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バラの名前は面白い

 ラプンツェルのステージは今までと様子が違っていた。

 ステージ名の『迷いのバラ園』の通りラプンツェルが住むと思われる塔を中心にバラが植わっていて、それが迷路になっている。


「塔から落とされた王子様が失明したのってバラのせいだっけ?」


「ラプンツェルそこまで詳細に覚えてない。なんにせよ失明するくらいだし柚子の木くらい尖ったなにかよ」


 柑橘類のトゲってバラの比にならないくらい鋭利だよね。

 小さい頃庭に埋めた柚子の種から成長した木のトゲトゲっぷりはよく見てる。

 まだ実もならないのにトゲだけは立派とか反抗期みたい。


 色とりどりのバラから同じ色の妖精がランダムで出現するけれど、この妖精を倒すと同じ色の染料が手に入る。

 だから欲しい色があるときはそのバラの近くでウロウロする必要があるけれど、今のところ何色でも嬉しいので迷路を普通に進むことにした。


「見てムギちゃん! あれは『ふれ太鼓』、あっちに『ピンクサクリーナ』と『ミミエデン』、それから奥のほうに『ローブリッター』、あとちらっと見えるガゼボ。配置から見て多分ロケハン先は京成バラ園!」


「うん見覚えあるねどことなく」


 全く一緒というわけではないけれど雰囲気からモデルはそこのような気がする。


「ということはあっちのほうに……ほらあった! 『チンチン』!」


「おやめなさい」


『トキコ大暴走www』

『こういうのを見ると小学生なんだなって安心する』

『むしろ男子小学生じゃないか?』

『コメント禁止ワードを軽々言うな』


「……トキちゃんはバラ好きですからねえ」


 明るくて強い赤色の『乾杯(チンチン)』は私もきれいで好きだけどさ。

 ただ実在のバラ園と違って品種の案内があるわけではないしさっき挙げた品種も色や形が特徴的で見分けやすいものばかりだったから、見た目は一般的な『乾杯(チンチン)』を探したのはわざとだろう。

 その名前を美少女が満面の笑みで言ったらいけないと思うんだ。


 ちなみにうちの庭にはバラはない。

 バラは育てるのがめちゃくちゃ大変なのでたまにバラ園で見て愛でるくらいがちょうどいいということらしい。

 ミニバラの鉢植えくらいならいけそうな気もするけど。


 それにしてもこの方法だと青の染料って難易度高くない?

 青っぽいバラはいくつかあるけれど真っ青なバラは存在しない。

 別に現実世界じゃないしどこかに真っ青なバラもあるかもしれないけど。

 バラに限定しなければ青い花はあるので今後のアップデートで花畑とか増えるかもしれない。

 童話だと出てきそうなのは親指姫辺りか。


 さて肝心の妖精戦。回復役と攻撃役の妖精がタッグを組んでいるのでそこそこやっかいだ。

 魔法を使えるようになっても単体しか攻撃できないし、上手く回復役から先に倒さないといけない。通常は。

 そこはもうトキちゃんの範囲攻撃大活躍。相変わらずのオーバーキルっぷり。


 面白いくらい染料がドロップするのでとても楽しい。

 あとときどき『妖精の粉』って素材が手に入るけど多分これラメだね。

 女児にラメを与える行為は大変危険。だってなんでもキラキラさせたくなっちゃうから。

 ラメ入りのインクとかラメ入りの化粧品とか好きな大人はきっと子供の頃ラメに魅せられちゃったんだ。


 迷路そのものはそんなに難しくない。

 ただたどり着いたこの塔、どう見ても階段らしきものがない。ラプンツェルの塔なら当たり前の話だけども。

 どうやって戦えばいいのだろう?

 降りてきてくれる……とかはないよね、ラプンツェルだし。


「こういうときはとりあえずセオリーに沿ってみましょうか。えっと『ラプンツェル ラプンツェル お前の髪を垂らしておくれ』」


 これがだめなら『開けゴマ』だ。

 でもその必要はなく塔からするすると長い髪がおりてきて……私たちを攻撃し始めた。

 ちょっとまって、髪に対して『ラプンツェル』って名前が表示されてるけどあなたの本体髪なの?


 序盤3ステージで一番難易度の高いステージボスなのは戦い始めてすぐわかった。

 攻撃の種類が多過ぎる。


 まずは髪をぶんぶんと振り回す単純な物理攻撃。

 軌道は読みやすいけれど当たると結構痛い。純粋にパワーがあるんだと思う。


 それから編んだ髪の先から放たれる散弾状の魔法。

 編まれた髪がほどけたときは触手のようにこちらの動きを封じようとしてくる。


 編まれた状態だとトキちゃんのみだれひっかきでも切れないから防御力もかなりありそう。

 攻撃を避けつつ地道に体力を削っていくしかないけれど、攻撃回数が増えると向こうのゲージ技が発動してしまう。


「なんか2D横シューの敵みたい」


『わかる』

『わかりみ』


「弾幕って程ではないけど女児向けではないですね」


「うーん、この様子だとゲージ技かなり強力な気がする」


 通常攻撃がこれだからね。となると今までと違うことをやる必要がありそうだ。


「かすってみる?」


「かする?」


「そう、こっちはなにもせず向こうの攻撃をぎりぎりで避けて、ほんの少しだけかするようにする。そうするとダメージ無しでも攻撃を受けた判定になってこっちのゲージが先に溜まる」


「それって危なくない?」


「ちょっとでも失敗したら普通にダメージ食らうね。だからムギちゃんより防御の高い私がやる。『鼓舞』の重ね掛けして確実性も高められるし」


 そういえばあったねバフ。全然使わないから忘れかけてたけど。


「ま、だめでも再挑戦すればいいんだし気楽にやろう」

本当に良い赤色なんですよバラ品種のチンチン。

名前で損してる(だが面白い)


輸入時に和訳しなかったのは他に乾杯って品種のバラがあるせいなんですかね?

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