第27話 レオンの思い出とドラゴンの友情 -1
カイとの料理対決に敗れたドラゴンは、悔しそうに頭を下げると、威厳に満ちた声で一行に語りかけた。
「勇者よ…!俺の負けだ!約束通り、この先へ行く道を譲ってやろう…!そして…俺の集落に来てくれ!お前の料理を、もっと食いたい…!」
ドラゴンの予想外の言葉に、カイは目を輝かせた。
「え、いいの!?やった!行く行く!みんな、行こうぜ!」
カイは、そう言って満面の笑みで仲間たちに呼びかける。ルナとセレナ、フィリアは、そんなカイの姿を見て、互いに顔を見合わせる。
「…カイさんが行くなら、私も行きますわ!」
「…仕方ないわね。カイが望むなら…!」
「お兄さまと一緒なら、どこでも楽しいよ!」
三人は、それぞれにカイへの想いを抱えながら、ドラゴンの誘いに快く応じた。
システィナは、そんな様子を面白そうに眺めていた。
「はっは〜ん…。やはり、勇者様の『絆』の力は、料理にまで影響するのかしら?料理は、作る者の心を映し出す鏡。そして、勇者様の料理には、仲間への優しさと愛が詰まっている…。だからこそ、このドラゴンの心を動かした…」
システィナは、一人で、楽しそうに考察を始めた。レオンは、そんなシスティナの姿を、ただただ困惑した表情で見つめているしかなかった。
こうして、一行はドラゴンの背に乗り、彼の集落へと向かうことになった。空を飛ぶドラゴンの背の上で、カイは目を輝かせ、風を感じていた。
「すごい!ドラゴンに乗って空を飛ぶなんて、初めてだよ!」
カイの無邪気な言葉に、ルナは少し照れたようにカイの腕にしがみつく。
「…へ、へぇ…。すごい、かしら…」
「ルナさん、ずるいですわ!カイさん、私も怖いので、腕を掴ませてください!」
セレナは、そう言って、ルナの反対側の腕を掴んだ。
フィリアは、システィナの隣で、空を飛ぶドラゴンに目を輝かせている。
「お姉さま、ドラゴンさん、とっても優しいね!精霊さんたちも、喜んでいるよ!」
「ふふん、そうね。でも、このドラゴン…この世界のラブコメにおいては、脇役でしかないわね。残念ながら…」
システィナは、そう言って、ニヤリと笑う。フィリアは、そんなシスティナの言葉の意味が分からず、首を傾げた。
しばらくして、一行は巨大な山脈の奥にある、隠された集落にたどり着いた。そこには、赤や青、緑など、様々な色をしたドラゴンたちが、和やかに暮らしていた。
「ここが、俺たちの集落だ!ようこそ、勇者たち!」
料理人ドラゴンが、そう言って一行を歓迎する。その声に、集落にいるドラゴンたちが、一斉に彼らのもとへ集まってきた。
その光景に、レオンは目を丸くした。
「ま、まさか…!ここは…!」
レオンは、信じられないといった表情で、集落を見回す。
「どうしたんだい、レオン?」
カイが問いかけると、レオンは震える声で答えた。
「ここは…!私が若かりし頃、騎士として修行を積んだ、伝説のドラゴンの集落だ…!」
レオンの言葉に、一行は驚きに目を見開いた。
「へえ!レオンさん、ここで修行してたんだ!」
カイは、嬉しそうにレオンの肩を叩く。レオンは、そんなカイの言葉に、少し照れたように俯いた。
「はい…!システィナ、覚えているか?ここで修行していた時、君が会いに来てくれたこと…」
レオンが、システィナに語りかける。システィナは、少し照れたような表情で、彼の言葉を受け止める。
「ふふん、覚えてるわよ。あの時はまだ、レオンが私の『お尻』に夢中になる前だったわね」
システィナは、いつものようにからかうように言ったが、その表情はどこか優しかった。
ルナとセレナは、再び馴れ初め話に興味津々で耳を傾け、フィリアは「ドラゴンとエルフと人間が、みんな仲良しなんて素敵です!」と無邪気に笑う。
その夜、レオンは一人、星空を眺めていた。そこにシスティナがやってくる。
「何を考えているの?」
と尋ねるシスティナに、レオンは素直な気持ちを伝える。
「君のことが、本当に大切だ」
システィナはいつものようにからかうのではなく、彼の言葉を静かに受け止める。
二人の間の時間が止まった。
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