マイライフ2 連れ子家庭
訳あって住まいは自分が工面して借りた物件ではなく、コネがある。
姪子の親友が仮に決めておいた物件の隣家だと気付いた。
理由は、姪子がその自宅に寄ったのを僕が見て、お互い接触したからだ。
「ヨシおじさん? なんで隣のアパートに?」
「まだ本決まりじゃないよ。子供だっているしね」
「いつ決まるの?」
「いや、他のに替える可能性あるかな?」
「チカに聞くよ。ここの家、隣の物件の管理してるから」
姪子の手回しが良くて、順風満帆になり、晴れて落ち着きを保てた僕ら加須一家。
それもハウスシェア的な物で姪子の親友家と地続き物件。親友はその親とは離れて生活し、離れた物件の空き部屋が加須家という条件。
「このような条件で、なんてお詫び入れたら良いか」
「アタシの友達の親族ですので、このくらいさせてください。アタシの主人と息子には後でお話しますので」
「なんか、みっともないようで」
「良いんですよ。賑やかになりそうで何よりです」
「ああ……」
66歳か。しがないアパート生活もいい加減勘弁だが、一軒家から空き部屋借りるなんてなぁ。
「大おじちゃん‼ こんにちは‼」
「おじいちゃんでしょ? マキ」
姪子が連れた子供が親友宅に上がってきた。
「おじさん、何とか安定した?」
「ああ、まあね。爺ちゃんと婆ちゃんに線香は?」
「あ、そうね。挨拶しなきゃね。マキいらっしゃい」
「ママ〜、どこいくの?」
「大お祖父ちゃんと大お祖母ちゃんに挨拶よ」
僕の部屋は狭いから、そこの隅に置いた小さな仏壇に挨拶した姪子とその息子だった。
「ヨッシー、いまー‼ ん?誰か来てんの?」
「ヒカリちゃんお帰り」
「カナおばさん、又来たん?」
「親友の家よ、元々は」
「そうだった、そうだった〜」
僕は娘が帰宅したのを見遣り、見送った。
「ヒッキーお帰り。なんだ遅かったな」
「部活よ。運動部は疲れる〜」
「小学の頃は運動のクラブ入らなかったのにな」
「バドミントン面白いから入ったの。ヨッシー、うるさいなぁ」
「ヒカリちゃん反抗期かな?」
「それより、お父さんと呼べよ。ヨッシーはいい加減、ヤダから」
「ヨシおじさんもなんだかんだ大変ネ、判るヮ〜」
「あ、はあ〜」
僕は安堵した。それに会話が疲れたのか、柚月家のリビングで仮眠取った。
「オジサンって、あなた?」
僕はソファで苦し紛れに起きた。見慣れない女の子だ。
「母が最初のお父さんの居場所知らないって私が調べて、やっとここに来たの」
「母? 誰? 宮城のアヤカさん?」
「アヤカは私の母です。広沢という再婚相手との長女で、名前はシズリ。高1よ」
「へえ、そうなんだ?」
「今日からあなたが私の親よ。つまり、大きな連れ子という意味で」
「なんでなんで?」
「広沢家がイヤになって飛び出したから」
「エエッ⁉」
いきなりの落雷に遭った。それも連れ子という名の豪雷だ。こんなオチ、僕は知らないよ。
穴があったら入りたいくらいに。