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第16章 二ギハヤヒ

こちらはナガスネの館、登美が丘である。

ナガスネはイライラして部屋を行き来する。

「二ギハヤヒよ、生駒で撃退した筑紫軍が宇陀から現われるとはなんということだ。」

「紀州も伊勢も筑紫軍に付いた。すっかり取り囲まれてしまった。」

「ニギハヤヒよ、ナニワから海に出て、讃岐の海賊と組んで瀬戸内を手に入れるといっていたではないか。それどころかヤマトを守る戦力を失い、橿原まで奪われてしまい、この登美が丘に閉じ込められている。前の前の満月の日以来我が軍は鹿肉しか食べていないぞ。秋だというのに、米と秋刀魚を食いたいぞ。」

「筑紫族は韓半島にも拠点を持っている。海の戦力のみならず、山での戦いも身に付け本物の強敵になって現われた。」

「獣も、魚も、鳥もそして虫すらも強いものが小者の命を奪って生きているではないか。ヒトだって同じだ、力をもって奪うものと命をささげるものでこの世は成り立っているのだ。強大な支那帝国と韓半島の奪い合いだって同じといっていたのは、あなた、ニギハヤヒではないか。筑紫軍は戦わずに紀州と伊勢を味方につけたという。ワシには理解できないぞ。」

ナガスネの足の響きで床の上の土偶が音をたてて倒れた。

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