第6章: 過ぎていく日々
翌朝
鳥の声で目が覚めたわけではなかった。それでも、少しずつ窓から差し込む光が、僕たちの部屋を照らし始める。新しい一日の始まりだった。
リビングでのくつろぎ
エリはお気に入りのブランケットを持ってきて、ソファに横になった。その隣に僕も腰を下ろす。彼女は少しずつ距離を縮めてきて、最終的に僕の肩に頭を預けた。
「ねえ、こうしてると、世界の終わりなんて忘れちゃいそうだね。」
エリの声は穏やかだった。僕は彼女の髪に手を伸ばし、そっと撫でた。
「そうだな。こんな日がずっと続けばいいのに。」
二人で話すうちに、エリは昔好きだった映画の話を始めた。彼女の笑顔と、瞳の輝きがとても眩しく感じられる。
「また映画が見られる日が来るのかな?」
「きっと来るさ。そのときは、エリのお気に入りを一緒に見よう。」
エリは小さく頷き、再び僕に寄り添った。
静かな幸せ
午後には、窓辺に座って外を眺めながら、エリがノートに何かを書いていた。その横顔を見ているだけで、僕はこの瞬間がずっと続いてほしいと願った。
「何を書いてるの?」
「秘密。でも、あなたに感謝してることは確かだよ。」
彼女は少し照れくさそうに笑い、ノートを閉じた。僕はその言葉だけで十分だった。
エリはノートを撫でるようにしながら、ぽつりと呟いた。
「世界が終わると、アナログの紙はめちゃくちゃ役立つんだ。」
僕はそれを聞いて思わず笑ってしまった。
「はは…そうだな。」
エリも笑顔を見せながら、窓の外を見つめていた。
こうして、何でもない一日が、僕たちにとっては特別な一日になった。