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第4話 女神の魔法

オークそっくりと蔑まれていた少女エルフィナ。

その正体は、特別な力を持つ女神の生まれ変わりだった。

神々が道を外れた時――

世界は一人の少女を呼び覚ます。

 その時夜空に青白い魔法陣が浮かび上がった。


「な、なんじゃ……あれは?」

 〝パッ、パッ、パッ、パッ、パッ…………〟

 次々と空に現れる魔法陣。

 気づけば、空は無数の魔法陣に覆われていた。


「まさか……!」

 次の瞬間。

 無数の光が放たれる。

 ―― 光の矢(ライトアロー).

 咄嗟にエルフィナはメアリナに覆いかぶさった。

 妹を守るエルフィナ。

「メアリー!」

 だが……

 その時、不思議なことが起こる。

 エルフィナへ向かった光の矢は――

 身体に触れる直前、

 まるで見えない壁に弾かれたかのように軌道を変えた。

 エルフィナは何もしていない。

 だがその瞬間だけ――

 エルフィナの身体は淡く光っていた。


 後ろを振り返ると、

 アルガルドが胸を貫かれ倒れていた。

「アルガルド先生!」

 エルフィナは駆け寄る。

 その――一瞬の隙。

 メアリナの襟首が掴まれた。

「きゃっ――!」

 魔族だった。

 軽々とメアリナを持ち上げる。

 そして剣を振り上げた。


「私の大切なものに触らないで!」

「エルフィナ姉様!逃げて!」

「貴方を置いて逃げられるわけないじゃない!」

 魔族は笑う。

「おいおい……人族ってのはこんなに弱々しいのか?」

 周囲を見回す。


「この学園には、

 貴族のガキが山ほどいるって聞いたからな。

 人質にして闘いを有利に進めるつもりだったんだが……」

 魔族は鼻で笑った。

「こんなしょぼい魔法で全滅寸前かよ」


 そしてメアリナを放り投げる。

「まあ良いか?

 人族がこんなに脆弱(ぜいじゃく)だってんなら、

 王都の制圧も容易だろう。

 警戒されると面倒だ。外に情報が漏れない様に、

 残ったガキ共、皆んなやっちまえ!

 1人も逃すなよ!」

 そう言うと、メアリナに向け剣を持ち上げた。


「お願い……止めて!メアリーから離れて!

 …… やめてぇぇっ!!!」

 夜空に向かい、祈る様に手を合わせ、

 叫ぶ少女エルフィナ。

 エルフィナの合わせた手から、

 天へ向かって一筋の光が昇る。

 すると、満天の星から光が集まり、

 エルフィナの光より遥かに大きな柱となって降りてきた。

 その光がエルフィナを包みこむ。

 次の瞬間――

 エルフィナを中心に無数の光が放射状に放たれた。

 その光は水平に広がり、

 幾重もの波紋となって周囲へと拡がる。

 1000人以上いたはずの、

 魔族は、その光で消滅した。

 同時に身体を覆っていたであろう、

 薄い透明の膜が、

 大きな音を立てて、粉々に砕け散る。

「エルフィナお姉様……い、今の光は?」

 その瞬間だった。

 まるで霧が晴れるように、視界が変わった。

 今まで醜く見えていた少女――

 そこには、

 神話に出てくる女神のような、

 少女が立っていた。


 その瞬間、エルフィナは本来の力を取り戻していた。

 前世――

 女神だった頃の力を。


 ーーーーーーーー



 エルフィナは、この世界の一神――

 女神エルフローラの生まれ変わりだった。


 宇宙には、全部で十二の世界が存在している。


 その原初の世界。

 第1宇宙の女神――それがエルフローラだった。

 誕生した時から、神聖魔力は桁外れ。

 他の神々とは明らかに異なる存在だった。

 だが、その心はどこまでも穏やかで、優しかった。

 第1宇宙では、誰からも愛される女神。

 それがエルフローラである。

 ――あくまで、第1宇宙では……


 他の宇宙の神々は、エルフローラの能力に

 疑懼(ぎく)の念を抱いていた。

 しかしその感情を表に出すことはない。

 むしろ逆に――

「エルフローラ様にお願いすれば解決する」

 そんな期待を込めて、様々な依頼が届くようになった。

 エルフローラは、それらをすべて笑顔で引き受けた。

 嫌な顔をしたことは、一度もない。

 困っている者がいれば助ける。

 それが当たり前だと信じていたからだ。


 ――だが、その優しさこそが。

 後に彼女を破滅へと導くことになる。


 そんなある日、

 女神エルフローラは、朝から寝込んでしまっていた。


 遠く離れた宇宙で、

 大量の生命が消滅していく気配を感じたからだ。

 胸を締め付けるような、耐え難い感覚。

 それは神にとっても、あまりにも重いものだった。


 ーーその時だった。

「創造神様!大変です!」

 慌ただしく駆け込んできたのは、女神アルティーネだった。

「第12宇宙の六分の一ほどが、

 大爆発のような現象で消滅したそうです!」

「なんじゃと!?」

 第1宇宙の創造神が、驚愕の声を上げる。

「第12宇宙で、一体何が起こったというのじゃ?」

 エルフローラはゆっくりと体を起こした。

 その表情には、苦悩が浮かんでいる。

「……創造神様」

 彼女は静かに言った。

「あの……今すぐであれば、

 私……元に戻せるかもしれません」

「何?本当か?」

「以前、もっと小さな範囲ではありますが、

 時間を巻き戻したことがあります。

 アストラル兄様の暴発事故の時です」


 アストラル。

 それは、エルフローラの双子の兄。

 魔道具制作の天才だった。

 しかしその実験事故で大爆発を起こしてしまい、

 責任を感じた彼は姿を消したのだった。


「今回は範囲が広大です」

 エルフローラは苦しそうに言う。

「正直、自信はありません……ですが」

 そして静かに頭を下げた。

「行かせていただけませんか?」


 ーーその時……


「……それには及びませんぞ?」

 〝フッ……〟〝フッ……〟〝フッ……〟〝フッ……〟

 次の瞬間、空間が歪む。

 白い影が次々と現れた。

 気づけば――

 五十を超える神々が、そこに立っていた。

数ある作品の中から見つけ出し、お読みいただき、ありがとうございます。

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