第12章 宇陀のオトウカシ
明けて翌日、ヤタとオトウカシが密会中である。
「オトウカシ殿、よく来てくれた。立派な武者に育ったのう。」
「ヤタ様、宇陀の地で我ら兄弟はが
ナガスネに取り入り生き延びてきましたが、ナガスネの暗黒支配はこりごりです。
新米の貢物とともに村のおなごがナガスネにつれていかれます。おなごはナガスネたち親分にボロボロにされて、そののち家来に与えられる。性奴隷ですよ、耐えられない。私は宇陀の地を豊かで幸せにしたい。私は兄とは決別して、殿下に仕えます。兄が恐ろしい仕掛けを準備して、殿下をだまし討ちにするつもりです。」
「オトウカシ殿、宇陀の地を解放して民に幸せをもたらしましょう。」
ふたたびエウカシの館。
ミチノオミ、オオクメが訪れる。
「お初にお目にかかる。日向軍のミチノオミじゃ。オオクメから聞いた、立派な隊長殿だと。
エウカシが驚いた表情で答える。
「これはこれはビックリした。こんな朝早く、身支度もできていない。しばしお待ちを、朝飯を準備しよう。」
オオクメがエウカシの言葉を遮る。
「オトウカシ殿から、宇陀軍が日向に合流と聞いて、ご挨拶に来たまで。どうぞお構いなく。」
ミチノオミがエウカシに迫る。
「同盟の宴に殿下をお招きいただく屋敷をみせて欲しい。」
「あわてないでくだされ。接待の準備を整えてお迎えにあがります。」
オオクメが言う。
「我ら、すでにご近所さまじゃ、無礼講で親しくしようではないか。」
ミチノオミ、オオクメが剣を鞘から抜き放ちナガスネに向ける。背後からは筑紫少年隊が弓矢を構えナガスネを追い詰める。
ナガスネは後ずさり、背後には自分の館。
「立派な館じゃ。お入りなさい。」
ばたりと扉が閉まる。オオクメがつり天井を引き上げている縄を切断した。
「ギャァァァァァァ!!」
悲鳴とともにオトウカシは絶命した。
オオクメ「火をかけろ」
少年隊がたいまつを投げ込む。館が燃え上がった。
オトウカシが炎に向かっている。両手を握り締め、兄の館を見つめる。
「宇多の未来に栄光あれ。」
日を改め宇陀再生の式典が執り行われた。
ヤタがタカクラジに語る。
「これは宇陀の国譲りだ。伝説の出雲の国譲りよりははるかに穏やかに進んでいる。」
筑紫軍と宇陀軍がそれぞれの旗の下に整列。中央の祭壇前にはイワレとオトウカシが立っている。
「これより宇陀の地はオトウカシの守護のもと民が力を合わせ豊かな暮らしを手に入れる。神よ見守りください。正しき未来を宇陀の地へ。これより宇陀の長の証をオトウカシに授与する。」
イワレは鉄剣を一振りオトウカシに授ける。
オトウカシは鉄剣を高々とかかげ、天に誓う。
「皆の力で宇陀の未来を、ヤマトに平和を。」
参列者一同の合唱がはじまる。
宇陀の 高城に 鴫罠張る
わが待つや 鴫はさやらず
いすくはし 鯨さやる
こなみが な乞はさば
立ちそばの 実の無けくを こきしひゑね
うはなりが な乞はさば
いちさかき 実の多けくを こきだひゑね
ええ しやご しや。こはいのごふそ
ああ しやご しや。こは嘲咲ふぞ




