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幻想乙女工房 〜普通の女子中学生ですが幼馴染の美少女小学生とVR女児ゲー配信していきます!〜  作者: 春無夏無


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ザクロのために素材集め

 新しい装備によって素早さと攻撃力、そしてザクロによる防御能力を得たトキちゃんにとって「付和雷同のシンデレラ」は全く相手にならない敵になっていた。

 いやもう周回がはやいはやい。

 それでもドロップ率の低いガラス片の在庫に余裕を持たせようとすると大変だったけれど。


 今なら「ラプンツェルの残滓」と正攻法で戦うこともできるのでは?

 塔狙いなら火力ぶっ放しでなんとかなるけど髪だけを狙うと途端に難易度上がるんだよなあれ。


「ムギちゃんは新しい装備どうするの?」


「またあとで特攻即死繰り返して素材集めてから考えようかな」


「……そんな無茶しなくても私が集めてきてあげるよ?」


「でもネヴァンと仲良くなれるみたいだし」


 トキちゃんは少し不満そうな顔をしたけれどそれ以上反対はしなかった。

 サポートマスコットと仲良くなるのは大事だからね。


「私はしばらく装備を変える必要ない気がするし、ムギちゃんもいっぱい素材使って強い装備作ってね。なんなら私とコンセプト合わせてムギちゃんもチャイナにするとか」


「そこは別に合わせる必要ないんじゃないかな」


 あまり中華っぽいお面好きじゃないし。

 今のデザインに似せたまま性能上げていこうかな。



 トキちゃんがザクロ用アクセサリーを作る間、素材集めに赴くことにした。

 使う素材は燃え盛る王宮のもの中心になるので段々効率よく死ぬのにも慣れてきた。

 死ぬたびに工房に現れてトキちゃんの集中を乱してるかもしれない懸念はあるけど。

 視界の端で人が出たり消えたりすると気になるよね。


 ある程度必要そうな素材が集まったところで考えながら組み合わせていく。

 ハンマーも気付けば熟練度が上がって青くなっている。

 アクセサリーとか結構作ってたもんね。


 女児ゲーなのでいつもの衣装チェンジのノリでちょいちょい装備を変えてきたけれど大体スタイルは固まってきた気がするし、トキちゃんのサポートをしつつ足手まといにはなるべくならないような感じで作りたい。

 

「ねえネヴァン。もしあるならあなたの抜けた羽根を譲ってほしいのだけど」


「なにに使うのですか?」


「ネヴァンと一緒に戦ったらどんな感じだろうと思って」


 使う素材を考えながらなにか物足りない気がしてネヴァンに聞いてみる。

 私の扇子の骨をマスコットであるネヴァンの羽根に変えてみたい、なんて思い付きだ。

 重量そのものは変わらなくてもイメージ的にスケルトンの骨を使うより軽いかもしれないし。


「まあいいでしょう。私とムギの仲です」


 出会ってまだ2日だけどネヴァンは私を親しい仲であると認識しているようだ。

 偶然とはいえ死にまくったおかげだね。


 ごっそりとネヴァンの羽根を受け取ったのでこれで自分の装備を組み立てていこう。

 しかし2日でこんなに抜けるものなのだろうか?

 ネヴァンがハゲてしまわないか心配だ。



「でっきたあ!」


 突然の歓声に思考が一時中断する。

 どうやらトキちゃんのほうは進展があったようだ。


「もうザクロの装備できたの?」


「ううん、デザインだけ。ムギちゃん見てくれる?」


 別に私が最終確認者ではないけれどトキちゃんは律義にデザインを見せてくれるらしい。


「ブラックバッカラっていう名前にするの」


「ああ、かなり黒っぽく見えるバラの名前だね」


 その名の通り首輪のところどころに黒いバラがあしらわれていた。

 ドラゴン用というより人間用のチョーカーみたいだ。

 ところどころ初心者らしい不慣れさは見えるけれどこれはかなり良いデザイン。


 まるで元々センスがあるみたいな……

 でも朱鷺ちゃんは服を買いに行っても「ムギちゃんが選んで」って私に選ばせていた。

 みーさんが「ファッションセンスがないのは私の遺伝かも」なんて言っていたからなんとなく朱鷺ちゃんはそういうのが得意じゃないって思い込んでいたけれど、そうじゃなかった?


 じゃあ私が張り切って朱鷺ちゃんの服を選んでたのはいい迷惑だった?

 トキちゃんの装備を好き勝手決めていたのはもしかしてウザがられてた?


「今日はもう時間が近いし作るのは明日だね」


「……うん、そうしようか」



 心臓の音がいやに大きく聞こえる。

友達が育てたパースニップが届きました。

新鮮なので前に買った輸入パースニップより良い香りです。

なに作ろうかな。

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