親友ポジの週末
ゆっくり更新です。
わりと前書きとか後書きって書くことないですね。それで突然ですけど今回から登場人物の特徴とか本編に書くほどの事でもないこと書いていこうかと思います。それでは本編どうぞ。
早いことで本日は日曜。約束のテスト対策の勉強会当日。なんで花の週末にわざわざ集まって勉強しなきゃならんかと言いたくなるが、ぼーっとしてたとは言え自分から行くと言ったからには引くわけにもいかない。過ぎた事をどうこうしても仕方ないし、俺は俺なりに、今日はあいつらの近くで楽しませてもらうとしますかね。
勉強会の場所は両親が海外出張で空いている誠の家。図書館はあの人数が集まると間違いなく騒ぐので除外(主に杏菜)。いずみやクリスの家も今日は両親がいるので却下。杏菜の家は…………うん、無理。色んな意味で落ち着かん。杏菜も嫌って言ってたし。
さて、時間は12時40分。約束の1時に近づきつつあるが、ここからなら今からでても余裕で間に合う。行く途中に菓子や飲み物の2つや3つ買う為に寄り道でもすればちょうどいい時間になるだろう。そうと決まればさっさと用意して誠の家に向かおうか。
…………ん?
『12:14 杏菜 からメッセージがあります。』
……んー?
手に持ったスマホに写し出された予期せぬ通知に、固まってしまった。え、もしかして……時間間違えた? 恐る恐るメッセージを開くとそこには何時もの顔文字を連発したやかましいメッセージではなく、ポツポツと文字だけの連絡が数件。
『あのネコ』
『昨日からいずみの家に泊まってた』
『抜け駆け』
『あたし今から誠のとこ行くから』
『悪いけど歩美連れてきて』
『駅前の広場』
『おねがい』
『ほんとにおねがい』
矢継ぎ早に送られていたメッセージを確認する。途中から冷や汗が止まらない。メッセージが送られてきた時間とスマホの画面隅に記された時間を交互に、何度も確認する。その時間の差、約30分。
つまり、村本は最悪30分は駅前で……。
そう考えるや否や、勉強道具一式を詰め込んだ鞄を乱暴にひっつかんで慌てて部屋を出る。確認しなかった俺も悪いけど案内するならしっかりやれやあのツンデレウサギぃーッ!!
玄関を出た辺りで誠に『遅れる』とだけ連絡。荷物を自転車のかごに叩きつけるように入れて乗り込み、全力でペダルを漕ぐ。駅前は誠の家とは反対方向。幸い距離はそこまで遠くはないが、往復して向かうとなるとどう考えても遅刻は免れない。いやそれよりも、何十分も村本を待たせているのはもう間違いないわけで。とにかく、急げッ!
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
可能な限り自転車を飛ばしたお陰で、体感でだが思ったより速く駅前についた。自転車から降りてスマホを確認すると、時間は12時51分。いつもは15分前後で到着することを考えると中々の好記録ではないだろうか、なんて小さい事を考えながら汗を腕で拭う。スマホから目を離し村本の姿がないか周囲を見渡すが、どうやら近くにはいないようだ。
やはり杏菜から送られてきたメッセージどおり、広場の中にいるのだろう。自転車を押して広場に入り、村本を探す。すると中心にある噴水
の回りにいくつか設置されてるベンチにそれらしき影を1つ。
そのベンチに早足で近づくとそこには……。
「…………」
ナァー
「…………っ」
「(なんだこれ……)」
ベンチに座っている村本と、その膝上で呑気に昼寝をしているネコが。それだけじゃない、足元にもその回りをウロウロとまわりその体をすり付けるネコがさらに2匹も。
呆気にとられたものの、ここまで猫に絡まれる人間も珍しく、気づけば咄嗟にその状況を写真を取ってしまった。
「っえ? は、ぁれっな、なんで、日野君……っ!?」
「あっ、わ、悪い。驚かすつもりは無かったんだが……つい、その……な。き、聞いてるかどうかわかんねぇけど、杏菜が急に行けないって言うから、俺が代わりに迎えに来たんだよ。村本、誠の家知らないだろうし……それと、遅れて悪かった」
「そ、そうなんだ…その、大丈夫……だから……」
スマホのシャッター音でこちらに気づいた村本が驚いて立ち上がろうとするも、膝上に猫がいるのを思い出して座り直す。
俺も無意識にしてしまった行動に驚く余り、説明が言い訳のようになってしまっている。なんか、これだと俺が無理して杏奈に変わって貰ったように聞こえなくもない。落ち着け俺、確かに相手は自分に気があるのかも知れんが、何もデートに誘うわけでもなし、この程度で狼狽えるなっての。
「あー、早速で悪いけど、誠ん家行こうか。遅れた事情は多分杏奈が説明してくれてるだろうし」
「ぁっ……で、でも猫さんが、その……」
そう言って膝上の猫をチラリ。ってか猫『さん』かよ。可愛いなチクショウ。
「えっと、どかすことって出来ないか? それとももしかして……猫、ダメ?」
「ぅ、ううん。大丈夫、だけど……急に起こしたら可哀想、かな……って」
「……ふむ、それじゃちょっと失礼して」
「……あ、ぁの、なんで、こっちに近づいて……」
膝上の猫に視線を戻しながら答える村本。その客人はと言えば、先ほどと変わらない様子で膝の上でお昼寝中。そのふてぶてしい態度にもはや威厳すら思える程だ。だがこのままだとここで延々時間を喰う羽目になってしまうわけで。自転車を隅に止めて、村本に近づきその膝の上にいる猫を抱き上げる。
「おーい、猫さんや。このお嬢さんこの後予定があるんだわ。悪いけどちょっと借りてくぞー」
……ニェー
「いやニャーじゃねぇよ、っと。思ったより軽かったな。まだ子供か?」
持ち上げた猫を、今度は村本の隣に下ろす。その猫はなにするでもなく、欠伸をしたと思えばその場で丸まり、何事もなく昼寝を再開した。人の膝借りといてこの態度、もしかしたら将来大物になるかもしれん。
「さて、と。それじゃ、あいつら待たせてるしそろそろ行くかね。あぁそうだ、荷物持つよ」
「ぁっ……は、はい。ありが、とう……」
村本からおずおずと差し出された鞄を受け取ったところで、ふと村本の今日着ている服が目に止まった。
モノクロストライプの七分丈に、動きやすそうな薄いブラウンのショートのサロペット。そしてトップスに合わせた白と黒の縞模様のハイソックス。
……なんというか、つい最近知り合ったばかりなのに、いやだからこそなのか私服のインパクトを強く受けている気がする。しかもソックスとサロペットの間に出来た絶対領域がすごく、すごく……いいな。
「……ぁの、どっ……どうしたの……?」
「……っえ、あっい、いやなんでもない!」
というか、これ。この服装。もしかしなくても俺の為に選んでくれた服だったりするのだろうか。自惚れだとは思うが、こちらとしてはなんだかんだで告白された身。
もしそうだとすると、やはり一言気の効いた台詞の1つもいうべきか。控えめな彼女からすれば以外な方向性のファッションではある。が、その意外性が素晴らしい。だとすると、ここは1つビシッと褒めるのが男としてマナーというものでは。
「……?」
……いや、これで勘違いならがっついた男みたいで恥ずかしいし、いきなり褒めるのもなんだが調子のいい奴と思われるかもしれないので、やめとこう。それに、服装を褒めるのなんて正直得意じゃないし。ぶっちゃけそう言うのは誠の分野だしな……。
「じゃあ行きますか。行く途中になんか買って行こう。それなら多少遅れてても許してくれるだろ」
「う、ぅん…………っぁ、あの!」
「? どうした?」
自転車を押して歩きだそうとした時、不意に後ろにいる村本に呼び止められる。
「ど、どう……かな……?」
なにかと思って振り返ると、控えめに両手を広げる村本が。
どう、と言われると……?
「あぁ! そういえば猫の毛取れてなかったか。後で誠にクリーナーか何か借りるかな……悪いけど、それまで我慢してくれないか?」
「…………ぅ、うん」
この後意味がわかってめちゃくちゃ後悔した。
人との交流は多いけど、親友ポジ故恋愛脳にはなれない雄介くん。めちゃくちゃ惜しいことしてます。まぁ親友ポジなんてそんなもんでしょう。そして今回でてきた誠君の設定。親は小さい頃から海外に仕事に出ていて、家に一人暮らしというなんとも主人公らしい設定。1話でいずみに夕飯を誘われたのもそんな理由が有ったり無かったり。
あとはそうですね。歩美ちゃんの服装、上手く伝わってくださったのなら幸いです。雄介の服装?野郎の服なんて興味ないでしょう。まぁ、適当に動きやすい服装を想像していただければ。それでは次回。は、すぐ書けるといいなぁ……
本編で書くほどの事でもないコーナー
ヒロイン達の泣き方
いずみ:滅多に泣かないが、一度泣くとすごい
クリス:スーっと涙が流れる感じ
歩美:声を圧し殺して静かに泣く
杏菜:号泣
本編で書くほどの事でもないコーナー、初だから二つ目
・雄介は実はギャップ萌えに弱い。普段見せない姿をふっと見せられたりするとすごい食いつくしドキドキする。特にやばいと呼吸が一瞬止まる