初夜に『私は貴方を愛することはありません。尊敬します』と言われた妙齢の女性の末路
「光の巫女として、命令します。ダンデは、オルテと婚約破棄をし、私と結婚しなさい」
「そんな」
「巫女様、お考え直し下さい」
私は、夢見・小田、転移者だ。
光と共に、この世界に現れ、この部族の巫女として、崇められている。
そう、巫女には、特権がある。
配偶者を自由に選べることだ。
たとえ、夫婦であっても、別れさせる事が出来る。
ダンデは、25歳、この世界では、イケメン、高身長、狩りが上手い。
その婚約者オルテは、16歳、私が来る前の、巫女候補であった。
先代がなくなり。さあ、巫女を選ぼうと言うときに、私が転移してきたのだ。
婚約破棄をさせるって、ヒドイと思うだろう。
しかし、理由がある。
この世界は男尊女卑、若い女は、男と大して変わらない服を着て、狩りや採集を行う。
女は子供を産んだら、
出産したばかりの若い女性に、アラフォーの女性が子育てを教えて、共同して子供の面倒を見る。
オルテは、男に媚び。男に交じって、仕事をしていた。
だから、私は、
『女性と男は家事、育児は折半!女は、専業主婦で家にいる』
ザワザワザワ~~
『あの巫女様、すでに、男子は、男衆が、女子は女衆が育て、教育を受け持っています』
『なら、女は、何の仕事をするのですか?』
はあ、遅れているわね。
『女は綺麗な格好をして、旦那とピクニックに行くのが仕事よ』
と交易を通じで、ドレスや宝石を手に入れさせた。
その中で、男と混じって働いているのが、オルテだ。
生意気に、部族一の男と付き合っているわ。
女の敵は女とは良く言ったものだわ。
「あの、その、巫女様、お考え直しを」
「そうです。巫女様、そこまで、我らのことを・・・嬉しく思います」
はあ?悔しがらない。もしかして、私のことを愛していた?
「オルテ・・・しばしの別れだ」
「ええ、宮殿で暮らすのね。私は神殿に行きます」
「ちょっと、どういうこと?」
意味深に言われたが、褥を共にすれば、何とかなるだろう。女を抱きたくない男などいやしないのだから、
結婚の宴が行われ、遂に、初夜だ。
「・・・巫女様は、40を超えられています。部族の掟で、交わることは禁止されています」
「ちょっと」
「私は貴方を愛することはありません。尊敬します」
この世界では、50になれば、長老だけど、私は若いのよ!
意味が分からない。私は41歳、日本では・・・・
まだ、いけるわ。
そもそも、女性を年齢や容姿で差別することは卑しい行いよ。
だから、日本の男性は・・・・
地球では、
太古、女性も共同体で重要な位置を占め。
最高権力者として扱われただろうと思われる女性が埋葬された墳墓も発見された。
しかし、文明が進み。豊かになると、女性は、美しく着飾るように進化した。
一方、この世界の隣国では、貴族の女性は着飾り、社交をするのが仕事であった。
☆隣国
「婚約破棄をする!」
王太子は、可憐な庇護欲をそそる令嬢の腰に、片手を回し、婚約破棄を宣言した。
「兄上、お待ち下さい!証拠は、証言のみです」
やがて、陛下が登場し、
「ほお、なら、第二王子よ。ムカデ族を討伐せよ。そしたら、公爵令嬢ミリーラとの婚約を承認し、王太子に任命する」
ザワザワザワ~~
「はん?出来る訳ないさ。俺は失敗した」
「将軍殿は戦死された」
「ああ、巫女と一騎打ちをして、相打ちになったのだ」
「しかも、新しい巫女は、天空から来た光の巫女と言うではないか?」
「望むところです。見事、討伐して、憧れの義姉上と、婚約してみせます」
「まあ、ご武運をお祈りしますわ。死なないで下さいませ」
☆
「ユメミ様!石の都の奴らが、攻めてきました」
「そう、話し合いよ。こちらは使者を出して」
「いえ、巫女様の特権、軍の先頭に立って、戦えますぞ」
「何ですって、それは、男の仕事でしょう!」
「いえ、巫女の特権です」
「さあ、さあ、戦車を用意しました」
「後事は、オルテに任せて、ご出陣下さい!」
「ヒィ、いやよー」
・・・・・
「敵将を討ち取ったぞ!」
「見たことのない黒目黒髪の女だ」
「しかし、弱い。弱いすぎる」
「殿下!向こうから、新しい巫女がやってきます。配下に付くとのことです」
「うむ。前向きに検討しよう」
・・・私は、オルテ、異界から来られたユメミ様は、自ら、ダンテを配偶者に望み。
戦場に行くことを阻止した。
戦役は、一家に一人。形だけの夫であるダンデは留守部隊を任されたわ。
そして、隣国と交易することで、情報を手に入れた。
おかげで、第二王子の目的は、部族の全滅ではなく、帰順だと分かったわ。
それで、王位につける。
何て、慈悲深く賢い方なのかしら。早く死ぬことで、犠牲を最小限に済ませた。
しかも、みっともなく、わめき散らして亡くなった。士気が低下し、戦士団を説得できたわ。
私はダンデと最婚約できるわ。巫女の特権、いえ、向こうも望んでいるわ。
「新巫女殿は、我国に帰順をすると?」
「ええ、その方が、そちらにとっても、都合が良いはずですわ」
「まあ、そうだ」
「しかし、条件があります。その首は王都で晒した後・・・」
やがて、第二王子は、凱旋し、ユメミの首は、城門に吊された。
その後、密約の通り。ムカデ族に返され、丁重に埋葬された。
その埋葬は、ダンデが穴を掘り。オルテが花を手向けたと云う。
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