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第6話 なぜ笑うんですか?

オークそっくりと蔑まれていた少女エルフィナ。

その正体は、特別な力を持つ女神の生まれ変わりだった。

神々が道を外れた時――

世界は一人の少女を呼び覚ます。

「今だ!捕えよ!

 このチャンスを待っていたんだ!」

 宇宙に怒号が響いた。

「ちょっと待て!」

 創造神が一歩前へ出る。

「チャンスだと?

 お前達何を(たくら)んでおるのじゃ?」

 ザルサールは口元を歪めた。

「そうだな…… エルフローラが、

 この大惨事に関わった事は、

 あんた達にも分かっただろ?」


 創造神の瞳が鋭くなる。

「確かに……この魔力の痕跡、この波長……

 間違いなくエルフローラのものじゃ」


 神々の間にざわめきが広がる。

 しかし創造神は続けた。

「だからと言ってエルフローラが、

 この大惨事に関わったとは言い切れまい」

 そもそもじゃ……エルフローラが、

 第12宇宙を破壊する理由がどこにある?」


 そして思い出したように言う。

「そう言えば……先日、

 第7宇宙のお主らに、

 神聖魔力を分け与えておったな?

 (ひつ)に溜めておると聞いたが……

 それはどうした?」


 ザルサールは静かに笑った。

「ふふふ……

 もういい……茶番は終わりだ」


 その指がエルフローラへ向けられる。

「この娘を引き渡すか……

 我々、全宇宙の神々と敵対するか……

 今すぐ決めるがいい」


 創造神は深く息を吐いた。

「……そういう事か……

 お前達は……

 エルフローラの力を恐れておるのじゃな?

 あるいは――嫉妬か?」

 宇宙が静まり返った。

 周囲の神々が顔をしかめる。

 誰も言葉を発しない。



「大きな間違いを犯してしまったの……」

 創造神の声が重く響いた。

「エルフローラが、第12宇宙を再生しなければ。

 どれだけの生命が消えていたと思っておる?

 見守るべき自らの宇宙で、

 よくもそんな真似が出来たものじゃ」


 そして冷たく言い放つ。

「間違っても……神のする事ではない」

 ザルサールは肩をすくめた。

「あのお人よしが、

 見かねてこうする事は織り込み済み」



 創造神の目が細くなる。

「……この()をどうするつもりなのじゃ」

 ザルサールは笑った。

「わかるだろ?

 あれほどの神聖魔力に守られている、

 エルフローラを処するのは難しい……

 だが……」

 その目が鋭く光る。

「神聖魔力を使い果たした今ならどうだ?」


 ザルサールが手を振り上げた。

「おい! お前達!」


 創造神が叫ぶ。

「ま、待て!」

 しかし次の瞬間。


 〝ガンガンガン!!〟

 〝ドシュドシュドシュ!!〟

 〝ドッカンドッカンドッカン!!〟

 神々の力が一斉に解き放たれた。

 星が震え、空間が裂ける。

 宇宙そのものが揺れるほどの攻撃が、

 気を失ったエルフローラへと降り注いだ。


 その光の中で――

 エルフローラの意識が一瞬だけ浮かび上がる。

(……あれ…… ここは……)

 ぼんやりとした意識の中で、彼女は感じていた。

 遠くで泣く声。 怒る声。

 そしてーー

(……創造神(おとう)様……)

 最後に浮かんだのは、

 父のように慕う存在の顔だった。


 その時だった。

 煙の中から、光が差し込む。

 一筋の光が宇宙を裂いた。

 第1宇宙の創造神。

 誰よりも速く、

 誰よりも強く――

 その光はエルフローラの前へと到達した。

 そして。

 創造神は、迷いなく掌を突き出す。

「すまぬ……」

 小さく呟いた。

 その掌が、エルフローラの胸に叩き込まれる。

 次の瞬間。

 エルフローラの身体が光へと変わった。

 粒子となり、

 ゆっくりと宇宙へ溶けていく。


 ザルサールが笑う。

「そうか……

 あんたもこちら側につくということか?」

 創造神は静かに答えた。

「馬鹿を言うでない」

 その声は低く、怒りを含んでいた。

「これ以上、この()が苦しめられるのを……

 見ておれなかっただけじゃ」

 ザルサールが肩をすくめる。

「だから、とどめを?お優しいことで」



 創造神は、ゆっくりと振り返った。

「これで気が済んだかの?」

 そして言う。

「わしらは、これにて失礼する」

 そして、振り返りもせずに言い放った。

「……お前達」

 宇宙の空気が震える。

「言っておくが……

 もう二度と、第1宇宙には来るでないぞ?

 無事帰してやる自信はない……」

 その瞬間――

 創造神の周囲に、

 黒紫色の殺気が噴き出した。

 宇宙すら震える圧力。

 神々が思わず一歩後ずさる。


 さすがは原初の創造神。

 この存在もまた、規格外だった。


 ーーーー


 ーー第1宇宙神界


「アルティーネ……」

 創造神が言う。

「泣くでない」

 アルティーネは涙を拭いながら言った。

「ですが……あんまりです……

 あんな優しい子を……よってたかって……」

 創造神は、ふっと笑った。

「ふぉふぉふぉ……

 確かにエルフローラは優しい子じゃ……」

 アルティーネが驚く。

「創造神様?なぜ笑うんですか?」

「すまんすまん」

 創造神は肩を揺らした。

「お前まで騙せておったならと、

 安心してな」

「騙す?」

「ほれ、これを見なさい」

 創造神は懐から、卵ほどの透明な球を取り出した。

 それは淡く光り、

 美しい輝きを放っていた。

「綺麗……」

 アルティーネが呟く。

「これは?」

「エルフローラの魂じゃよ」

 アルティーネの目が見開かれる。

「これで、あの子を再生させられる」

「それでは……あの時、手のひらを打ち込んだのは……」

「もちろん、とどめを刺したのではない」

 創造神は言う。

「これを、エルフローラの記憶と共に抜き出したのじゃ」

 そして笑う。

「とどめなど刺すわけなかろう?

 わしの子じゃぞ? でも騙されたじゃろ?」

 アルティーネは涙ぐみながら頷いた。


「これがあれば……あの子は戻れるのですか?」

「そう言うたじゃろ」

 創造神は肩をすくめた。

「身体など、わしにかかればちょちょいのちょいじゃ」

 アルティーネがふと眉をひそめる。

「……あれ?創造神様……

 これを見て下さい」

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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