異世界人アピール
ドアが開き裁判に駆けつけた貴族や国民達はソフィを見て言葉を失った。
顔はソフィでも全くみたことのないどう表現して良いかわからない人間が被告として入ってきた。
姫であったソフィとはあまりにかけ離れたソフィをみてその場にいる人たちは唖然としている。
マリアはどこにいけばいいのか分からなかったので座っている貴族に聞いた。
「どこ行けばいい?」その貴族は露出の高いソフィに声をかけられ驚きのあまり椅子から落ちた。
マリアは余計なことはしないでおこうと思い、キョロキョロしながら裁判所の真ん中にある証言台のようなところまで移動して「ここでいいですか?」と聞いた。
「ああ、そこでいい」
声の方を見ると昨日会ったエリゼが中心の席に座っている。周りには騎士達が立っている。
「あ、こんにちは!昨日はどうも!!私、マリアと言います!!」
何か言われる前に笑顔でエリゼに自己紹介した。
「ソフィ姫に似てるって言われますが、全くの別人で、あ、お察しの通り異世界から来ました!」
そういって笑顔でエリゼに手を振った。
会場の人間にドン引きされているのがわかったが、ここで引き下がるわけには行かない。
「勝手に話しますが、わたしソフィ姫に似てるって事で昨日身代わりのバイト、、えっと仕事?したんですね、ところがなんか王様変わっちゃったようで、、、本物のソフィ姫は帰ってこないし、誤認逮捕?間違って捕まえられちゃって今ここにいるんですが、、人違いってことで、帰っていいですか?」
マリアはそう言いながら出口に歩いて行った。
「逃すな」
エリゼが言った瞬間マリアは兵士に腕を締め上げられた。
「ちょっと!イタタタ、、パンツ見えちゃうじゃない!!離して!!」
マリアは腕を掴まれて引っ張られてしまいミニスカートがさらに短くなった。
「ちょっと!!離しなさいよ!!」
マリアはさらに強く掴まれあまりの痛さにキレそうになった。
「本当、、勘弁してよ。。。なんなのよ、、これ、、どう見ても別人じゃない?おかしくないですか?!」
エリゼに向って言った。
「被告のソフィは王を殺されたショックで気がおかしくなったようだ。今日はここまで」
エリゼはそう言ってソフィを城の部屋に戻すよう指示していた。
「え、?ちょっとまって、全然ショックじゃないです!知らない人ですし!至って正常です!!」
マリアは大声で言ったがおかしな人という言葉で会場の人達は安堵しマリアに向かって悪口を言いはじめた。
「真の演技に騙されそうになった」「ホラ吹きの名に恥じぬ行動ですな」
「いやいやいや、ちょっと待ってよ!!」
マリアは反論しようとしたが、そのまま兵士に馬車に押し込められ城に戻された。
部屋に入れられて鍵もかけられた。
「ちょっと!!開けなさいよ!!ちょっと!!」
マリアは又ここに閉じ込められてしまった。
冷静に考えると、マリアはソフィの顔を知らない。
似ているのか似ていないのか、髪の色、目の色も本当はわからない。
カツラの色は金色だったが本当に金色なのかわからない。
今日人違いだと言ったけどもしかして信じてもらえてないかもしれない。。
どうしよう、どうしよう。。
マリアはヒールを脱ぎ裸足で右往左往してこれからどうすればいいのか考えている。
あ、そういえば、エリゼ、あの人が違うと認めたらどうにかなるかもしれない。!!!
王様が違うといえば偽物だとわかってもらえる!!
とにかくエリゼと話したい!!
「すみませーん、王様いますか??エリゼ様!!お話したいのですが!!すみませーん!!ここ開けていただけません?ちょっとーー」
マリアはドアを叩きながら叫んだ。
誰もいないのか、それともいても狂人だと思われているのか反応がない。
どうする?いや、一刻も早く誤解を解かなければ最悪処刑?されてしまうかも。。。。
いやだ!!
マリアはドアを激しく叩いた。
「ちょっと!!誰かいないの?絶対いるでしょ??こんな所に閉じ込めて、パワハラっていうのよ!!私の世界ではこれは罪よ!!!」開けなさいよ!「パワハラに監禁罪よ!!これは犯罪ですよ!!王様!!」
マリアはドアを叩き、それから足で何度も蹴った。
ギギッ ドアからおかしな音が聞こえドアの蝶番が割れた。
ドアが外れて部屋の外に倒れて行った。
しまった!ドアを壊してしまった!
廊下を見ると兵士、使用人、メイドが二十人ほど集まってマリアを見ていた。
「あ、に,逃げませんよ〜!逃げませんけど、、王様はどちらですかね?、、ドア、壊しちゃって、、すみません、この立て付け、、悪いみたいですね〜アハハハ。。」
そう言いながらドアを戻そうと倒れたドアのドアノブを引っ張り上げようとした。
倒れた衝撃でドアノブは外れており引っ張り上げる勢いが行き場を無くしてマリアは後ろに転がって行った。
「きゃー」
マリアは後ろにニ回転し、仰向けに倒れた。何しているんだろう、、急に我にかえり涙が出てきた。
「うぅ、、なんでこんな目に、、、酷いよ、、人を騙すなんて、、私が何をしたっているの?こんなわけわからない世界にきちゃって、こんなことに巻き込まれて,,。家に帰りたい、」
マリアは泣きはじめた。
「ソフィ、大暴れだな」
エリゼが上からマリアを覗き込んで言った。
「ソフィじゃありません。」
マリアはそれだけ言ってうつ伏せになって泣き続けた。
「もうこの部屋は無理だな,移動しよう」
エリゼはそう言って騎士にベットのシーツを持ってくるように言い、そのシーツをマリアにかけ、それからマリアを抱き上げて部屋を出た。