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序章 ~少年の視る夢~
身体の至るところから激痛がする。
深夜に森の中を走り回ってるのだから仕方ないか。
生暖かい部分もあるから、どこかしらから出血もしてるな。
けど、、、
「君は大丈夫?どこか怪我とかしてない?」
今はこの娘が最優先。
「…はぁ、はぁ。う、うん、大丈夫」
……だいぶつらそうだな。
無理もないか、すでに2時間は走り回ってる。
「どうする?一旦、どこかで休む?」
「ーーだ、大丈夫。まだ走れるから。それに、休んでる余裕は、ない、でしょ?」
無理をしてるのは痛いほど分かる。
それでも、この娘が言ってることが正しいんだ…。
今はただ、逃げるしかない。
起きるかどうか分からない奇跡を信じて。
僕では、この娘を助けることが出来ないから。
僕には、この状況を打破できるような都合のいい能力はないから…。
それでも……。
僕は思う、思ってしまう。
”全てを持っているこの少女を助けたい”
それが、無謀なことだってことぐらい分かってる。
だから、これはきっと僕のエゴだ。
守ることができるか分からない、そんな約束を。
僕は彼女にした。
「君のことを必ず…必ず助ける!」