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死ねないエルフの物語  作者: 中居ふらん
第1章 魔女と少女
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第5話 招かれざる客

あれから.........夜が来てから、少し家が賑やかになった。


僕が1人で住んでいた時よりも、イトと二人で過ごしていた時よりも、より賑やかになった。


久々に家にいて人の温もりというものを感じた気がする。


もう長い間他人と同棲なんてしていなかったから。


本当に新鮮である。


「にしても、この家お主1人で住むには大きすぎないか?昔他に誰か同居人でもいたのか?」


「まあね。昔は結構人数いたかな。でも旅にでる子とかもいて今は1人で住んでたんだよ。」


「ふーん.........。」


「ふーんって、君が聞いたんじゃないか。もう少し反応をちょうだいよ。」


「そーだったのかー。」


超棒読みすぎて、逆に清々しい。


「それにしても……僕もこの歳になって、ここまで家が賑やかになるとは考えてなかったよ。案外、歳はとってみるものだね。」


「お主が言うと貫禄があるな。本当に何年生きているんだか。」


「まぁ君よりは生きてるかな。長生きエルフだからね、腐っても。」


「もう数千年は超えておるということか……規模が桁違いじゃな。」


「まぁ、長く生きすぎるのも良くはない部分もあるけどね。人の世ではだけど。」


と、口にして本を閉じる。


「さて、昼食にでもしようか。なにをたべたい?夜、イト。」


「そうじゃな。なら、我は肉じゃな。」


「料理なら、私がしますよ。ルナ様は……。」


「イト。君はまだ子供なんだ。助かるけれど、頑張りすぎは良くない。だから、少しは僕にも家事を少しは分けて欲しいな。」


ダメかい?と、聞くとイトが私のお願いに負けてくれた。


こうして、僕も少し強引に行かないと、イトはなんでも独りでこなそうとしてしまうから、ダメなのだ。


「それで、イトは何が食べたい?」


「えっと……じゃぁ、私もお肉料理が……いいです。」


「わかった。じゃぁ今日はドラゴンのステーキを豪快にいこっか。」


イトの頭をポンポンと撫でながら、笑みを向ける。


イトも育ち盛りだし、丁度いいだろう。


そうして、僕が台所に向かおうとした時だった。


ドンドンッとドアが少し乱暴に叩かれた。


誰だ?


ギルドの面々が来た時の来訪の仕方とは、違う。


それに周りの精霊が少し騒いでいる。


「夜。イトを僕の部屋に連れて行って。あそこなら安全だ。」


「ふむ。承知した。行くぞ、イト。」


「でも……。」


「大丈夫だよ。何があっても僕なら何とかなるから。」


安心させるようにイトの頭を撫でる。


「ほれ、行くぞい。」


夜がひょいっと、イトを担ぎあげて僕の部屋へと向かっていった。


イトは終始心配そうな眼差しを向けていたが、何があっても僕は死なない自信がある。


これでも数少ないSクラスの冒険者だしね。


未だにノックされているドアに近づく。


外の方では何やら、男二人の話し声が聞こえてきた。


「本当にいるんだろうな、こんな家に白狼族のガキが。」


「えぇ。確実にいるはずです。この前、この家に例の子供が入っているのは密偵が目撃しているので確実な情報かと。」


「……これでいなかったらお前らの首がはね飛ぶと思えよ。」


ほぅ……この男2人は例の奴隷商と関わりがあるみたいだな……。


下っ端も下っ端ではあるが、いい情報を持っていそうだし、ここで捉えておくのはいいかもしれない。


「はーい、今開けるので待ってくださーい!」


ドアから少し離れた位置に移動して、そう声を上げる。


そして、ドアノブに手をかけ開けた。


1人は少々小柄な青年だった。


もう1人はでかい図体をしている。


なかなか迫力はある。


「えっと……どちら様でしょうか?」


とりあえずは、争う意思を見せない。


相手も争う意思がないかもしれないから。


「俺たちは騎士団の者だ。ここに指名手配されている獣人が入っていったという通報を受けてな。中を調べさせてもらいたいのだが、いいだろうか?」


「指名手配、ねぇ……。通報を受けただけじゃ、他人の家の中の家宅捜索なんてできるはずないだろう?君らはあくまで騎士団であり、貴族では無いのだから。」


「騎士団に逆らうつもりか?」


「うん、逆らおう。君たちに僕は逆らうよ。」


言った瞬間に、男が先程よりさらに肥大化した。


また大きくなった。


あれでもギリギリなのに、もうこれは家に入れないな。


「もういい。このままこいつを殺して、あのガキを連れていく。」


「それはまた物騒なことを言うものだ。……やれるものならやってみな。」


挑発したと同時に、男の拳が僕へと振り下ろされる。


なかなかこの男の実力は高いようだ。


普通の一般冒険者とは比べ物にならない威力の攻撃をするじゃないか。


でも、それだけだ。


「〝身体強化Lv1〟」


体が少し淡く光り、軽くなった。


「残念だけど、君の攻撃は僕には届かない。」


その言葉とともに、僕が懐に潜り込み拳を腹にめり込ませていた。


「かっ……はっ…………?!」


「まず1人。」


ドスンっとその場に倒れ込む男。


隣の男は何が起こったのかも分からず、ただ呆然と立ち尽くしていた。


「それで、君はどうする?大人しくしてくれるなら、手荒な真似はこちらもしないことを誓おう。」


「わ、わかった!大人しくする!だから、勘弁してくれ……!」


「うん。素直でよろしい。」


身体強化を解除して、男たちを魔法で拘束する。


いい情報源を手に入れてしまった。


これで奴隷商の全貌が分かるはずだ。


今日はなかなか運がいい。



あの後、僕は男達を地下へと連れていった。


夜には、念話で地下には近づかないように伝えてある。


今からするのは、あまりイトには見せられないものだし。


「っ……!僕たちになにかするつもりならやめた方がいいぞ。後ろには貴族も関わっている。」


「貴族か。確かに、小競り合いでは彼らの方が余程頭は回るだろうね。無駄に知能は高いから。でも、僕は別に小競り合いをしたい訳じゃない。」


「何言って……。」


男がそう言葉をいい切る前に、髪の毛をつかみあげた。


「ぐぁっ?!」


「君は何か勘違いしているようだから言っておくけど、僕魔術師だよ?伝達魔法なんて遮断しているに決まっているだろう。さっきからずっと使ってたけど。」


「ま、魔術師?そんなわけ……ないだろうが……!さっきガドルフを拳で殴り勝ってたじゃないか!」


「残念。あれは身体強化の魔法だよ。僕が考案した、恐らく今この世で最も強い身体強化魔法だよ。」


「っ!化け物め……!」


化け物、か。


随分久々に言われたな。


昔は聞き飽きるほど、言われた言葉だ。


「まぁ、とりあえず拷問を始めよっか。」


言って、男の髪の毛を放す。


そして、男の目線に合わせしゃがんだ。


「君にはYESかNOの2つしか選択肢は無いと思って欲しい。大体の本拠地の場所とかは絞り込めてるから、それ以外の言葉は必要ない。もしも、勝手な言葉を話すようなら、黙秘を行使するなら、君には今までにない恐怖が襲いかかると思っていいよ。あくまで素直に話せば、怖い思いはしなくて済む。」


「そんな脅しで、僕が話すと思うのか?馬鹿め。」


「脅しと受け取ったか。まぁそれでもいいよ。君のために忠告しただけだから。早めに話した方が、君の身のためだよ。」


「やれるものなら、やってみろ……!」


「いいよ。とりあえずじゃぁ、1度味わってもらおう。忠告はしたからね。〝ドゥームアンチソウルスターフォン(幻惑と反魂の罰則)〟」


瞬間に、男の目が先程と違う恐怖の色に染まった。


体もガタガタと震え出す。


「ひっ……来るな……こっちに来るな!僕はただ、生きるためにそうせざるを得なかっただけで……!やめろ、やめてくれ……僕は何も悪くないんだァ!やめろぉぉおお!」


叫ぶと同時に、男の意識が消えた。


ドサリとその場に倒れる。


少しやりすぎたかな?


でもまぁ、このくらいのお灸じゃこの男たちには、まだ足りないかな?


今までにも色々やってきてはいそうだし。


「とりあえず、起こそうか。〝アクアボール〟」


威力をかなり弱めたアクアボールを男二人にぶつける。


すると、2人同時に咳き込みながら意識が覚醒した。


「さて、これでわかっただろう?答えなければどうなるのかは。質問を始めるよ?君たちのアジトは貴族の邸宅の地下で合っているかい?」


「このクソ女が……!てめぇ、どうなるかわかって……!」


「やめろ……!この女に逆らうな。僕らじゃ返り討ちに合うだけだ……!…………質問はYESだ。」


「……素直なことはいいことだ。でもとりあえず、そこの男には味わってもらおうか。」


「まて、やめろ!こいつは……!」


静止の声がかかるが、そのままドゥームアンチソウルスターフォンをかける。


先程と同じく、男が恐怖に顔を歪めた。


精神に作用する魔法のおそらく最上位に匹敵するオリジナル魔法だ。


普通はああなる。


だからこそかけているわけだ。


「さて、質問の続きをしようか。君たちはだいたい何人くらいで構成されている組織なのかな。50人以下?」


「……NO。」


「じゃぁ50人以上?」


「YES。」


なるほど。


もし相手取るとして、少なくとも基地に殴り込んだら50の相手は、ほぼ確実にすることになるわけだ。


「よし。最後の質問だ。君らの筆頭はレグメリア・ルブルタウンで間違いないか?」


「っ……!そこまで、わかっていやがったのか……。」


「冒険者ランクSの冒険者を舐めない方がいいよ。」


「はは……本当に貧乏くじを引いちまったな……。」


言って、男は俯いた。


聞きたい情報は聞けたし、あとはギルドを通して、衛兵にでも突き出すか。


でも、ここでも内密にことを運ぶ必要があるし、これは僕も首を突っ込ませてもらおうか。


もし、相手側に勘づかれると色々面倒だ。


逃げられると僕でもレグメリアという男には叶わないだろう。


奴は、相当ずる賢いからな。


「……あの子のためにも、ここは一肌脱ぎますか。」

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