身代わりバイト
ところで、この部屋,何もない殺風景な部屋だけどベランダのようなちょっとした空間もあるし、いいじゃない。
元の世界のアパートより断然快適よ!
マリアはベランダに出ようと思ったが流石にこの格好はまずいと思い着替えを探した。
クローゼットがあり、そこに紺色のワンピースがかかっていた、「これいいじゃない!」マリアはワンピースを身につけてどこかで見たようなワンピースだなぁと考えていた。
「ガチャガチャ」
鍵があけられる音がし、慌ててかつらを被りドアの方をみた。
エリゼが入ってきた。
うわー、カッコいい。。エリゼは薄いベージュブラウンの髪にグリーンの瞳、背は高く細身の体にピタッとした黒のシャツとパンツ、ロングブーツを履いている。
元の世界だったら芸能人かモデルのようなかっこよさだ。
「ソフィ、、お前、なぜメイドの服を来ている?」エリゼは少し驚いたような顔をしてソフィを見た。
メイド?ああ、どうりで見たことあった訳だわ、、まさかメイドの服とは、、でも、答えた方がいいのかな?。。
「いけませんか?」ソフィは堂々とした態度でエリゼに言った。
「いや、、、けれどお前はまだ姫だ。明日から裁判が始まる,それによりお前がどうなるのか決まるのだ。だからまだドレスを来ても良いのだ。」
裁判?!なにそれ!!「……裁判?」
「?お前は最後の王族としてその罪を問われる。その為裁判がある。」
どんな罪なのよ!!!!「……罪、、ですか?」ソフィは遠慮がちに聞いた。
「エリゼ!!まだ話しているの?!」サンドラが入ってきた。
「アハハハ、ソフィお似合いね!!アハハハ」サンドラはソフィの姿を見て笑っている。
そこまで笑われると不愉快!!ソフィはサンドラを睨みつけた。サンドラはそんなソフィをみて又笑い出した。
もういいや。。ソフィはそう思いエリゼを見た。
「あ、ソフィ、今日から俺が国王に即位することになった。それでこの国の国宝アルマの指輪を渡してもらおう」
なにそれ?私が知っているわけないじゃない。。「知りません」ソフィは言った。
「知らない?確か王からお前に渡された筈だ。みんな見ていたぞあの時」エリゼは言った。
あの時っていつよ!!全然わかんない。けど「ないものはありません。」ソフィは言った。
「……わかった」エリゼはそう言って部屋を出て行った。
サンドラはソフィに言った「隠しても無駄よ。すぐに見つけるわ」そう言ってサンドラも出て行った。
なに?そのアルマの指輪って!!
ちょっとこれこのままソフィに成り切ってたらまずくない?
マリアは今起きていることを現実として理解し始めた。先程までは驚きと衝撃で頭が回っていなかったが、今日だけ入れ替わるって話だったけど本物どこにいるのよ。
この状況でどうやって入れ替わるのよ?!
これまずくない?まさか、、
ハメられた?!
まずいことになった。マリアはカツラを外し部屋のドアを叩いた。
「ここを開けて下さい!!私はソフィではありません!!開けて下さい!!」
マリアは必死になって叫んでいた。
マリアの叫び声がエリゼ達に聞こえてきた。
「エリゼ、どう思う?」サンドラは聞いた。
「恐らくあのソフィは偽物だ。だけど今は偽物であっても裁判を終わらせないと国が安定しない」
このままあの娘にはソフィでいてもらう。その間も本物を探す。
「どうしよう,どうしよう、、バチが当たったんだ。。
あたしどうなっちゃうの?怖い、どうしよう、、」
マリアは明日の事を考えた。
こうなったら裁判で人違いだと言うしかない。
明日はかつらを外し肩までしかないピンクの髪で行こう。
この世界の姫がこんな短い髪なんてありえないし、ピンクの髪なんてありえないはず。
きっとどうにかわかってもらえるかも、、。
あとは、、、服装!タンクトップに、、、このカーテン、、スカートになりそう、これ巻いて、、あと、、、靴!!ヒールしかない!あ、ミニスカにしてヒールで行こう!
こんな格好この世界の姫ありえなくない?これで行こう!!
とにかく、本物が帰って来なかったら偽物でしたと言ってこの窮地を乗り切ろう。
翌日、兵士二名が迎えにきた。
マリアはピンクの髪、タンクトップにミニスカート、ハイヒールの格好で出て行った。兵士は驚きのあまり後退りをしたが、マリアは気にすることなくニコニコしながら「裁判?いきましょ?」と言ってウィンクした。
兵士は目のやりどころに困っているようだ。
そんなことは今重要ではない。
自分は裁判でソフィではないと言わなければならない。とにかく裁判で!
城から出て馬車に乗せられ裁判所に着いた。
既に人が集まっているようで少し緊張してしてきた。この世界の裁判ってどんな感じなの?誰がいるの?
いやいや、現実世界の裁判もしらないから比べられない。
とにかく、
とにかく自分はソフィではないと明確にしなければ。
「ふー、、」マリアは深呼吸をし、裁判所に入って行った。