第10章 八咫烏
イワレビコ殿下と筑紫少年隊こと4期生が滞在している熊野駐屯地にオオクメ隊が合流した。
ケヤが前に進んだ。
「オオクメ隊長、無事でしたね。」
「殿下もご無事で。」
イワレが答える。
「いや大変な目にあったが、助けられた。そして訓練場も用意してもらった。オオクメ隊こそよくここにたどり着いたな。」
オオクメがこたえるには。
「それがですよ、上陸したらカラスが我々に強く鳴きかけてくる。カラスについていったらここにたどりついたのです。」
イワレがつぶやく。
「カラスの導きか」
オオクメが立ち上がって振り向いた。
「よし訓練開始だ。」
ミチノオミが号令する。
「まずは筋力強化。行くぞ。」
少年隊の声が響く。
「イッチ、ニィ!イッチ、ニィ!イッチ、ニィ!」
ミチノオミが声をあげる。
「よし!走るぞ。」
イワレとオオクメが訓練生を見送ったところに、音をたてずに複数のカラスが飛び込んで来た。
イワレとオオクメは身構え、目視でカラスの行方を追う。
緊張がとけふりかえるとそこには黒装束の男が立っている。
「何者!」
声をあげたのはオオクメ。
「殿下をお助けするため、伊賀から駆けつけました。ヤタと申します。私、カラスから天の声をさずかりました。天つ下の天子様がヤマトに向かうと聞いたのです。熊野の地は険しく危険です。このヤタが殿下をヤマトへご案内します。」
そう、伊賀は大和の隣。日向軍は貴重な情報戦力を味方に引き入れたのだった。
イワレが問う。
「ヤタ殿はカラスと会話できるというのか」
「殿下、この3羽は特別です。アマテラス様の声を届けてくれます。」
「見事なホラ吹き、私はアマテラスの声を聞いたことが無い。頼もしい奴だ、ほら吹きも戦術なり。ヤタガラスの参戦、よろしく頼む。」
イワレビコは人物に対する戦力判断が非常に速い。




