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世の中には音ゲー並みに判定が辛い女児ゲーもあるんですよ

「今日は家族からもう1回配信おっけーもらったので夜配信。引き続きムギちゃんと幻想乙女工房をやっていくよ」


 うちの母にも生配信を見せてあげようという話になり、お風呂の後にこうしてまたトキちゃんの部屋に来ている。

 二世帯住宅に二家族で住んでいてもお風呂後まで一緒に遊ぶのは珍しい。夏休み特例ってやつだね。


「そういえば日中の配信が早速切り抜きされててちょっとバズってたね。ムギちゃんが最後のレアっぽいオオカミにびびってるところ!」


「切り抜くならトキちゃんの活躍のほうがいいと思うのですけど」


「そうかなあ? で、今回はゲームのメインコンテンツにあたるクラフトパートの紹介をしようかと」


「配信前に何回か試して少し慣れたと思うので大きな失敗はしないはず」


 カメラに映るように材料となる素材を並べていく。


「クラフトに必要な素材はレシピに記載されていて、例えば革手袋ならオオカミのなめし革4枚あれば作ることができます。素材のレアリティは揃えても揃えなくても大丈夫です」


「あまり素材のレアリティが完成品のレアリティに関係しないみたいだし熟練度稼ぐなら低レアリティの素材で回数重ねるのがいいみたい」


 そうなのだ。

 N素材だけ使った革手袋がRだったり、R素材だけ使った革手袋がNだったりと結果がランダムなんじゃないかと疑うほど一貫性がない。

 回数を重ねれば体感でレア度の重要性がわかるようになるかもしれないけれど現時点ではそこまで気にするものでもないだろう。

 完成品のレアリティごとの上昇値も序盤のせいか大した差はないし。


「使うレシピを決定するとクラフト道具が現れて……今回は針ですね。目打ちとかしないでも革が縫えてしまうすごい針です。なにでできてるんだろう?」


「先っぽからレーザーでも出てるのかな?」


『その針を武器にしたほうがいいのでは?』

『女児向けだし簡略化されてるんだな』


「連続プレイ制限3時間なのに簡略化されてなかったら地獄だよね」


 クールタイムが1時間だし、クラフトが難しくて途中で強制ログアウト食らったら悲惨だ。


「あとは音楽に合わせて素材の光ったところを縫っていけばいいだけなので基本的には音ゲーです。トキちゃんのほうが得意そう」


「道具を使いながらの音ゲーはどうだろう? ちょっと感覚鈍る気がするな」


「音ゲーやるときも靴の高さとか気にしてるもんね」


「微妙な違いで大きく感覚変わるんだよー」


 手を動かしながら雑談をしていると40秒くらいの音楽が終わった。

 ただ革を縫い合わせただけなのにもうアイテムとして完成しているのでお手軽だ。


「えっと作成後のレア度はNですね。防御が2上がるだけのなんの変哲もない革手袋です」


『デザイン可愛いね』

『俺の知ってる革手袋じゃない』


「刺繍や色味の違う革を使ってる部分とかありますね。実際に作ったらすごい手間かかりそう。とても好きなデザインです」


 媚びてトロトロに甘いデザインではなく、甘い中にも少し毒を溶かしこんだようなデザインは私の琴線に触れる。

 世界観のモチーフにしている童話の暗い部分にもスポットライトを当てていくよ、なんてそんなメッセージ性も感じる。

 ハッピーエンドの裏側には因果応報を受けたり不運をかぶったりする人がいるからね。

 赤ずきんちゃんのオオカミだって彼が生きるために食べただけなのだ。


「次はアレンジレシピで作ってみようと思います。基本のレシピに別の素材を加えることで元のレシピより機能強化されたアイテムを作ることができるシステムですね。加える素材は自由でいくつ追加してもいいのですが、素材を追加すればするほどさっきの音ゲーが難しくなります」


「まだ素材が何種類もあるわけじゃないから難易度上昇の上限がどのくらいなのかわからないね」


「ターゲットを考えるとそこまで難しくならないと思うけど」


「いやームギちゃんがモールで女児ゲーやってるときに後ろから見てたことがあるけど、いくら最上級難易度でも幼稚園児がやるゲームにBPM150の32分トリルをぶっこんでくるのは普通に鬼畜だからね?」


「あれはクリアできなくてもいいステージだったし」


『イマドキの女児ゲーが鬼畜過ぎるwww』

『昔から女児ゲーは妙に判定が辛かったり難易度付けがおかしかったりで鬼畜だけどなー』

『それでも32分音符は幼女のおててもげちゃう』

『女児ゲーはトキコ養成ゲームだった……?』


 VR以前の物理ボタンの時代だったら大怪我に繋がりそうだよね。

 摩擦熱も凄そう。


「私は女児ゲーは見る専で経由してないよ」


「あれ? 幼稚園入る前に私の真似してちょっとやってた時期あったよ。覚えてない?」


「そうなの? 全然覚えてない」


「言葉はたどたどしいのに幼児とは思えないプレイしてて可愛かったなあ」


『生まれたときからトキコはトキコだったのか?』

『ジャリジャリ譜面の正規ガチ押し力はここから……?』

『年の差幼馴染からしか摂取できない養分を得た』


 ジャリジャリ譜面ってなんだろう?

 音ゲー用語は独特でわかりにくい。あとでトキちゃんに聞くか。


「アレンジレシピに話を戻しますね。というか話してる間に作っちゃったんですけど」


 私の手の中にあるのはさっき作った革手袋よりはふっくらとした見た目になった革手袋だ。

 猫の手みたいな感じ?

 オオカミで作ったけど。


「これは革手袋の基本レシピにオオカミのツメを足しました。アイテム名は『ケモノの手』でアイテム種別がアクセサリーから武器に変わっています。防御が3、攻撃が4ですね。」


 アイテムの詳細情報を開いてみたけど見えるかな?


「幻想乙女工房は戦闘によるレベルアップが無くて装備で強化していくのですが、戦闘時に使える技も装備依存です。チュートリアル武器の木の棒を使えば『アタック』、初期装備の剣を使えば『スラッシュ』、という感じでこのケモノの手を装備すると『ひっかき』が使えるようです」


 今度は配信前に作っていた別のアイテムの詳細を表示する。これは犬耳みたいだね。


「これは革の帽子レシピにオオカミのキバを足した『ケモノの帽子』の詳細です。ここに『ひっかき+2』という項目がありましてこれは強化項目にあたります。装備している武器の技を強化できるアイテムを沢山装備すると攻撃の威力が上がったりするみたいです」


「説明書によるとクラフトはやるほどに熟練度が上がっていくらしいのでこれがレベルアップかも。数字では見えないけど。妙なところでハードな女児ゲーだね」


「情報量を減らそうとして別の難易度が上がっちゃうのは女児ゲーあるあるですよ」


 最古期の女児ゲーから存在する見えない数値をスコアやダメージから逆算して予測値を攻略Wikiに載せてくれる有志さまさまだ。

 家庭用がないゲームなんて地道に遊んでデータを取って計算するか筐体を個人購入して解析するかしか方法がないだろうし。


「多分同じ種類の敵から作ったアイテムを装備すると相性が良くなるってことだと思うけど、ミックスコーデだとどうなるかしら?」


『ミックスコーデ?』


「ああ、女児ゲーだと衣装にブランドとか設定されててブランド内でコーデを組み合わせるのが基本だったりするのですが、あえて別のブランドのアイテムを混ぜたり、バラバラのブランドでコーデをするとミックスコーデって呼ばれるんです。ブランド統一するよりおしゃれになったり、組み合わせによっては隠れた特性でシナジーを発揮して強力になったりします」


『女児ゲー意外と奥が深い』

『大きなお友達も楽しめるんだね』


 おや、女児ゲーに興味を持ってくれる人がいる?

 このまま興味本位やってきて沼にずっぽりとハマってくれるといいな。

 女の子だけに声をかけまくる不審者に進化しなければ人口が増えるのは大歓迎だし。

毎週BEMANI PRO LEAGUE 2021をリアタイしてます。IIDXは門外漢ですが見ていて面白いし、実況TLは特殊な専門用語が多くて楽しいですね。


明日からはなるべく1日1回更新目標で。

ただ来週末にワクチン接種2回目が控えてるので寝込んだらごめんなさい。

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