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第1章 筑紫

木舟を海に向けて、筑紫少年隊3人が進む。力強く唄いながら。

【唄】

  宇陀の 高城に 鴫罠張る

  わが待つや 鴫はさやらず

  いすくはし 鯨さやる

  こなみが な乞はさば

  立ちそばの 実の無けくを こきしひゑね

  うはなりが な乞はさば

  いちさかき 実の多けくを こきだひゑね

  ええ しやご しや。こはいのごふそ 

  ああ しやご しや。こは嘲咲ふぞ


「ハハハハハ・・・」


「ケヤ!日向(ひむか)では熊と柔術か!?」

「カヤは拳や蹴りだな。」

「おいらは何処までも追いかける!」

「シマ!おまえさんの駿足は逃げ足じゃないのか?」とカヤ。

「バカにするな、ガォ-」

「いよいよ船出だ。俺達の15の秋だ。」

両手で拳をつきだすケヤ。

「今年の米も豊作だ。日向の神様に届けるぞ。アマテラス様ありがとうございます。」

シマは2拍して両手を合わせる。

ケヤとカヤが向き合う。

「俺達の初めての日向だ。大人の仲間入りだ。」

「イツセ隊長から剣術を学ぶんだ。」

「イツセ隊長の剣術はすごい。この前一人で海賊船を制圧したぞ。」

「俺達も剣術を身につけて村を守るんだ。」

シマが拾った枝を天に尽きだす。

「俺達が強くなって、平和を守る。」

シマが枝を横に凪ぎ払いターンして海に向かう。

「おい、船が近づくぞ」

「助けを求めているんじゃないか?」

「怪我人を運んでいるようだ。」

「イツセ隊長とイワレ殿下を呼んでくる。」

ケヤが丘に向かい走り出した。


駐屯地の縦穴住居の最大の小屋から幕を開いて2人の青年が出てきた。

「イワレよ、日いづるかの地から使者が参られた。」

(あに)じゃ、使者は我らを頼って参られたのだ。」

この二人は兄弟である。兄じゃと呼ばれているのは、筑紫鉄剣警備隊長のイツセ、もうひとかたがイワレビコ殿下、父王から後継指名を受けた王子である。イツセとイワレの間にイナ匕とミケヌ共に男子が存在する四人兄弟である。

「ケヤ!盾を持て。怪我人の救出だ。」

盾を担架の役割として少年隊が怪我人を運ぶ。


時間をおいて、ここは室内。救出された船の乗員は3名。重傷の姫と武人が二人。姫の意識が回復した。

イワレが姫に呼び掛ける。

「大丈夫か、筑紫に着いたぞ。」

か細い声で姫が答える。

「ありがとうございます。鉄剣の戦士さまですね。ヤマトをお助け下さい。」


「ヤマト?」

ケヤが水桶を持って入室してきた。続いてイワレが問い掛ける。

「水を飲みなさい。ヤマトと言ったな、どれだけ遠いのだ。」

「私達はナニワから舟で逃げて参りました。3日の食糧が尽きて3日経ちました。海賊の島に流れ着いて仲間も失いました。私はサエと申します。」

武人が呟く

「かつてのヤマトは海の民も、山の民も幸せに暮らしていたのに。」

姫が続ける。

「ヤマトには東から、西から多くの民が移り住むようになりました。米を作る民も来ました。米はでき不出来があるので米作りの民は細々と暮らしています。」

武人が付け加える。

「ヤマトに暮らす民が増えて、海の民も山の民も奪い合いを始めました。」

「やられたらやりかえす、殺し合いにもなりました。ヤマトはすっかり乱れてしまいました。そしてナガスネがやって来たのです。ナガスネ族はもともと狩人でした。登美ヶ丘に館を構えたナガスネはほうぼうの村を襲って収穫の品を奪って行きます。そしてナガスネは私の姉も奪って行きました。姉の名はタエと申します。どうか姉を助け出して、鉄剣の力でヤマトに秩序を取り戻して下さい。」

「ゆっくり休みなさい。この土地の民は大陸の渡来の薬を秘蔵している。しっかり療養してくだされ。」


夜更けに兄弟は海辺で語り合う。

「兄じゃ、我々がヤマトを助けられるのか?」

「我らはまだまだ力を付けねばならない。それに日向基地からヤマトを攻めることは無理だ。瀬戸内の東に補給基地が必要だ。」

「まずは」

「そう」

「日向」




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