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赤面女子の呼ばれた理由

自分の中ではすごく早く出せたと思います。三人称楽しい。


しかし前回、1話2話の歩美視点、と言ってましたが、そこまで行くことが出来ませんでした。申し訳ありません。くやしい。


※作者都合により、一部内容を変更しております。

「あ、ぁの……ご飯はちょっと、もう作り始めてるからって」


「ぇー、なにそれー」


「ご、ごめんなさい……」


「ふふん、嘘嘘、きにしなーい!」


部屋に戻ってきた歩美が、家族からの承諾を得られなかったことを伝える。しかし、時間も既に夕方になりつつあり、流石に急すぎるこのお誘いを断られても、気にする人間なんて居ようはずもなく。一応、帰るまでの時間にはまだ余裕があるらしく、もう少しここに残る様だ。



「まことまこと! ご飯何にするの!?」


「そうだな。この人数だと、やっぱり鍋かな」


「やったー! 私鍋好き!」


「それじゃあ、今から何鍋にするかとか決めとくか?」


「あたしなんでもいいー!」


「貴方、今日は特にテンション高いわね」



話し合いの結果、杏奈が途中何種類も候補を上げ続けるなどのハプニングもあったが、無難に寄せ鍋に決定。だが、思いつきで始めた食事会。いくら日頃から充実してある誠の冷蔵庫といっても、鍋に使える食材の用意など勿論できているはずもなく……。



「「 じゃんけん、ポン!」」


「よっし、俺の勝ち! じゃあ、買い出し頼んだぞ、ユウ」


「だぁーっくそ! なんか予感してたけど、やっぱ負けたか。言い出しっぺの法則だよなぁ、こういうの……」



雄介の提案により行われた買い出しじゃんけん。女子に重いものを持たせた挙句お金を払わせる事を許さなかった男2人組によるプライドと見栄をかけたじゃんけんは、ご覧の結果に。高々と拳をあげる誠とは対照的に、悔しそうにチョキを見つめる雄介からは、一種の哀愁さえ感じる。



「さて、と……それじゃあ、チャッチャといってくる。その間準備頼んだぞ誠」


「任された。お前も急ぎ過ぎて事故らないようにな。あとこれ、買ってくるメモ。お金は後できっちり割り勘な?」


「おう、気が向いたらな」


「お前ちゃんとレシート持ってこいよ……」


「わかってるわかってる。それじゃ行ってくるわ」



スマホと財布だけ持った雄介にたった今書いたメモを渡す誠。折りたたんだメモを財布の中に入れながら、ヒラヒラと手を振る雄介を



「いってらっしゃい、ユウ君。気をつけてね」


「焦って転ばないようにねー」


「この時間だともうそろそろ暗くなり始めるから、周りに人がいないか、注意してね」


「わかってるって」


「ぁ、ぁの…いってらっしゃ……」



バタンッ、と。いってらっしゃい、と言い切る前に扉を閉めて出ていった雄介をみて、歩美は控えめに振った手をすぐに膝の上に戻し、暗い顔で俯く。



「……行ったな」


「行ったね」


「行ったわね」


「行った行った」


「……?」



しかし、俯いた歩美とは対照的に、買い物に出かけた雄介以外の面々は安堵の表情を浮かべている。皆のその表情に歩美の脳裏に良からぬ考えが浮かぶが、その表情に嫌悪感がないのを見て、その疑惑は直ぐに消えた。



「さて、村本さん」


「はっ、はい!」


「あぁ、そう身構えなくても大丈夫よ。寧ろごめんなさい。知り合って早々、無理言って連れ出して。予定もあったかも知れないのに……」


「ぁ、い、いえ。そんな、こちらこそ……」


「それで、その。実は今日呼んだ理由なんだけど、勉強会だけじゃないの」


「ぇ……じゃあ、なんで……」



頭を下げ、事情を説明しようとするクリス。状況が読み込めない歩美を他所に、会話は続く。



「勿論勉強も大事だけど、いずみが……」


「ご、ごめんね。実は私、歩美ちゃんが、その……ユウ君を好きになった理由が聴きたくて……」


「へっ……ぇ、あの……それって、その……」


「私はやめたほうがいいと思ったんだけど、この子が聞かなくて」



クリスの言葉に被せるように、いずみが顔を赤く染め、チラチラと歩美の顔を見ながら今日呼んだ真の理由を呟く。その雰囲気や言葉からは、嫌味や茶化そうなどという感情は一切感じられない。それがわかっているのか、歩美も顔を真っ赤にし、しどろもどろになりながら辛うじて返事をする。



「ほ、本当にごめんなさいっ! 悪い事だとはわかってるけど、どうしても気になっちゃって……」


「そ、そんな……ぁ、謝る、事じゃ……」


「本当はその話を切り出すタイミングは、誠がどうにかして雄介をこの場から離してからにしようと思ったんだけど、自分から離れてくれるとは思わなくて、ね」


「あたしは一応知ってるけど、歩美本人でも無いのに言うのはどうかと思ったし、なによりそういうのは本人からって相場は決まってるでしょ!」


「どこの相場よそれ……」


「なによ。実際アンタだって聴きたいくせに」


「っそれは、その。確かに、気にはなるけど」


「ぅ、うぅ……」



杏奈の一言に、クリスもばつが悪そうに顔を逸らす。いくら取り繕っても思春期の女の子、やはりその手の話は気になるお年頃というわけだ。


そんな周囲の話を他所に、益々顔を赤くする歩美。羞恥よって染められた頭では、当然周りの会話など入ってくるはずもなく、ただただ顔を抑えて俯くばかり。



「それで、その……もし村本さんが良ければ、だけど、理由とかきっかけとかを教えてほしいなぁ、なんて」


「ぁの、えっと……き、聞いても面白くなんか、なくて……」


「や、やっぱり駄目、だよね……」


「ぅ……」



声をかけられ、歩美は未だ赤い顔を上げて隣にいるいずみを見る。断ろうとする歩美だが、落ち込みそうになるいずみを見て、罪悪感から言葉をさらに濁す。



「そ、その……」


「え?」


「だ、誰にも……日野君にも、言わないならっ」


「っいいの!?」


「ぅ、うん。ほ、本当に……誰にも言わないなら」

「うん、うん! 絶対、約束!」


「……さて、それじゃあ俺、ここで席外すよ」


「え? 誠は聞いていかないの?」



余りの熱意、もしくは落ち込む姿にやられたのか。ここにいる以外の誰にも言わない、ということを条件にして、食い気味に返事をしたいずみに驚きながらも話をする事に決めた歩美。


そして、それが決まったと同時に席を立とうとする誠に。一緒に聞くと思っていた杏奈は少し驚いた様子でそう呟いた。



「あぁ、こういう話って男が居たら喋りづらい事もあるだろ? それに俺、ユウに準備任せたって言われてるし」


「まぁ、確かに歩美はその方が喋りやすいかも」


「それじゃ、後はごゆっくり。でもあまりゆっくりしすぎるとアイツが帰ってくるから、その辺は気をつけて」


「はっ、はい……」



それだけ行ってキッチンに向かう誠。そんな気配りに少し感謝しつつ、歩美は小さな声で3人に喋り始めた。

次回こそ1話2話の歩美視点。



※作者都合により一部内容を変更しております。

変更箇所

村本歩美が夕飯を共に食べるか否か

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