引き出されたスキルⅢ
廻は人の生存を信じて、謎の建築物の中を調べていた
日の出で明るくなると同時に外壁は火傷を
しかねない熱を帯びていたが内部はひんやりと肌寒い、
それもそのはずか、ボロボロで穴だらけの衣服だった事を思い出す
これでは着ていて着ていないようなものだ
廻は開いた穴に指を滑らすと破り、ぐるぐるとねじり手首に巻き付けると結んだ
何か着るものはないか?まぁ、いいか、風邪をひくほど寒くはない
すっ裸だが性格的に気にならなかった
股を開き堂々と歩く光景を見た者には変質者にうつるだろう
明るいのにこの都市の中には影が存在しない
複数の方向から光が入っていることになるのだろう
なぜこのような高度な仕掛けを何の意味があるのだ
影を忌み嫌ったのか?不気味に感じた
建物の後に潜む物がいたとしても分からない
注意を払い警戒しながら進むのは性に合わない
「めんどくさいな」と呟くと
星の欠片を装備して上空に伸ばすように構えると振り下ろした
隕石が落とされたような一撃のようだろうか
住宅のような建物が粉々に粉砕さていた
衝撃の強風で飛ばされてきたものが顔に巻き付き視界を奪う
「邪魔だな」しでかしたことなど気にはしない
視界を奪っていたのは偶然にも服だった
「ちょうどいい」今はもぬけの殻だが
人が暮らしていた確かな証拠になるのだろう
着てみたがサイズが合わないのか動くと破れていた
これ、1枚ってことはなかろう
破壊した建物の中から自分に合うサイズの服を探すか
粉砕したことで状態のいい服を探すのに時間がかかった
どのくらい時間が経過していたのだろうか
外に出ると明け方にはなかった巨大な影が
振り返ると先端の見えない塔が建っているではないか
影は長く遠くまで伸びていき、最短距離で辿り着く道を作っているように見え
塔を目指し影の道を歩いていくことにした
暖かい日差しなのに冷たくなり、吹く風が変わるのを感じる
塔の先が眩しく光り、海が広がっているのが分かった
塔に近づくにつれ、時折、強風が体を押す、進むのを拒むかのように
強風で引っ張られ頬が歪むが目に迷いなどない
さらに進んでいくと湿っぽい風が吹き竜巻が発生していた
だが足は止まることなく進路を変更することもない
襲い来る竜巻の中を迷うことなく平然顔で取り抜けていく
抜けると新たな竜巻が発生して繰り返して向かってきたが
無駄な事を悟ったかのように急に風は穏やかに吹くと竜巻は消えていた
視界を邪魔するものがなくなり、塔には継ぎ目は無く組み立てられた形成がない事が分かる
しわが無くなんと綺麗な姿なんだろうか
これほどのものを作り出した謎の存在
関わらないほうがいいのかもしれないがその選択は無い
塔の鏡面に触れると先程の建物と同じように高音を発していた
命がけな戦いになるだろうと考えながら入り口を探した




