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第18章 橿原のミヤコ

ヤマトのいくさは終わった。

橿原では都の建設が続いている。各地の首長がヤマトに集結した。都には各地の物資が集まるようになり、民の暮らしは豊かになりつつある。


新築の館でイワレビコがニギハヤヒに語る。

「いくさが終わり、平和がやってきた。これからは和を持って尊しとなす国つくりだ。」

「民の心を安らかに、暮らしを豊かにしていくことですな。」

「私は剣術よりも剣の舞が得意なのだ。登美の戦いまでは私の体に、兄イツセの魂が乗り移っていた。いくさの無い世の中が良い。兄の墓、和歌山にも祈りに行かねば。そうしたら我らは筑紫へ帰れるかな」

「何をとぼけていらっしゃる。イワレビコ殿下、東の民にもヤマトの秩序と同じく、安らかなる暮らしをもたらさねばなりませぬ」

「それから都には大王おおきみが必要であるな。」

「おっしゃるとおりです。」


別の日に橿原に集合した首長連合の会議が執り行われ、ヤマトの大王を立てることに同意を得た。全員一致の推挙によりイワレビコオオキミが国つくりのリーダーとして決定した。新年に即位するための準備が進められることになった。


明けて元日、即位の式典が執り行われた。祭壇が設営されて、笛、太鼓の演奏とともに巫女の舞が奉納される。

人びとの拍手の中、演者は巫女から筑紫少年隊に代わり剣の舞が奉納される。更に剣の舞にイワレビコオオキミが加わり、演奏はそれまでのリズミカルなサウンドから落ち着いた雅楽に変わる。


奉納の舞が終わり、祭壇にイワレビコオオキミが向かう。神をお迎えしての祝詞奏上、国づくりの決意を神に伝える。


「上は則ち乾霊の国を授けたまいし徳に答え、下は則ち皇孫の正を養うの心を弘め、然る事、六合を兼ねてもって都を開き、八紘を掩いて宇と為さん事、亦可からずや。」


玉串奉奠を終えて、振り返ったイワレビコオオキミが民に向かう。

「予言の言葉を賜った。我々はニッポン」

日の光を受けてに、祭壇の鏡が光を放った。


多くの先人の努力、種蒔きの結果ようやく和の国がこの橿原の地で芽を出した。この芽が大きく育ちやがて花を咲かせる。この国が日本と称するようになるのは数百年ののち、大化の改新を経た七世紀のことである。

そして八世紀、イワレビコノミコトは神武天皇と贈り名される。

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