13話 お兄さまの温もり
今日は何故だか、早くに起きてしまいました。辺りは暗く、どうやら日も登っていないようです。ですが、昨日ぐっすり眠ったおかげで、眠気はさっぱりありません。
上半身を起こし、伸びをしようとしましたが、右手が上がりません。何事かと思って、掌を握ってみると、そこにあるのは小さな手でした。
ああそっか。と納得します。昨日はお兄さまと手を繋いだまま眠ったんです。だからこんなに安心して眠れたんでしょう。
そこで寝ぼけた頭は考えます。どうして、昨日繋いだ手が、今日もそのままになっているのでしょう。
だんだん暗闇に目が慣れてきました。朝日も昇ってきたようで、部屋の中がじわじわと明るくなっていきます。
そして、それと同時に、私のすぐ下にある人影に気がつきました。
「お兄さまっ?!」
残っていた微睡みが全て一瞬にして蒸発しました。驚きのあまり、大きな声を出してしまいましたが、幸い、お兄さまはぐっすり眠ったままです。
驚きはしたものの、特段まずいことがあるわけではありません。兄妹が同じ布団に入ることの、どこにも不自然はないのです。
むしろ、これは良い機会です。いつも余裕綽々といった立ち居振舞いをするお兄さまの、気の抜けた寝顔がこんなに近くにあるのですから。
こうしてみると、私と同い年なんだなぁ、としみじみ実感します。涎なんて垂らして、本当に可愛らしいです。
それに、お兄さまに触れられていると、とても安心します。
私が病気で苦しんでいたとき、ベッドは、私を縛り付ける牢屋のような気がしていました。ですが、今は違います。お兄さまがいれば、ここはもう、帰るべき一つの場所なのです。
この温もりに、全身を温めてもらえるなら、どれだけ幸せなことでしょう。
というわけで、実践してみることにしました。
横向きに寝転がったお兄さまの姿勢に合わせて、私も寝転がります。そして、お兄さまのお腹や太股に、私の背中やお尻を密着させます。最後にお兄さまの手を、私の前まで回せば、完成です。
これが、全身をお兄さまに包まれる感覚。ポカポカして、それからちょっとドキドキします。
お兄さまの匂いがいっぱいです。少しツーンとする匂いですが、お兄さまだけの匂いで、私は好きです。というか、お兄さまのものなら全部好きです。
先程は眠くないと思っていましたが、お兄さまの温もりに包まれて、だんだん眠くなってきました。
贅沢な二度寝を、思う存分味わうことにします。
毎日こんな幸せが続けば良いのに。




