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女児ゲーも家庭用VRになる時代なので

新連載です。

VRですがMMOではないやつです。

「ちょっとトキちゃん! これ本当にターゲット女子小中生向けなの?」


「死んでも素材ロストはないし、痛覚設定もないから私やムギちゃん年代向けだと思うよ」


 後ろから追いかけてくるオオカミの爪を器用にいなしながら私の背後を守るトキちゃんがのんびり答える。

 普段音ゲーで鍛えている反射神経が戦闘にも生かされているらしい。


「そうじゃなくて、エネミーの殺意が高過ぎない?ってことよ! これで難易度最低のステージって上はどうなってるの」


「前評判だと戦闘はおまけ程度って話だったけど思ったより攻めてくるね。私は問題なく見えるけど」


「大体このゲーム、チュートリアルの相手が未実装のラスボスってなんなの。手加減されてたとはいえ最序盤に出てきていいキャラじゃなくない?」


「いいじゃん、ムギちゃんの好きな超美少女だったし」


「大好きだけど!」


「あ、そろそろ赤ずきんの森の出口みたいだよ。ちょっと応戦してみるからムギちゃんはドアまで走って」


 確かに前方にステージの出口を表す私の工房のマークが浮かんでいる。

 あそこまで辿り着けばもうエネミーは追いかけてこない。

 いやでも応戦って、するの?


木の棒(チュートリアル)よりはマシだけど未強化初期装備でレアエネミーは運が悪い。でもまあムギちゃんのためになんとか死んでもらおう」


 トキちゃんは踵を返し、剣を構えてオオカミへ突進していった。

 ふわふわとした髪をなびかせて急に向かってきたトキちゃんに驚いたのかオオカミの体が横にぶれ、そこに生まれた隙を見逃すことなくトキちゃんは切っ先を正確にオオカミのまなこへ突き立てる。

 ゴア表現は存在しないので血を飛び散らせることはなく大ダメージ判定されたオオカミはその場でダウンし、トキちゃんが剣を更に押し込むとそれがトドメとなったのかオオカミの体は粒子になって消えていった。


 これ、トキちゃんのファン的にセーフなのだろうか?

 今更な話だけどちょっと心配だ。


「ムギちゃん倒したよー。素材も手に入ったし工房へ帰ろうか」


「う、うん」


 さっきまで見る余裕がなかった配信コメント欄をチェックすると、結構な速さでコメントが流れていた。


『トキコ容赦ねえ』

『目玉がヒュンヒュンした』

『↑目玉が股間にあるのか?』

『虐殺美少女!』

『大会決勝みたいな容赦のなさで興奮する』

『大いにアリ』


 ……問題なさそうだな。

 トキちゃんのファンはかなり訓練されている。


「他のオオカミより大きくて凶暴だったのによく倒せたね」


「レアエネミーっぽかったけど生き物の形をしているなら目潰しすればなんとかなるかなって」


「その考えはどこから?」


「お姉ちゃん」


 (こう)ちゃんかー。

 物静かだけど思い切りのいいあの幼馴染なら普通に教えそうだ。


『来るかトキコのお姉ちゃん語り』

『お姉ちゃん大好きっこ尊い』

『ムギちゃんはトキちゃんのお姉ちゃんと仲良いの?』


「おや私宛?」


 この配信はトキちゃんのチャンネルで行われているので私に話が振られるとは思ってなかった。


「お姉ちゃんは私の同級生で普通に仲良しですよ。お姉ちゃんもトキちゃんのことを大事にしてて見てると兄弟のいない私は大変羨ましいです」


「ムギちゃんも私と結婚すればお姉ちゃんの妹になれるよ!」


「可愛いこと言うなあ。そんなことになったらトキちゃんのファンに刺されちゃうよ」


 今はアバターだから身長差がほぼ無くてやりにくいけどいつもリアルでやるように頭を撫でてしまう。

 トキちゃんみたいな美少女にそんな可愛いことを言われたらうっかり勘違いしてしまいそうだ。

 幼馴染なので勘違いしないように自制するけど。


「全然本気にしてくれないー」


『キマシ?』

『あしらわれてるトキコ新鮮』

『第三者視点助かる。ムギさんから見たシスコンエピソード聞きたい』


「ってなコメント来てるけどどこまで話していいの?」


「いつもお姉ちゃんへの愛は配信で語りまくってるから何話しても大丈夫だよ」


「そうだなー……お姉ちゃん宛のラブレターをトキちゃんが捨てて、トキちゃん宛のラブレターをお姉ちゃんがコンロで焼いてるのを見たことがありますよ」


『ひっ』

『ガチなやつ』

『こわ』

『まさかワイが送ったファンレターも!?』


「私宛のファンレターは送り先のフレバリームーン社で検閲後にもらってるから見てないファンレターもあると思う。義務教育が終わってプロ契約したら全部受け取れるようになるから待っててね」


「そもそもプロ契約してないのにゲーム会社がファンレター受け付けてるのがすごいよね」


『期待されてるなー』

『小学生のうちにチャンピオン奪取してほしい』

『トロフィー重くて持ち上げられないトキコちゃん見たい』


 流石にそこまで非力じゃないけれど言いたいことはわかる。

 トキちゃん小柄で低学年くらいに見えるから成人男性が持つのを想定したトロフィーを持ったらすごく可愛らしくなりそう。

 重力に負ける女児可愛い。


「中学に上がったらアリアドネ埋め込みの特例申請出すけどヘッドギア使ってるうちは正直ちょっと厳しいかな。諦めてはないけど」


 実質ハンデありでトップランカーに食らいついているところがすごいんだよね。

 反射神経とリズム感がモノを言う音ゲーってフィールドでの勝負は神経埋め込み型デバイス【アリアドネ】のほうが有利だし。

 歴代メサルティム(枕型VRデバイス)なら家に転がってるけれど配信向きではないし。


「そろそろ素材のチェックしようか? さっきの大きいオオカミの素材も気になるし」


「そうだね」


 インベントリを確認すると以下のアイテムが追加されていた。


◆オオカミのなめし革

N 31

R 10

SR 5


◆オオカミのキバ

N 22

R 12

SR 3


◆オオカミのツメ

N 10

R 4


◆シルバーウルフの毛皮

R 1


◆シルバーウルフの尻尾

R 1


「うーん見事にオオカミ素材ばっかり」


「ステージボスの赤ずきんガン無視してオオカミ狩り続けた結果だね。もしかしたら最後のオオカミの出現条件がそれなのかも」


「じゃあまたあれに遭遇するかもね」


「ムギちゃんまだオオカミ狩るの?」


「とりあえずクラフトレシピの1ページ目をSRで埋めてみようと思って」


「凝り性だね……あ、強制ログアウト10分前通知きたよ」


 おっと、もう3時間プレイしてたのか。

 オオカミの怖さはともかく連続プレイ制限がある辺り小中学生向けゲームって感じがする。


「このゲームのメインであるクラフトまで見せたかったけど今日はここでタイムオーバー。次回配信は私のアカウントから告知するからまた見に来てね」


「幻想乙女工房の配信は私とトキちゃんの協力プレイで進めていくので予定が合わなくて遅くなったらごめんなさい」


「しばらくは音ゲー配信と並行してやってくよ。チャンネル登録と高評価、まだの人はよろしくね!」

仕事が忙しく、癒しを得るため女子中学生と女子小学生がイチャイチャするのを見たい一心で書いてます。

評価やブックマークで応援よろしくお願いします。


初めてやった女児ゲーはきらレボ、一番好きで一番現金突っ込んだ女児ゲーはオトカドールです。

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