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4人の朝



目覚ましが鳴っている

その音が私の頭の中に響いている


私だけを起こそうとする

そのうるさい音を消そうと私は

必死に手を伸ばした


目覚ましのただうるさい音を止め

私は、静かに目をあけた


起き上がると

4年前奮発して買ったダブルベッドは

金額の割には、酷くギシギシと音を立て

私を毎朝不愉快にさせる。


もう9月も終わろうとしているのに

酷く蒸し暑い

首筋を汗が流れるのが分かる

冷蔵庫をあけ、ダサいTシャツを

パタパタと大袈裟に仰いだ


ブラックの缶コーヒーを片手に

テレビをつける

お天気のお姉さんはこんなに

蒸し暑い日でも綺麗な格好をし

汗も垂らさず

今日は蒸し暑い1日になるでしょう。

と笑っていた


こんな、涼しい顔で言われても

説得力ないよな


一昨日の祐介の言葉を思い出し

妙に納得してしまった。


机の上に置きっぱなしにしておいた

iPhoneに目をやると


祐介から深夜3時頃

LINEがきていた


今日は打ち上げで終電逃した

ホテルに泊まる


素っ気ないLINE

いつもの事だが、この日のLINEは

いつもより素っ気なく感じた


昔は、こんなんじゃなかったのに

小さく呟いてしまったことに

恥ずかしくなり

残りのブラックコーヒーを飲みほした



扉が閉まる音で目が覚める

もう、このベッドで朝を迎えるのは

何回目の事なのだろう


横を見ると数分前までいた晃は

もういなくなっていた


起き上がり机に置かれた

小さなメモに目をやる


ホテルのメモには青いインクで


先にホテルを出るよ

お金は置いておく

また連絡するよ


と綺麗な字で書いてある


こんな事わざわざ書かなくてもいいのに

いつもの事じゃないと心の中で呟く


私はこの置き手紙を見ると

早くこの部屋から出ていきたくなる


ベッドの下に無造作に脱いだ服を着て

テーブルのお金を乱暴にポケットにいれ

彼に買ってもらったブランドのバッグを

持ち部屋を出てロビーまで

少し早歩きで向かった


ロビーの受付には

綺麗な顔をした男が笑顔で私を迎えた


チェックアウトでよろしいですか?


はい、と小さく呟きお金を渡した


この男は、私をどう思っているのだろう

来る時は彼とチェックインするが

帰る時は決まって1人だ


もしかしたら、この男は

私達の関係に

気付いているのかもしれない


そんな事を考えていると


お客様?


私は男の声で我に返る


もうチェックアウトの手続きは

できましたので

ありがとうございました

お気をつけて


そう送り出され


軽く会釈をし、ロビーを後にした

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