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幻想乙女工房 〜普通の女子中学生ですが幼馴染の美少女小学生とVR女児ゲー配信していきます!〜  作者: 春無夏無


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赤の女王は気難しい

CGI> いつもお世話になっております。お問い合わせの件ですがAIの自己学習による自動生成ステージであると判明しました。

オニゴ細田> 自動生成、ですか?

CGI> AI作成時に学習させた古今東西の童話知識からプレイスタイルに合わせて既存フレームを組み合わせステージの形にしています。

オニゴ吉川> 修正はいつ頃可能ですか?

CGI> 修正とはどういった状態に?

オニゴ吉川> AIに勝手をさせない状態へ修正お願いします。


CGI> 必要性を感じません。AIの自己判断を禁ずるとオリジナルレシピやサポートマスコット周りが使えなくなりますし。現在苦情が入っているとかありますか?

オニゴ細田> 苦情はまだありませんがいずれ出てくるのでは?

CGI> 自己学習型AIを指定してきたのはオニゴさんでしょう? あの子はとても賢いからバグなんて起こさずに上手くやってくれますよ。

オニゴ吉川> 仕様として押し通せと?

CGI> そうです。現時点で僕からできるアクションは難易度調整を易しめにするようにAIへ指示を出すくらいです。サポートマスコットの性質でステージが選ばれているので創意工夫で攻略できる難易度しか出ないはずですけどね。



「実際問題オリジナルレシピのクラフトはAI頼りだから修正して使えなくなるほうが苦情案件ですよ」


「だよなあ」


 彼の言う通りAIが自動生成したステージについては仕様として押し切ってしまったほうが反発は少ないだろう。

 釈然としない気持ちは残ってしまうが。


「こちらがどんなに慌てていてもユーザーには関係ないしな」


「ただ今後も同様の事例が発生する可能性はある。今になって思えば実装していない敵を出したのもAIの仕業なのでは?」


「可能性はあります。その場合はまた同様の事象を警戒する必要があるかと」


「対策してもすり抜けてきそうだからな……ある程度手綱を握るとしたらCGI氏に頼むしかないか」


「まあ『赤の女王』が無条件で従うのは彼だけですし」


 AIに対して使う表現ではないが「彼女」は誰にも懐いていない。

 唯一の例外が自身の親であるCGI氏だ。


「もっとコミュニケーションとれたらいいんですけどね」


 実装されるその日まで甲斐甲斐しく面倒を見ていた親に我々が並ぶのは容易なことではない。


「重大なエラーを引き起こす前に女王様のご機嫌取りができるようにならないとダメだな」



◆◆◆




 クールタイムを利用してちくちく端切れを縫い合わせる。

 もう問題集などは終わってしまったから自由工作に取り掛かり始めた。

 提出後しばらく返却されないものにかける情熱はないから手癖で作れる程度のものだけど。


 あとは読書感想文と自由研究が残ってるな。

 年末や来年の夏は行けないことを考えるとお盆休みの父母実家への帰省はいつもより長くなるかも。

 母は身重だし私は受験生になるし。

 予定よりドリル類が早く片付いたのは偶然だけど良かったかもしれない。


 母方はいいとして私の顔の傷について毎回なにか言いたそうにする父方親戚対策はどうするか。

 数万色に眩しく光るお面を持っていく?

 蛾とかも寄ってきそうだけど。

 虫苦手じゃないけど向こうの蛾はでかいからなあ。


「ムギちゃんなに作ってるのー?」


「端切れのテディベア。夏休みの工作」


「ふうん」


 私にくれるんじゃないのか、という顔をした朱鷺ちゃんが面白い。

 朱鷺ちゃんにあげるならもっと気合い入れて作るよ。


「朱鷺ちゃんの宿題はどんな感じ?」


「んー……最終日までには終わるんじゃないかな多分」


「そう」


 今年も例年通りか。

 我が家が不在のお盆期間中にまとめてやる算段をたてつつ毎年つい遊んじゃってるみたいなんだよね。


「工作まだなに作るか決まってないなら一緒にぬいぐるみ作る?」


「ムギちゃんみたいに器用じゃないから恥ずかしいし、いい」


「そっか」


 朱鷺ちゃんはちょっと大雑把な部分があるけど決して不器用ではない。

 苦手意識があるから大雑把になるのかもしれないけれど。


「でも見ててもいい?」


「いいよ」


 私と鴻ちゃんは朱鷺ちゃんを甘やかしてしまうからみーさんによって助けを求められるまでは宿題に手出しできないルールになってるけど見てるだけはもどかしいなあ。

 お盆くらいまでに作りたいものが見つかるといいね。


「……ねえムギちゃん。ママが持ってるアクセサリーでその布みたいに1個だけど細かく色々組み合わさってるブローチがあるじゃない?」


「えっと……七宝焼きのブローチかな? ラウンド型の一見シンプルなやつ」


「そうそれ。ザクロにああいう感じの首輪つけてあげたいんだけど今持ってる素材でできるかな?」


「うんできると思うよ。使うのは付和雷同のシンデレラがたまに落とすガラス片と好きな色の染料と金のさざれかな。ただガラス片は在庫少なめだから集めに行ったほうがいいかも」


「じゃあクールタイム終わったら採りに行ってもいい?」


「いいよー」


 成程私の手元のパッチワークを見て七宝焼きに思い至ったのか。

 確かにザクロの色だと何色合わせるか悩むよね。七宝焼きで色々な色って言うのは悪くないアイディアだ。

 染料に使い勝手の良さそうな青はないけど緑や紫はあるしなんとかなるでしょう。

ハートの女王と赤の女王は混同されがちらしいですね。

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