最初のお遊戯
自己紹介が終わり、早速お遊戯の時間だ。
4月末からシーズンが始まるが、基本的にメンバーは年長から選抜される。
しかし年中、年少にも逸材がいる可能性があるため、それを発掘するためにも1週間に1回園内全員参加の「全体遊戯」が行われる。
今日はその全体遊戯が行われる日だ。
年長、年中、年少それぞれ2組ずつあるため、紅白に分けられる。
そのため、年長から年少までで構成される1チームが完成するのだ。
「俺らは紅チームか」
「そうだね。赤白帽かぶらないといけないみたい」
普通に被ると想像以上にダサかったため、せめてもの抵抗として逆向きに被った。
「紅チーム集合!!」
年長のリーダーが召集をかける。
「俺は日景幼稚園のキャプテンを務める大海原 翼だ。俺がいれば紅チームの勝利は固いぜ」
大した自信だ。
身長は他の奴に比べかなり大きいが横にも大きい。
「お前はその肉で動けるのか?」
光が何も包まずに暴言という名の渾身のストレートをキャプテンにぶつけた。
「足はそこまで速くないが、動けるデブだ。安心してくれ」
「足を引っ張るよ」
失礼極まりない光に対して、キャプテンは屈託のない笑顔で対応した。
これがキャプテンたる所以だろう。
「今日の遊戯はケイドロだ。俺らが泥棒をやる。人数がかなり多いため運の要素も大きいが、積極的に捕まったやつを解放するように。作戦は以上だ」
もっと戦略的な事を話すかと思ったが以外とあっさりミーティングが終わった。
白チームのミーティングはもう少し時間がかかりそうなので、やっくんに話し掛けた。
「30vs30のって牢屋がめちゃめちゃ広そうだな」
「10人まで入る牢屋を3つ作るそうだよ。だから警察側は守りやすいように1つずつ埋めていくだろうね」
やっくんは相変わらず頭の回転が速い。
確かに俺達に牢屋を選択する自由がない。
となると意外と捕まった人を解放するのは難しいのかもしれない。
「それでは始めまーす!紅チームは散らばってね」
力が覚醒したかのような鮮やかな金髪の先生が準備を促す。
「っしゃあ!しっかり逃げろよお前ら!!」
キャプテンが檄を飛ばし、紅チームはキャーキャーと喚きながら散らばった。
いよいよ最初の遊戯が始まる。