表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/261

95 魔力植物調査 二日目⑧ 【side マヤゴン魔術騎士団長】

 第三区域の救護所までアーノルド殿下とシブロン殿下を運び入れたオレは、第四区域からの報告を待つ。

 救護所には、負傷した者の為に、小さい天幕が張られているので、そこにシブロン殿下とアーノルド殿下と別々の天幕に入れ、第三区域担当の回復魔法を使える者を呼び寄せる。


 同時に二人の幼い殿下が運び込まれた第三区域の救護所は、慌ただしく人が行き交う。

 オレは救護所の責任者に追加で指示を出す。


「落ち着いた方がいい。大型の魔物と遭遇した第四区域の団員に負傷者が多いから、第四区域の救護所に応援を呼ぶように手配を頼む。後は、第一、第二区域の救護所からも手が空いている者がいるなら、応援を呼んでおいた方がいい。重傷者が多いから、人手がいるはずだ」


「か、かしこまりました」


 眼鏡をかけた白髪混じりの背の低い男性が第三区域の救護所の責任者だ。

 彼も、皇子殿下が二人も負傷して、万が一、命を落とすことになると自分の首、この場合は物理的に首が飛ぶと考えているから必死の形相で、オレの指示に従う。


 オレは穴から救出したアーノルド殿下とシブロン殿下の体温が低かったため、水魔法で身体、髪と衣類に付着していた、異臭の放っていた苔のついた汚れを洗い流した。その後、火魔法と風魔法の温風で一瞬のうちに乾かしてから、二人を横に寝かした状態で宙に浮かせて、安静に保ちながら救護所まで運んできた。移動中も少し高めの温度で保温をしていたのが功を奏したのか、救護所に到着する直前にシブロン殿下は意識を取り戻し、アーノルド殿下と共に救出されたことを確認してからまた眠ってしまわられた。


 詳しい説明は、シブロン殿下が快復してから聞けば良いだろう。


 シブロン殿下の治療はすぐに終わったようで、外傷も擦り傷程度で、低体温症の心配も早期治療で多少時間はかかるが、命に別状はないと報告が入った。


 オレは、アーノルド殿下の治療を行っている天幕の前で、腕を組んで治療が終わるのを待つ。



「気になるのは、額からの出血と……魔力の使いすぎ……か。体温もシブロン殿下を担ぎ上げていたから、アーノルド殿下自身は水に浸かっている時間が長かったようだな」


 春先の井戸水はかなり水温が低い。さぞかし、冷たかっただろう。

 オレは、救出した時の状況を思い返してみる。二人とも自発呼吸はできていたが、あの長年使用されずに放置されていた井戸と思われる中にあった汚れた水は飲み込んでしまっているだろう。


 アーノルド殿下の手足に打撲や骨折もあったから、何本か骨も折れているのだろう。


「風魔法で防御盾と防御層の訓練もしておくべきだったな……」


 訓練内容にそこまで組み込めていなかった、自分を殴ってやりたい衝動に駆られる。

 一つだけ功を奏したといえば、昨晩、アーノルド殿下に行った処置だろうか。

 咄嗟に「おまじない」と言ってしまったが、あながち嘘ではない。


 オレがアーノルド殿下にマーキングをこっそりしておき、そこから遠隔操作ができるように魔術を施しておいたのだ。

 まぁ、アーノルド殿下の皮膚に直接、触れることができれば、首元にこだわらずとも場所はどこでも良かったのだが……。ただ心臓に近くて殿下の脈を感じやすい場所の方が遠隔操作がしやすくなるというオレの持論により、首元にしただけのことだ。実証実験をしたことがないから、真偽はわからないが。オレの感覚的な思い込みという可能性もある。

 あれをしておいたおかげ、穴の中にいるアーノルド殿下に遠隔操作で防御層を作り、空中に持ち上げる作業も難なく行うことができたのだから、昨晩、アーノルド殿下の身体にオレの魔術マーキングをしておいたのは、正解だったのだ思う。


 その時。

 天幕から救護班の回復魔法を終えた人物が二人出てきた。何やら、渋い顔をしていて二人の表情が暗いことを確認すると、オレはアーノルド殿下の容態が良くない状況なのだと否応なしに感じ取ってしまう。


読んで下さりありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ