肌の温もりと神木
落石の危険を感じなくなった瞬間に激痛に襲われ、苦痛の中で休めそうな場所を探すが、見当たらない
久連が『大木』を繰り返し、2人が休めるスペースを作りだした
「廻、四方を大木で囲んだら、出にくくなる岩で塞いでくれ」
「分かった、任せてくれ」
「長年の研究で生み出した薬草を煎じたものだ、先に飲んでくれ」
飲み終えるのを確認すると、久連は、別の薬草を服用した
「1時間くらいで効果が、出るはずだ、仮眠をとろう」
効果絶大だった10分ほどで効能が現れ痛みが消え、体が軽くなる
傷の深かった久連の様子がおかしい、うなされているようだ
酷い熱だ・・・寒気がするのか、ガタガタ震え、顔面蒼白だった
「大丈夫なのか?」
「効果が少し弱いだけだ、心配するな」
「同じものを飲んでいないのか?」
「俺は、戦わないからな、これで十分なんだよ」
「震えているじゃないのか、寒いのか?」
「くくく そうだ、借りを返してもらおうか」
「何をしたら、そうだ、体が温まるものでも作ろうか?」
「お前の体で温めてくれ」
「ちょっと!そんな趣味はないぞ」
「同情するなら、抱いて温めろ くくく」
「服を・・・・あっ、破って止血に使った」
「そう、悩むな、温めてくれたら、早く良くなる・・たのむよ」
「庇って、大怪我をさせた・・・」
温めるために背中を抱きしめる黙っていると、向きを変え顔を覗いてくる
顔が近いし、急に見つめられると男同士なのにドキドキするじゃないか
動揺を悟られないように、落ち着いた声を意識して
「顔をこちらに向けないでくれ」
「悪い、どんな顔してるか気になってな」
「趣味が悪いぞ」「くくく」なんだか嬉しそうに笑っていた
早い時間に出発して肌寒かったが、ひと肌てこんなに温まるものなのか
お互いの温もりで温め合った効果もあったのだろうか、落ち着いた寝息に変わっていた
安心したら、眠ってしまっていた 蒸し暑さで、目を覚ます
「熱い!」
「目が覚めたか、ちょうど、服が完成したとこだ」
「作業なんかしていて、傷は大丈夫なのか?」
「ああ、ほれあれだ、お前の愛に包まれて、治ったようだ」
「気持ち悪いこと言うな、血が流れていたんだぞ、簡単に塞がらないだろう」
血の滲んだ包帯を指に巻き付けくるくると腕を回し素早く巻き取った
どうだと、前後の状態をみせ、最後に大きな傷だった頭を向けた
こんな短時間で、思わず、傷があったところを指で触れ念入りに確認した
「薬草の効果が凄いな、傷の跡が、完全に塞がっている」
「なかなかの指の動きだったぞ、フゥー くくく」
身震い仕草をしてからかわれたが、無事に回復して安心した
熱を出し、震えてる姿を見て心配で仕方なかったんだよ良かった
海辺をしばらく歩いていくと、すぐに森林が広がり、奥の方に山々が映る
シューーーと、謎の音が鳴り響いている・・・風の音だろうか?
久連は山の方を指し、ひときわ目立つ大木を目指していると伝えた
「あの大木の葉が欲しいのか?」
「いや・・・すまないが私用だった」
「どういうことだ?」
「大切な人の残した?化身ともいえる神木か確認したい」
「よくわからんが、ついていくよ」
久連は各地である神木を探して旅をしていたそうだ
なんでも、大切な人の心が宿る神木があるというのだが、よくわかならない
私より、レベルが高いようだし、成長したら、石が話しかけてくれるかもしれない
同じような特殊な技を取得していくみたいだし
武器は石しか装備が出来ない、防具は限定してないようだが、勇者独特の能力なんだろうか?
久連は、植物を装備出来るというが、草木じゃ、戦闘には向かないだろうな
補助効果と回復効果を磨いて来た気持ち、わかる気がする
石を扱え、融合で武器を作れる・・・最初は、不満しかなかったが、恵まれいた
久連が、いつになく、真面目な顔で説明を始めた
世界の崩壊が、始まっているのか、大地に謎の亀裂が存在している
各地を回ってある程度把握しているが、この山にはあった
肥料になる植物だが入手困難なるだろう、先ほど、聞こえただろう、謎の音
あれは、ジクウワームが出してる声だ 亀裂を住処にしていて戦闘力が全く分からん、
神木があるが・・・今まで手が出せなかったのはそういう事なんだ
想像を絶する化け物かもしれない、廻、命がけの戦いになるかもしれない悪い
山に侵入して、すぐに遭遇した、でかい!体の一部を見た感じでは、へびのようだった
シューーーと鳴く、気が付かれたか?
近くで聞くと迫力が・・・三半規管が揺れたかフラフラした
岩を装備して『投石』直撃したが、反応が無い ダメージを与えた感じがしない
胴体周りが5メートルくらいか、小石を投げられてる感覚なのかもしれない
「久連、命中に不安があるから離れてくれ」
攻撃力10000を誇る、大型トラックサイズの石柱武器Lを装備した
軽々と持ち上げ、慎重に垂直に立てた
「なんだそのふざけた武器は」
「見ての通りだ、巻き込まれそうだろ?」
振り回しては当たらないだろうが、接近して振り落とせば、確実当たる
ヘビのような生き物、頭を抑えれば、忍び寄ると、どこなんだ?と探す
弱点であろう頭を狙うつもりが、気持ちが焦り・・・冷静さが失われ
プレッシャーに耐えきれず、振り下ろした。ゴゴゴゴゴ
命中したが、衝撃で武器は砕けた ダメージは?仕留めたのか?
動きがない、攻撃力1万破壊力抜群だったが、耐久力は無かったか
「おお、やったな 神木確認してくる」
「魔物がいるかもしれない、ついていこうか?」
「大丈夫だ、だが、ドロップ表示がない、まだ油断するな」
落ちているんではないかと、目視で確認に ブーーーン
久連の指摘通りだった近寄ると尻尾らしきものが飛んできた
「うわあ」飛ばされ大木に激突する
激しい衝撃だったが、ダメージは少なかった
久連が作ってくれた上着のおかげか、布にしか見えないのに頑丈だ
衝撃を吸収する素材なのかもしれないが、どちらにしろ命拾いをした
『四角い石 大』インベントリから取り出し、『石壁』防衛効果が働く
防衛回数は増えていないか・・・1回だけ防いでくれる
小は体の周りを回っていたが、大は消え守られてる感じがしない
大きかったし、設置型で後ろに隠れるものと想像していたが、予想が外れたな
自分の技を信じるんだ、念のため木々の間を通り、気付かれないように近づいた
胴体を狙うと尻尾で反撃された頭を探すんだ「どこにある」
神木まで急ぐんだ、探しているものなら、望みが叶う
ゴゴゴ衝撃音が聞こえた、やはり倒せてなかったか、廻、無事でいてくれ
廻をおとりにしてしているようで、良心が痛む
強力な武器がない、助けに戻っても足手まといにしかならない
悔しい、唇を噛みしめ、息苦しいが落ちてきたペースをあげた
「見つけた、頭だ」舌を出し シューーーと威嚇する
対峙をすると、攻撃力2000の石柱武器Lを装備すした
不思議と落ち着く、明け方、村人が喜んでくれた思い出の巨大岩で作り出した
声援する声が聞こえくる錯覚が起こり、力がみなぎり、覚悟を決めると頭を狙い距離を詰める
噛みついてきた、紙一重でかわし転がると立ち上がり、タイミングをはかる
好都合だジクウワームのほうから、攻撃で接近してくる
ギリギリだが、かわせたってことは、動きが見えてる証拠だ
相打ちなら、『石壁』が働き防いでくれる、攻撃を命中させることに集中するんだ
シューと低く声で威嚇してきた、噛みつきが来る前触れだ
噛みつこうと正面から来た、恐怖をを振り払うように目をつぶり振り下ろす
不思議な感覚だった動きが分かる、ここだ喰らえ
岩が砕ける音が聞こえた、武器が壊れたか、武器の制作を2本で止めるんじゃなかった
だが、確かな手ごたえがあった 倒せたに間違いない
目を開けると『石壁』が発動して守ってくれた 心配していた思い出の武器は無事だった
大きく息を吐き、尻もちを搗く、手がぶるぶる震えていた
まだ、ドロップが無い、終わってない
ガブリと噛まれ、体が宙に浮き、上空で噛みなおすと胃の中に飲み込まれ