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第11章 宇陀のエウカシ

熊野上陸から数ヵ月、ヤタの導きで熊野から吉野へ友好勢力を味方に付け、吉備隊は瀬戸内から物資を運び込む。この日イワレビコの使いとしてオオクメとヤタが宇陀に向かう。

「ヤタ殿、熊野上陸以来いくさもなくここまで進めた。タカクラジ殿とヤタ殿のおかげで紀州も、伊勢も我々の仲間になった。すばらしい交渉力だ。」

「紀州勢はサオネツの力だ。そしてなんといっても殿下がもたらす先端技術がそれぞれの土地の民の暮らしを豊かにしているのだ。オオクメ隊長、私も皇軍の役に立ててうれしいぞ。」

「仲間が増えて、ヤマト進行のための物資も集まるようになった。次は宇陀だな。」

「オオクメ隊長、宇陀の地はエウカシ、オトウカシの兄弟が警備隊を指揮している。兄弟はナガスネとは友好な関係だ。宇陀の地を押さえないとヤマトへは進めない。」

「味方につければ、強力な戦力だな。交渉開始だ。」

宇陀の地に馴染みがあるのか、ヤタのカラスが地面でステップを踏む。目の前に木造の高床式の館。

「エウカシ隊長、ごぶさたじゃ。ヤタがまいった。聞こえているか。もう耳にしているだろう、天つ下の尊い殿下がヤマトの地に秩序と平和をもたらす軍団とともに参られたのだ。すでに紀州も伊勢も我らの仲間だ。ナガスネのような古い時代の酋長はもう持たないぞ。宇陀の地も我らの仲間になって、豊かな未来へ進もうではないか。」

エウカシの館から鏑矢が放たれ、轟音を響かせてヤタに襲い掛かる。カラスたちが飛び立つ。ヤタはのけぞって矢をかわし、地に倒れる。弓を手にしたエウカシとその親衛隊がこちらに矢を向ける。

「これが答えだ。三つ数える間に立ち去れ。つぎの一撃は心臓を狙う。」

オオクメが声をあげる。

「また会おう。つぎに会うのはいくさ場だ。宇陀の地で暴れてやる。」

カラスとともに両名は退散した。

館では若きリーダーオトウカシが現れて様子を確認する。

「兄じゃよ、大丈夫か。」

「何を言っている。筑紫軍などナガスネさまが撃退した奴らではないか。ヤマトへは入れない。」

「イワレビコは特別な話術で味方を増やしている。この地でのいくさは不利です。登美に合流してナガスネ本隊と共に戦うべきです。」

「いくさはしない。ここ(頭)をつかうのよ。オトウカシよ、つり天井の間を用意せよ。」

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