プロローグ
初めて書いた作品なので、誤字脱字など有ると思いますが、生暖かい目で見守ってもらえると幸いです。
世界は希望で満ちている。人と人は分かりあえる。
誰かがそう言ったらしい。だけど俺にはそうは思えなかった。もしそうならこの世界で人殺しや強盗、テロ等の一部の人間が利益を生むためだけに大勢の人間に多大なる絶望を与えるはずが無い。では何故人は己の利益のためだけに他人を利用し切り捨てられる?それは人間が愚かで傲慢な生き物だからだ。そのために俺ー大泉拓斗ーは神界より人間界に降り立った。人類を導くために…。
「よー拓斗、宿題やった?」
「当然だ。宿題は夏休み初日に全て終わらした。」
「マジかよ!俺夏休み中はずっとゲームしてたからさ、全然やってないんだよ。頼む!宿題見せてくれ!」
高校二年の夏休み明け、俺の親友である充は朝のHR前の教室に飛び込んで来たと思ったらいきなりこれだ。しかし…。
「断る。毎日遊んでいたお前が悪い。毎日2ページずつこなしていけば数日で終わるくらいの量だ。全く出来ない訳無いだろ」
(悪く思うなよ、人間。俺がお前に宿題を見せればお前はこの場では助かるだろう。だがそのまま他人に頼ってしまっては駄目なんだ。)
未だに俺の近くで騒ぐ充を無視すると諦めたのか自分の席に戻っていった。しばらくしてチャイムがなりHRが始まった。充の方を横目で見るとこの世の終わりのような顔をしていた。
(やり過ぎたかな?)そんな風に思ったが今さら何も出来ない。充は完全に撃沈していた。
そして放課後ー
「遅いぞ充!置いてくぞ!」
「おい、待てよ拓斗!そもそもお前のせいで補習になったんだからな!」
「宿題しないお前が悪い。」
そう、充は宿題をしていなかった罰として補習を受けていたのである。自業自得だ。
「だから、ゲームで忙しかったんだよ!」
「嘘つけ、お前ゲームなんてしないだろ。どうせ優花ちゃんと海水浴にでも行ってたんだろ。」
「ぐっ。なんで分かった?」
「まずお前は優花ちゃんが好きだ。甘えられたら断れない。こんな暑さじゃ小学生ならプールか海に行きたくなる。さらに優花ちゃんは小学生の割には聡明だ。なら人でごった返しているプールに行くより海に行きたがる。」
「すごいなお前。優花の事よく知ってるじゃないか。…まさかお前優花を狙っているのか?許さんぞ、親友といえども俺の妹に手を出すことは許さん!」
「バカヤロ。俺にそんな趣味はないよ。だいたい、優花ちゃんには手強いシスコンが居るからな。」
まったく、こいつは昔からそうだ。自分の事は二の次で妹の事を第一に考えるシスコン。まぁ他人を助けようとするのは人類にしては珍しいし、そこは良いやつだと思う。シスコンじゃなければ。
「そう言う拓斗だって夏休み中大変だったんじゃねーの?ナンパとか。」
「…殺すぞ」
「冗談だって。でもお前、男であることが惜しいくらい可愛い顔してんじゃねえか。俺でも一目惚れしたぞ」
「…」
俺は顔にコンプレックスを持っている。男のくせに女のような顔立ちをしているからだ。しかも充曰くかなりの美少女顔らしい。今まで何人の同性から告白されたか。だが全員俺が男であることを知るとガッカリして帰っていった。当然だ。男と付き合いたい男がどこにいる。
「お前、俺は顔がコンプレックスなの忘れたか?大体な…ちょっと悪い」
充に注意をしようとすると、電話がかかってきた。
(こんなときに誰だよ…。)
「悪い、用事出来たから先帰る」
「分かった。また明日な」
「あぁ。」
俺は急いで帰って電話をした。
「すいません、人間の相手に手こずりました。」
「そうか。では最高評議会からの決定を伝える」
「了解」
「人類の選別を開始する。」
更新は不定期ですが、1ヶ月に一回は更新したいと思っています。ご意見、ご感想などもお願いします