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御礼の品


「ソフィ、エリゼだ。」


マリアの腕を掴んでいたのはエリゼだった。マリアは驚いたのと安心したので腰が抜けた。



「ああ、もう驚き過ぎて、、腰が抜けました。。。」マリアはエリゼを見上げて言った。



「こんな真夜中に何をしている。しかもそんな格好で」


エリゼは不思議そうな顔をしてマリアを覗き込んでいる。




 かっこいい。。。




 マリアは久しぶりにエリゼを近くで見てその美貌に賞賛を贈りたくなった。


 エリゼはラフな格好をしているが、そのラフさが元いた世界のキレイ系男子のようでマリアはときめいた。




「ソフィ?」エリゼは聞いてるの?というニュアンスでソフィと言った。



「あ、今私勤務中なんです。バイト、、じゃなくて、仕事はじめまして、それで、北側に、、お化けが、、、お化けがでて、、、」



 支離滅裂になってしまった。エリゼは目をまんまるにして聞いた。



「ソフィ?勤務を?なぜ?どこで?」



「これ二週間目です。お城の管理棟で午前零時時から三時までの勤務をしています!」


マリアは笑顔で言った。



「管理棟?ソフィ?なぜ働いている?」エリゼは言った。




「あ、私、、実はお金持っていなくて、働かないとエリゼ様にお礼も出来ないのです。。。」


マリアはガッカリしながら話した。



「お金が、、ない?、俺にお礼を??一体なんのことだ?」



「あの、私、、異世界からここに来てお金持っていないので働かないといけません。だけど人に顔を知られていますからなかなか仕事がなくて、、仲良くなった方に紹介していただいて働きはじめました。」



「俺にお礼とは??」



「先日、マントをお借りして返そうと思い持ってゆきましたが、エリゼ様にお返しする時はお礼の品がいると言われて、、私はお金がありませんので働いたお金で買おうと思って、、すみません。。すぐにお返ししたかったのですが、、、」



 マリアは申し訳なくて頭を下げながら謝った。



「……」


エリゼは何も言わない。怒っちゃったのかな、、




「あの、エリゼ様、本当にすみません、、頑張って働きますのでお待ちいただけますでしょうか?」マリアは不安になった。



「……ソフィ、、」



エリゼはマリアの前に立ち片膝をついてマリアの手を取った。




「は,はい!!すみません!!」



マリアはもう一度謝った。




「ソフィ、、、俺のために?」


エリゼは言った。



「ハイ、、でもお礼の品買えるのは少し先になりそうです。。。」



「なぜ」



「金細工とか、宝石とか、、まだ買えそうな稼ぎがなくて、、、すみません。。。」マリアは正直に言った。



「ソフィ、お礼の品なんて要らない、俺は大抵のものは手に入るけど、俺のために金貨一枚も持っていない人が、、そんな人が働いてくれていることの方が嬉しい」



「……それ嫌味ですか?どうせ私は無一文ですよ!!何も持っていませんし!何も手に入りません。なんか上から目線!」



「あははは!すまない、嫌味じゃない、嬉しいと言っているんだ」



「本当ですか?怪しいです。。。」


マリアはエリゼの顔を見ながら言った。


「本当だよ。ソフィ」


エリゼはマリアが被っているフードを外しマリアの顔を改めて見つめた。



「なぜフードを??」マリアはエリゼに聞いた。



「ソフィ、目を瞑って」エリゼは言った。



「あー、またデコピンするつもりでしょ!!あれ痛いんですよ!!」


 マリアは笑いながら言った。



「いいから目を瞑れ!王命だぞ」



「もーその為にフード外したんですね!うわー、、絶対やめて下さいね!」


そう言いながらマリアは目を瞑った。

 


 エリゼはマリアの頬を両手で優しくつつみそして指先で頬をつねった。

 

「ニャアにしゅるんでしゅか!!」



「あははは!ソフィの頬は柔らかいから気持ちいいな!!」



エリゼはそう言いながら指を離した。



「ちょっと!!これはパワハラって言うんですよ!!王命とか言えばなんでも許されると思って!!私は異世界の人間だから上司からのパワハラで訴えますよ!!」




 マリアは怒って抗議した。




「すまない、ソフィがなんか可愛くて、、愛情表現だ!」



「エリゼ様、こんな愛情表現じゃあ女性は逃げますよ!!」



「ソフィ、この世界で俺が声をかけた女性は誰もが喜び、逃げるなんてなんてありえないぞ」


 そう言ってエリゼは笑っている。



「うわーすごい強気の発言!まあ許されるルックスと財力あるからわからなくも無いですが,でも私は嫌だわ!だって王様って何人も女性抱えるんですよね」


「ああ、最低でも五人位かな?一人はあり得ないな」


「うわぁ、絶対やだ。私は私一人だけを愛してくれる人じゃ無いといやだわ!この世界の女性は忍耐強い!」


「そうなのか?……ソフィは面白いな!」



 エリゼはそう言ってマリアを見つめ微笑んだ。


マリアはなんとも言えない気持ちになった。


大勢の中の一人でいるなら一人だけで生きた方良い。そう思う女性はここに居ないのかな。



「ゴーン,ゴーン、ゴーン」鐘が三回なった。


「あ、いっけない、私勤務中でした!!もう交代の時間、私戻ります!!」マリアは慌てて立ち去ろうとした。



「待て、ソフィ、お前は仕事をする必要はない。金が欲しいなら自由にできる金は渡す。」



「エリゼ様、私のいた世界は皆それぞれ働いています。働かざるもの食うべからずと言うことわざもありまして、、」


「お前は働きたいのか?」



「あと一年しかない時間の中で、、、自分が欲しいものは自分の手で掴みたいし。。私のいた世界で他人の男の人に貢いでもらう人いますけど、その人たちも貢いでもらうなりの努力してますし、私はそういうの、もういいから仕事します。」




「……わかった。ソフィ好きにするといい。」



 エリゼがそう言うとマリアはペコっと頭を下げて管理棟に走り去って行った。



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