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親友ポジの週末(予定)

明けましておめでとうございます。

いつの間にか年開けてましたよ。

今年はそこそこ更新できるといいなぁなんて。

 風呂上がり、自室のベットで寝転がりながら昨日と同じようにまとめ買いした漫画の一冊を読み終えたところで、枕元に置いてある時計を見る。画面に写されていた時間は午後10時。正直、気になる続きを読みたいのだが、明日も悔しい事に学校があるわけで。夜遅くまで起きていると今朝の二の舞。今日のところはこの辺にして、明日に備えて寝るとしよう。


 部屋の電気を消すため立ち上がろうとした時、充電中のスマホから通知を知らせる音が響く。画面を見てみると、写っていたのは意外な人物からのメッセージ。



 村本 歩美

『夜遅くにすみません。今日は本当にありがとうございました。これからよろしくお願いします。』


「いや固っ、なにこれ」



 ガチガチに固められた定型文で仕上がった文章に思わず声が出てしまった。クラスメイトに送るメッセージというより、これではもはや業務連絡に近い。でもそれがなぜか『らしい』、と感じてしまっている自分がいて、不思議な気分になる。



『こっちこそありがとう』

『また学校で(*´ω`*)』



 村本 歩美

『はい。おやすみなさい。』



 メッセージを送るとすぐに既読がつき、返信を送り返してくれた。こちらも猫が寝ているスタンプを送る。そんなやりとりをしながら、面と向かって話すよりこちらのほうが会話がしっかり出来る事実にふと気付き、如何なものかと少し笑った後スマホを枕元に置いて、電気を消してベッドに入る。


 明日も学校で会った時こんな風にスラスラと会話が続けばいいのだが、恐らくそうはならないだろうと1人勝手に思いながら目を閉じる。

 それにしても、本当に今日は自分の中で色々ありすぎて疲れてしまった。村本もそうだが、俺も明日から変わらない態度で話すことができるのか心配だ。あんなことがあった後で……。



『 ……っす、好き……です。付き合って、くださぃ…………』



 あった、後で……。



『……ッふ……ご、ごめ……ん……ごめっ……なさいっ……ぅ……』



 …………。



『…………は、はい……!』



 っ寝れるかボケぇ!



 思い返せば思い返すほどあの時の光景が瞼の裏ではっきりと浮かび上がり、ベッドの中で1人悶える。眠りについたときには夜遅く、昨日と同じく母さんに叩き起こされる事になったのは想像に難しくないだろう。



 ▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△



「ねっむ……帰ったらすぐ寝る。絶対寝る」


「な、なんだか昨日より眠そうだね」


「昨日の今日でよく懲りないよな、お前」


「色々あったんだよ、色々……」


「また下らない事で夜遅くまで起きてたんでしょ。生活リズム早めに戻さないと、後が怖いわよ」


「いや、今回は本当に色々あったんだって……」


「あ、あの……!」



 朝、教室の窓際で授業までの時間を無駄話をしながら潰す俺達。欠伸や目の下に出来上がった隈についての質問や注意をされるが本当の事を言うとそれはそれで変に騒がれるので黙っておく。そう、残念ながら事情が事情なので仕方ない。仕方ないったら仕方ない。


 なんとも耳が痛い言葉を聞き続けていると、近くから控え目に呼び掛けてくる女の子の声。……昨日、頭の中で延々リピートされた声と同じなので、聞いた瞬間に誰かわかってしまう。その事が恥ずかしいやら後ろめたいやらで、目線だけ声のする方に向ける。



「あっ村本さん、おはよう!」


「お、おはよう……それと、その……昨日は夜遅くに連絡して、ごめんなさい……」


「そんな、気にしてないよ。ユウくんなんてすごい時間にスタンプ連打してくるんだから、それに比べたら全然だよ。ね、ユウくん?」


「ぁ、あぁ、大丈夫大丈夫! 問題ねぇよ、うん」



 突然のいずみからのパスに上擦った声で返してしまった。失敗だ、これじゃどっちが意識してるのかわかったもんじゃない。おいそこのハーレム野郎隠れてニヤニヤすんな、脛蹴りつけるぞ。



「……ッ! ひ、日野君、目の下……それッ……」


「ん? これか、いやちょっとな。今日あんまり寝れてねぇんだよ」


「ゃ、やっぱりあんな時間に連絡なんてするから……ご、ごめんなさいッ……わ、私そんなつもりじゃなくて……!」


「い、いや、村本が思ってるような事じゃねぇからな!? 単純に漫画読んで起きてただけだって!だから気にすんなって、な?」



 チラッと俺の顔を見るなり驚き、すぐによくない方に想像を働かせる村本の慌てぶりに不味いと思い、適当な言い訳でこの場を凌ぐ。『はい、あなたの事で寝れませんでした』なんて口が裂けても言えない。そんな事を口走ったらそれはそれで盛大な自爆だ。



「……ほ、本当?」


「っ……ほ、本当に」


「……ょ、ょかったぁ……っ」



 ……なんというか、この不安そうな声といい顔といい、俺は致命的に弱い気がする。歯切れの悪い言い方で返した俺の言葉を聞いて胸を撫で下ろす村本を見て、やはり昨日の光景が脳裏によぎる。どうにもやりにくい相手だ。いや、勿論悪い意味じゃないんだけど。



「あ、そうだ。村本さんに会ったら言おうとしてたんだけど……村本さん、それと雄介も、日曜日って空いてるかしら?」



「ぇ、日曜日……? ぅ、うん。何も、無いと、思う……」


「んー、俺も予定は無かった筈だぞ?」


「その日、みんなで来週のテストに向けて勉強するんだけど、もしよかったら一緒にどう?」


「あーそゆこと。オッケー、行く行く」


「ぇ、そ、そんな……私は、その……」


「いや、元々は俺がクリスに教えてもらう筈だったんだけど、杏奈も一緒にするって言ってさ。じゃあもうみんなでやろうって話になって。ほら、こう言うのって、人が多い方がいいだろ?」


「……そういうこと。それで村本さんもよかったらと思って」



 あ、これクリスが二人きりでやりたかったのに杏奈が無理矢理阻止しようとしてきたパターンだ。それでこの朴念仁が『じゃあみんなでやろう!』って言い出して……これ、大丈夫?馬に蹴られたりしない?



「め、迷惑かけるかも、知れないし……」


「全然。むしろ歓迎だ。だろ? みんな」


「うん!どうせみんなでやるなら人数は多い方がきっといいからね!」


「えぇ、あのバカうさぎが来るよりはきっと大丈夫よ」


「……だと、さ。まぁ……俺も、なんだ。えぇっ……と、うん。人数増えるのに越したことはねぇと思うしな」


「ほ、本当に、いいの……?」


 みんながこう言ってるのに、この空気の中俺だけ一人気まずいから反対なんてのは、それこそ『友達』として論外。そもそも断る理由がない。人数が増えてその分おさえられる所や教えあえる部分が広がるのは嬉しいもんだ。俺も今年一発目のテストで悪い点数は取りたくない。幸先悪いし。



「じゃ、じゃあ……その、ょ、よろしくお願いしますっ……」



 そういうわけで、今週末は全員(+α)で勉強会。……せいぜい恋する女性の邪魔だけはしないようにしよう。なにがあるかわかったもんじゃない。マジで。

雄介、思春期ムーブ絶好調。そして次回はハーレム組に混ざって勉強。今回出番がなかった杏奈が暴れる予定です。

歩美ちゃんのヒロインパワー(控え目)もだしたいところ。それでは。

あと、もしよかったら感想とか誤字報告とかください。くれたらめちゃんこモチベあがります。

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