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プロローグ
星暦一七二三年、タリアン王国のとある場所。
「おばあちゃん、あれ!」
フランソワはハインの指差す方を見た。
流れ星ひとすじ。
長い長い白い尾を引いて落ちていく。そして最後まで消えずに地平線の向こ
うに落ちて行った。
「……きれいだったねえ、おばあちゃん」
「……ああ、とっても。アン女王が落ちて来たのもあんな流れ星だったんだろ
うかねえ」
「アン女王?」
きょとん、とハインは尋ねた。
「おや?ハインは聞いた事が無かったのかね?」
「うん」
「それじゃあ、聞かせてあげようかね。アン女王様のお話を」
「うん!」