深夜のバイト
ミケーラは深夜にお城の管理をする管理棟の仕事を紹介してくれた。
この仕事は二十四時間の仕事で、深夜三交代制のため三時間だけの勤務が可能であり城から出ることもない。
マリアはすぐに決め、午後零時から午前三時までの担当となった。
管理と言っても例えば急な来客で部屋を用意する時に空いている部屋を確認したり、鍵が壊れたとか、鍵が開かないとかそう言ったことに対応する仕事だが、ほとんど何もしないで終わる楽な仕事だ。
だけど深夜の仕事なのでやりたがる人間はいない常に人手不足の職場だった。
「この世界は深夜手当つくのかな？時給の二十五%割増してもらえるとか無いのかな？無かったら誰も働かないよねぇ。。エゲツナイわぁ」
しかしえげつなくてもマリアにとっては人に会わなくても良いありがたい仕事だった。
すぐに今晩からお願いした。
十一時時ごろに部屋を出て城の地下にある管理棟に行った。
「こんばんは！今日からお願いします！」
「ああ、ミケーラから聞いてるよ。ソフィ様の身代わりの子だな。よろしくな！俺はボニート」
「私はマリアです。仕事の内容は聞いていますが一通り教えていただけますか？」
ボニートはマリアが真面目な性格だとわかり好感を持った。
「ところでマリア、この城の北側の一階に幽霊が出ると言われている場所がある。そこは時々メイドから中から音がするから様子を見に行ってくれと言われるから覚悟だけはしておけ。」
「幽霊？無理かも。。」
「いや、実際見に行っても何も出ないのだがな、きみがわるい」
「断ってもいいですか？」
「何を？」
「依頼です。」
「ダメだ。怖いと思うけど仕事だからな。。頑張れ、じゃあ俺帰るわ。お疲れ様」
「え？お，お疲れ様です。。」
ボニートは人を脅すだけ脅して帰って行った。
マリアは覚悟を決めて勤務を始めたが、初日は何事もなく終わった。その後、一週間は平和な勤務だった。
しかしある晩の事、監視塔に一人のメイドが現れた。
「北側の一階にある部屋から足音が聞こえます。確認お願いします」
「おお，。恐れていたことが。。わかりました。。」
マリアは鍵をもって管理棟を出た。
地下から階段を上がって北側に行かなければならないのだが、怖くて北側に行けない。
「こわいから、、部屋に戻ってフードかぶってシーツもかぶって行こう」
そう呟いてまず自分の部屋に戻った。
そしてフードとシーツを被り廊下を歩いて行った。
大きな時計が「ゴーン，ゴーン」と二回鳴った。
マリアは恐怖心を煽られて立ち止まってしまった。
「これは、恐怖心を煽る効果音、、抜群に煽られてます。。。」
「北へ、、北へ。、」
行きたくない気持ちを前面に出しながら一歩ずつ前にすすむ。城のエントランスを通り過ぎ、北側に入った。
「怖い、、怖いです！！よ。。」と独り言を言いながら一歩一歩進んで行った。
メイドから聞いた部屋の前に立った。シーンとしているが、中から何か音が聞こえる。
耳を澄ます。何か聞こえる。開けようか、どうしよう、、
ふと気がつくと鍵を部屋に忘れてしまった。
マリアは急いで自分の部屋に戻り鍵を持ってまた同じ道を戻った。
エントランスを過ぎようとした時いきなり腕を掴まれた。
「キャー！！」マリアは驚いて声を上げた。
