89 魔力植物調査 二日目②
昨日と同じように、今日も馬で移動して、調査する場所に到着したら馬から降りて植物を調査して、また移動……するというのを繰り返していた。
昼食も終わって、後は今日の野営地まで向かいながら最後の調査地に行くだけね。
何とか無事に二日目の公務が終わりそうで、安心していた。
その時。
ピュ~ドーーーーーン!
「おい! 第四区域から応援要請だ」
傍にいたスックソン第五騎士団長が騎士団員に知らせる。
今、アーノルド殿下と一緒に動いている第五騎士団員を一度集め、スックソン騎士団長は指示を飛ばす。
「ここにいる半分の者は第四区域まで、応援に向かってくれ。あの合図は大型魔物に遭遇しているということだ」
え? 大型の魔物? それは早く応援に行かないと負傷者が出てしまうわね。
「アーノルド殿下。第四皇子がこちらに避難されて来られると思いますので、一緒に固まっていただけますでしょうか。その方が安全ですし、お守りしやすいのです」
「わかりました」
スックソン騎士団長は、私の傍を離れることなく第四皇子の到着を待っている。指示を受けた第五騎士団の半分は馬に跨り、颯爽と森の中へ消えて行った。
大丈夫かしら。第四皇子……。副団長の馬に乗って移動していると言っていたから、馬でこちらに避難しているのかもしれない。
しばらくすると、子供を抱えながら騎乗する人の姿が、小道から見えてくる。
あれが……第四皇子ね。名前は確か……シブロン皇子殿下。
私はライガーンから聞いていた名前を思い出す。
馬から降りていたアーノルド殿下は自分よりも小柄な少年を見る。……ひとまず、本来ならば、アーノルド殿下とは面識があるのだから、知り合いのように接しないといけないわね。
「アーノルド殿下。恐れ入りますが、あちらの少し広い場所にシブロン殿下と共に、参りましょう」
スックソン騎士団長が指差す、少し開けた場所を残りの騎士団員とスックソン騎士団長と皇子二人で移動して、固まっておく。
その時。
ピュ~ピュ~~ドーーーーーーーン!
新たな要請がかかる。
「おい、いったいどうなっているんだ。大型魔物を討伐する前に次の大型魔物に遭遇したようだぞ」
スックソン騎士団長も予想外の事で、困惑している。
「仕方ない。討伐せずに撤退の合図を送れ!!」
スックソン騎士団長は、騎士団員に第四区域にいる自分たちの部下である騎士団員に撤退するように合図を出す。
……それなのに。
再び、応援要請の合図が第四区域から送られてくる。
「くそ、撤退すら厳しいのか……」
スックソン騎士団長は唇を嚙みしめる。部下に負傷者が出るのも時間の問題よね。
私は、自分の判断が正しいとは思わないけれど、このままここで待機していても手をこまねくだけの状況だと思い、スックソン騎士団長に話を持ちだす。
「スックソン騎士団長。ぼくとシブロンはここで待機しております。最低限の騎士団員だけ護衛にここにつけていただき、どうぞスックソン騎士団長は撤退できるように援護してきてください」
「しかし、それはあまりに危険すぎます。その提案を受け入ることはできません」
そうやり取りをしている間にも、再び応援要請の合図が第四区域から送られてくる。
「どうか、お願い致します。ぼくは身を守るくらいの魔法は使えますので、第四区域から皆さんが撤退できるように救援に向かって下さい」
「……かしこまりました。どうぞ、この場所から動かないでください、殿下。すぐに戻ります」
スックソン騎士団長は、渋々だけど了承し、アーノルド殿下とシブロン皇子の元に五人の騎士団員を残して走り去っていった。
第四区域にはマヤゴン魔術騎士団長もいるのよね? 彼の強さは知っているけれど、大型の魔物の強さを私、リアナは知らない。
苦戦しているのかしら……皆の無事を願って、弟であるシブロン皇子の肩を引き寄せ、広場で固まって静かに待つことにした。




