■第三話後編、未公開シーン
■未公開、弓の怪我、病院でのシーン「牛乳」
それからこういうことがあった。
わたしの気持ちが落ち着いたところで、どこに隠していたのか、牛乳が少しだけ入ったコップを姫木さんが差し出してきて、「ちょっと、流しに行こうか」と言ってきた。何事かと思い、付いていくと、その牛乳を手洗い場で捨て始めた。
姫木さんはそのコップに手を添えていた。牛乳がなくなった時に姫木さんの手のひらに現れたのは……私の二本の歯だった。そしてそのまま水ですすいでいた。
曰く、折れた歯は三十分程度であれば、そうやって保存しておくとまた埋め込んでくれるらしい。が、三十分はとっくに過ぎていたので、その場で牛乳も捨ててしまったとのことだった。
歯を手のひらに乗せたまま「これ、上の歯? 下の歯?」と聞かれたので「上の歯だけど……」と答えると、「じゃあ、軒下に……」と言って渡された。
……これ乳歯じゃねえから。
(病院後のタクシーに乗った時の弓の回想で入れる予定でしたが、第三話後編が全体的に長く、これを入れると冗長気味になるのでカット、どこかに入れようと文面だけとっておいたのですが、とうとう入れる場所がなくなったのでこちらに投下します)