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幼児大戦  作者: 天ノ月極
1/4

入園

俺は佐津川大河(さつかわ たいが)、ピチピチの4歳だ。

季節は4月、今日から日景(ひかげ)保育園での毎日が始まる。

何てことないごく普通の保育園だ。


「ママ、バイバーイ」


何処からともなく親への別れを告げる言葉が聞こえてくる。

楽しそうに門をくぐる者もいれば、親との別れを惜しむように振り返りながら門をくぐる者もいる。

だが、それぞれに共通する部分がある。


奴らは門をくぐると同時に戦士の顔になるのだ。


基本的に俺ら幼児は大人の前で猫を被っている。

泣いたり笑ったりは全て演技。

本当の顔は園の中でしか見せないのだ。


「おはよ大河。いよいよだね」

後ろから髪がボサボサの幼児が話し掛けてきた。

「よう、やっくん。素敵な髪型だな」

「寝ている間に髪の妖精がセットしてくれたのさ」


そんな妖精がいるなら俺の親父に髪を植えに来てやってほしい。


こいつは(せき) (やいば)だ。

俺はやっくんと呼んでいる。

親同士が古くからの友人らしく、やっくんとは生まれた時から一緒だ。


「しかしあれだな、たった一学年しか変わらないのに年中、年長の奴らは顔つきが違うな」

俺が少し驚いてみせるとやっくんはなぜか誇らしげに言った。

「そりゃあ1年幼児大戦やってるんだから」

「幼児大戦ねぇ…」


ちょうど俺らが生まれた頃から始まった「幼稚・保育園対抗お遊戯会」、通称「幼児大戦」は、全国の幼稚園と保育園が日本一を目指すイベントで、国が本腰で力を注いだこともあり、今やテレビ中継されるほど注目を浴びるようになったそうだ。(ソースはやっくん)


勝敗を決めるのは全てお遊戯だが、何のお遊戯で戦うかは試合当日まで分からないらしい。


「スカイフィッシュ組は、私のところに集まってくださーい!」


周りの幼児を眺めていると先生から集合がかかった。


日景保育園は各年代2クラス構成で、俺はやっくんと同じスカイフィッシュ組だ。

もう片方のクラスはビッグフット組という組名だが、この組名を提案した人間と承認した人間こそUMAではないだろうか。


絶望的なネーミングについてはまた追究するとして、いよいよ組のみんなと顔合わせだ。



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