そうなカイのスタンプが送られてきた。ユウキは、そのチャットを見て、顔を綻ばせた。


「アキくん、見て!ルナからだよ!やっぱり、すごく楽しかったんだね!」


 ユウキは、スマートフォンをアキに見せた。アキは、その画面を見て、静かに微笑んだ。


「ああ。よかったな、ユウキ」


 アキは、そう言って、ユウキの頭を優しく撫でた。


 二人の心は、今日という一日を通して、さらに深く、強く結びついていた。


 それは、二人の愛が、ルナやカイという、大切な人たちとの繋がりを通して、より豊かなものになっていくことを示していた。



ぜひご感想をお寄せください。

また評価とブックマークもしていただけると嬉しいです!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
竜の姫たちと世界を変える戦いへ!
《音楽xSFxファンタジー戦記》【交響詩】竜の姫と絆のユニゾン ~最強の力は絆の中に。人類に裏切られた天才軍師の俺は、六竜姫の激情を調律し和音を奏でて覇道を往く~(代表作)
《ダークファンタジー戦記》【交響詩】竜の姫と絆のユニゾン外伝~断罪のプレリュード :黄金の残光と偽りの誓約〜
(あらすじ)
元・天才軍師候補のヒカルは、仇敵カインの謀略と人類の憎悪により「裏切り者」の濡れ衣を着せられ、処刑寸前にまで追い込まれる。人間社会に絶望した彼の前に炎の竜姫レヴィアが降臨し、救われた彼は、六人の竜姫(六龍姫)の感情をリアルタイムで把握する「絆の共感者」の異能に目覚めさせられる。
ヒカルの義務は、レヴィアの激情的な愛や、アクアの理性的な愛といった、制御不能な竜姫たちの愛の感情を音楽の和音(ユニゾン)として調律し、軍団の戦闘力へと変えること 。彼は裏切りのトラウマを抱えながら、まず古王軍(闇の竜族)との絶望的な劣勢を覆す内戦に勝利し、六龍盟約軍を完成させ、竜の世界の新たな王になることを誓うのだった。

その他の作品もぜひ!

《冒険者ギルドのお仕事ファンタジー》鉄の受付嬢リリアンのプロの流儀 ~冒険は、窓口から始まります~
《純SFハイファンタジー》星を穿つ槍と、黄金のオムライス――放浪の戦術師とポンコツ戦闘メイド――
メゾン・ド・バレット~戦う乙女と秘密の護衛生活~
軌道エレベーターの管理人たち〜地上コンシェルジュは、宇宙(そら)の英雄に恋をする
スローライフを目指したい鈍感勇者のラブコメは、天《災》賢者の意のままに!!〜システィナ様の暴走ラブコメ劇場〜
桃太郎伝 ~追放された元神は、きびだんごの絆で鬼を討子、愛しき仲間たちと世界を救う~
異世界グルメ革命! ~魔力ゼロの聖女が、通販チートでB級グルメを振る舞ったら、王宮も民もメロメロになりました~(週間ランクイン)
時間貸し『ダンジョン』経営奮闘記
【ライトミステリー?】没落お嬢様の路地裏探偵事務所~「お嬢様、危険です!」過保護なメイドと学者と妖精に囲まれて、共感力と絆で紡ぐ、ほのぼの事件簿
ニャンてこった!異世界転生した元猫の私が世界を救う最強魔法使いに?
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ