空白と動き出した時間
シューーーー不気味な低い風の声、違う立ち去れと威嚇しているのか?
なにか戦う手段はないのか?考えるがなにも思い付かない
後ずさりした時、ポキと足元で枝が折れる音が唯一の方法を思いついた
投げられるものは無いのか?足元の転がる石を手にして話しかける
「私が、魔物の注意を引くから君は逃げてくれ」
不思議そうな顔で「なんで?」と尋ねてきた
「巨大な魔物だ、安全なとこまで避難したほうがいい」
「だから、なんでなの?」不満そうな声だった
そうか混乱しているのか、一緒にいたらこの子も危険になる
「心配しなくてもいい逃げるのは得意だ、私に任せて、早く逃げるんだよ」
「えーなんでぇー、酷くないですか」
ジクウワームを目指して走り出す ハァハァ
崖を飛び降り、転がりながらも降りていく
何をしているんだろう馬鹿なな私は・・・
山を下りていくと腐った木々が倒れている広い場所に出た
自然災害とは思えない不自然な・・う・記憶の断片が頭に浮かぶ
激闘が繰り広げられ木々が倒れて大きな物体が倒れていく
苦しい・・・呼吸が出来ない・・・喉が焼けるようだ
戻ってきたのか・・・ん?誰が?男が立っていた
月の光に照らされ、何かが光り落ちていく・・・
男の顎のあたりから光るものがポッンポッンと泣いているのか?
泣き崩れるように私に抱き付くと名前を呼んで叫んでいた
名前を聞いた瞬間に記憶が真っ白になる
いまのは?顔に生暖かい雨粒の感触が鮮明に残っていた
手に持つ小石が大きな岩に変わっていた「うわ!」驚き固まる
「ねぇねぇ、珍しい石なの?」
驚いて顔を上げると少女が横にたっていた
「なんで逃げていないんだよ、死にたいのか?」
「えーなんで!酷くないですか?」
うわ!やばい!怒った顔も可愛い、意地悪なことを言いたくなるが
何を考えているんだ私は、純粋そうな子に意地悪なんかしちゃ駄目だろう
「いやだ、何処みているの?ふーん、私の事が好きなんでしょう?」
「いやいやいや、こんな子供に興味はない」
「本当にそう思うの・・・・うっ、心にダメージが」
可愛いに決まっているだろう、意地悪な言い方になってしまう
感情が表情に出て面白い、みんなに好かれているんだろうな
突然ジクウワームの巨大な尻尾が振り回されゴォォォ
強風に木々が揺れ折れた枝や小石が体に当たる
冷静に少女の手を引き大木の後ろに隠れる
「ドキドキするね くしし」急な強風で確かに驚いた
「安心して何か飛んできてもここなら大丈夫だよ」
「えー、その手、壁ドン?木ドン?キュンとした くしし」
「こんな時に何を言っているんだ」
「愛の告白かなと期待したのにな くしし」
「はぁ、ここに隠れていて、注意を引くから、今度こそ逃げてくれよ」
木々に隠れながら近づき、投石をしたが反応が無い
この程度では、痛くはないって事か、困ったな
『光雷』声が響き、周辺が光に包まれ、魔物の攻撃か大木の後ろに身を隠す
シューーーと断末魔のような声が・・・光が落ち着くと地響きが鳴り響き静寂が訪れた
「バイバイ」と少女の声が聞こえたような気がした レベルが一気に上がる
あの少女が倒したのか?姿を探したがどこにも見当たらなかった
不思議なことに、さっきまでなかった綺麗な花を咲かせた大木が立っている
見上げて眺めていると手が吸い込まれるよに触れ大木は消え
木刀が握られていた、さらに山いたはずなのに村の中に立っていた
村人が話しかけてくる 久連さん、無事だったんだね
心配していたよ、廻さんと一緒じゃなかったのかい?
そうか、若いから無理だと理解して逃げだたか、仕方ないことだ
自然の恵みを独占した疑われ周りの村々に恨みを買い
村は焼かれ消え去った、久連さんの助けで死人は出なかったが、酷い生活を過ごすことになったんだよ
生活に不満は無かったのに全て失い、多くの村人が飢え死をした
廻さんを見つけても、攻めないでくれ、運命を受け入れているよ
哀れに思った一人の少女が村を再建してくれたんだ、ありがたいことだ
話を聞いていて、胸が締め付けられる
なぜか、私の責任だと感じていた、悪いのは、廻のはずなにになぜだ?




