諦め
ま,まさか牢屋に入れられる?!
「王様!エリゼ様!、牢屋は勘弁してください!!逃げませんからお願い!!」
マリアはエリゼの胸のシャツを両手で握りキスができるほどの距離でエリゼに言った。
エリゼはマリアを見つめて笑った。
「ハハハ!ソフィは王が殺されてから性格が変わったようだな!なかなか元気があって、、裁判のやりがいを感じるよ」
エリゼは目の前のマリアの瞳を見つめながら言った。
「さ、裁判、、人違いです、全くの別人で、あの本当、嘘みたいですが私異世界の人間で、遠いところからきたのですよ!」
マリアは焦って目の前のエリゼに力説した。
「フフフ、ソフィは嘘がうまい。皆その嘘に騙されて悲惨な人生を歩まされたのだ。」
エリゼはマリアを見つめ言った。
「わ、私も騙されて今ここに居ますから、、強く共感できます、ほんとあの人は!!!見たことないけど。。」
マリアも怒り始めた。
「ソフィは面白いな。」
エリゼはマリアの頭に自分の頭をぶつけて
「顔が近いぞ」と言って笑った。
「いったぁ、、」
マリアはぶつけられた額をさすりながら「ごめんなさい」と謝った。
「ん?」エリゼはどうして謝るの?という表情でマリアを見た。
「王様の顔ってそんなに見たらだめじゃ無いのですか?わかんないけど、、だから謝りました」
そう言って視線を床に落とした。
「なんか調子狂うな」
エリゼはそう言いながら南の端にある部屋にマリアを連れてきた。
そしてソファにマリアを降ろしその向かいに腰掛けた。
「ちょっとエリゼ!!聞いたわよ」タチアナが突然部屋に入ってきた。
「何だ?」エリゼはタチアナをみて言った。
「エリゼ、ソフィを抱き抱えてここに来そうね!大騒ぎよ!王がソフィに誘惑されたって!!」タチアナはマリアを睨みながらいった。
「ハハハ、あながち嘘ではないな、俺はソフィに興味を持った。」
「ええ!だったら私、帰っていいですか?」マリアは言った。
「はあ?何であんたが帰るのよ!馬鹿じゃない?!」タチアナが馬鹿にしたようにマリアに言った。
「だって王様はソフィ姫に興味あるのでしょう?私はマリアです。私じゃないからもういいかなって。。」
そう言ってマリア立ちあがろうとした。
「ふざけないで!!」
タチアナはいきなりマリアの頬を平手打ちした。
マリアはその勢いでソファーに倒れた。
「タチアナ。出て行け!」エリゼはタチアナに言った。
「何で?エリゼ、いやよ」タチアナは言った。
「もう一度言う、今すぐ出て行け」
エリゼは言った。
タチアナは渋々部屋から出て行った。
マリアは叩かれた勢いで口の中を切って気分が悪くなった。
「血が、、気持ち悪い、、吐きそう、、」
マリアは立ち上がって洗面所に行きたかったが場所がわからずしゃがみ込んだ。
「大丈夫か?」
エリゼはマリアのところにゆきハンカチを差し出した。
「すみません、、」
マリアはハンカチを口に当て咳き込んだ。口の中の血が唾液と一緒に出てきてそれを見たマリアは目眩を起こした。
「ソフィ?!」
「血が、、ダメ、、」マリアはそのまま倒れてしまった。
「う、、」マリアは気がつくとベットの上だった。
「あれ?私、、、」
「ソフィ気がついたか?」エリゼが声をかけてきた。
「……」マリアは何も言えずポロポロと涙を流した。エリゼはマリアを見つめている。
「わ,私、王様は本当にソフィだと思いますか?私は違います。本当に違います。。」
「ソフィ、お前がだれであってもソフィとして裁判を受けてもらう」
「なぜ?なぜ私が?」
「ソフィ、この世の中は辻褄さえあえば何でもいいのだ。お前が誰であってもソフィとして裁判を受け、罪を償えばおさまるのだ」
「たとえおさまったとしても真におさまらないではないですか?そんなのまともな国ですか?」
「ソフィ、本物のソフィは秘密裏で殺されるだけだ。」エリゼは言った。
「王様は私がソフィではないと認めているのですね?」マリアは言った。
「そう言うことになるな」エリゼは言った。
「……わかりました。もう私がなにを言ってもその筋書きは出来ているのですね。わかりました。」
「何がわかったと言うのだ?」
「何を言ってもなにをしても無駄と言うことがわかったと言うことです。」
「そうだな」
「明日からは大人しくします。色々ありがとうございました」
マリアはエリゼにお礼を言ってシーツに包まってベットに横になった。
やっぱりバチが当たったんだ。
異世界に来て人生やり直すなんて出来るわけない。諦めなきゃ。。
エリゼは何も言わずに部屋を出て行った。外から鍵をかける音が聞こえた。