表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/11

第5話 私……利用されたの……?

オークそっくりと蔑まれていた少女エルフィナ。

その正体は、特別な力を持つ女神の生まれ変わりだった。

神々が道を外れた時――

世界は一人の少女を呼び覚ます。

 創造神が目を細める。

「……ザルサール……

 それに……12の宇宙の神々か」

 ザルサールとは第12宇宙の創造神。

 第1宇宙の創造神とは少し因縁があった。


 第1宇宙の創造神はゆっくりと言った。

「何故ここにおる?

 エルフローラの力は必要ない?

 〝それには及ばない〟とはそう言う意味か?」


 ザルサールは微笑んだ。

「そう言ったのだ」


 創造神の眉がぴくりと動く。

「それは、どういう意味じゃ?」


 ザルサールはうっすら笑みを浮かべて言う。

「この大惨事を引き起こした張本人が……」

 そして冷たい視線をエルフローラへ向ける。

「元に戻すと言っても、何を信じられる?」

「な……」

 エルフローラは息を呑んだ。

「わ、私が……?」

 創造神が怒鳴る。

「ザルサール!何を言っておる!

 エルフローラが大惨事を引き起こしただと?」

 そんな馬鹿な話があるものか!」


創造神(おとう)様」

 エルフローラは、静かに言った。

「神々の皆様が何をお考えなのか……

 私には分かりません

 ……ですが、今は議論している時間はありません」

 彼女の瞳は決意に満ちていた。

「これ以上時間が経てば、

 復元できる可能性も消えてしまいます。

 申し訳ありませんが、私は今すぐ行きます」

 エルフローラはそう言った。

 だがその声は、かすかに震えていた。


 第12宇宙の生命が消えた。

 それは――

 神である彼女にとって

 耐え難い痛みだった。

「助けられる命があるなら……私は行きます」

 そう言い残し……

 〝スッ〟 

 エルフローラは消えた。


 ーーーー


「なんて酷い状況なのかしら……」

 星々が塵と破片とかして、乱雑に漂っている。

 生命の気配はどこにもない。

 鼻をつく焦げた匂いだけが残っている。


 エルフローラは首を傾げる。

「なに?……この感じ……」

 エルフローラは目を閉じ、

 残された魔力の痕跡を探る。


 そして――

 突然顔色が変わった。

「こ、この波長……」

 息を呑む。

「ま……まさか……私の神聖魔力……?」

 その瞬間。

 彼女の脳裏に、ある光景が浮かんだ。



 ーーーーーーーー


「悪いわね、エルフローラ」

 ジュリアナが言った。

「ううん、いいわよ」

 エルフローラは微笑む。

「ここに私の聖魔力を注げばいいの?」

「ええ、お願いね」

 頷くジュリアナ。


 エルフローラの目の前には、

 巨大な魔力の(ひつ)があった。

 魔石で作られたそれは、

 小屋ほどもある巨大な装置だった。

 エルフローラはそこに神聖魔力を注ぎ込む。


「思ったより大きいわね……

 これを一杯にするなら、

 聖魔力は、かなりの量になるわよ?

 何に使うの?」

 ジュリアナは目を合わせず説明する。

「第7宇宙の中心で、超新星爆発が起きてるの。

 この装置を置いて魔力の渦を作れば、

 求心力が戻るはずなの」


 第7宇宙の中心付近で、超新星爆発が起き、

 膨張しているとの事。

 広い宇宙の事、一見しただけでは、

 その様子を確認する事は出来なかった。


 エルフローラは少し心配そうに言う。

「でも気をつけてね。魔力が漏れたりしたら大変よ。

 これだけの大きさの(ひつ)だもの……

 相当なエネルギーになるわよ」


 ジュリアナを見つめる。

「特にジュリアナ……あなたはね」

「大丈夫よ」

 ジュリアナは笑った。

「この(ひつ)は特別丈夫らしいから」



 ーーーーーーーー


(まさか……あの時の……

 私の聖魔力が……?)

 エルフローラの顔が青ざめる。


(でも…… 何故第12宇宙?

 第7宇宙じゃなかったの?ジュリアナ……)

 エルフローラは困惑した。

(でも、私の聖魔力だけで、

 爆発が起きるとこはない……

 じゃあ……何が……

 これは事故じゃない……

 私……利用されたの……?)


 しかし考える時間はなかった。

「今すぐやらないと……」

 彼女は手を合わせ祈った。


 胸から光が溢れ出す。

 その光は、次第に宇宙を覆うほどの輝きとなった。

 更に広がり続け、巨大な光の渦となる。

 すると星々の破片が動き始める。

 引き寄せられ、回転しながら集まり始めた。

 砕け散った星々が、元の軌道へ帰る。

 壊れた星が再生していく。

 消えた生命が戻る。

 時が、巻き戻されていった。


 それは――神の奇跡だった。

 そしてーー祈りは丸一日続いた。

 第12宇宙は、ほぼ元の姿へと戻った。


 だが。

 エルフローラは、そこで魔力を使い果たし力尽きた。

 その場に崩れ落ちる。

 意識が闇へ沈んでいく……


 と、その時だった。

「今だ!」

 声が響く。

「捕えよ!」

「このチャンスを待っていたんだ!」


 ーーーーーーーー


「エルフローラが、大惨事を引き起こしたじゃと?

 ばかな……何故その様な話になるのだ!」

 第1宇宙の創造神が憤る。

「その様な残忍な事を、あの心優しいエルフローラが、

 するわけなかろう?

 散々、あの()を利用してきたお前たちには、

 よく分かっておるはず……

 今朝は、多くの生命の消滅を感じ、

 寝込んでおった程なのだぞ?

 そもそもあの()は、ここ数日、

 この聖域から一歩も出てはおらん」

「そんなことはどうでもいい……

 証拠があるんだ、証拠がな……

 魔力の痕跡だよ。

 破壊された現場の、あの魔力の波長は、

 間違いなくエルフローラの神聖魔力」

「な……なんじゃと?

 バカを言うな、エルフローラの神聖魔力の痕跡だと?

 ええい!もうよい。わし自ら確認する。

 わしもエルフローラの後を追う」


 その時ーー

 ザルサールに、耳打ちする者がいた。

 神々の一神であろうが、

 どこか闇を感じる不気味さを持っている。

 魔力は不自然なほど感じなかった。


「待て待て、今報告が入った。

 エルフローラは、どういうつもりか分からんが……

 本当に、第12宇宙の再生を試みている様だ。

 今は邪魔をせず、見守った方が良い。

 少し離れた場所に行こうではないか」


 ーーーーーーーー

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ