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81 馬術訓練

 遠くに厩舎(きゅうしゃ)から引き連れられて乗馬訓練場に向かう馬が見える。


 そう! 今日はアーノルド殿下の中のリアナの馬術訓練の初日。

 まさか、魔力植物調査が騎乗だとは考えてもいなかったわ。

 一応、馬を乗りこなすことができなかったら、第四皇子と共に馬車で移動することになるらしい。

 それは、それで兄弟仲が深まりそうだから魅力的だけれど……。


 ひとまず、背が伸びている最中のアーノルド殿下でも以前、乗りこなしていた小さな愛馬がいるらしく、その馬を用意してもらう。

 ライガーンからは、今日の担当教官は、スックソン第五騎士団長だと聞いている。

 リアナとしては面識がないけれど、魔力植物調査の時にアーノルド殿下の第三区域を担当するのが第五騎士団とのことで、ライガーンが意思疎通がしやすくなるように配慮してくれて、担当教官をお願いしたと聞いている。


「おはようございます。スックソン騎士団長!」


 私は、乗馬訓練場ですでに騎乗している一人の男性に挨拶をする。


 えへへへ。第五騎士団長がどの方なのかお顔はわかりませんでしたが、ライガーンに騎士団服の肩についているエポーレットで騎士団長か一目でわかりますよって教えてもらっていたから、この方が担当教官で間違いないと今回は遠目でもわかったわよ。

 私も、きちんと日々、学習しておりますから。


「アーノルド殿下。おはようございます」


 スックソン騎士団長は馬から降りて、アーノルド殿下の傍まで馬の手綱を引きながら歩いてやってくる。


 へぇ~。やっぱり騎士団長はベン騎士団長やマヤゴン魔術騎士団長に限らず、堂々たる体躯の人なのね~。

 背の低いアーノルド殿下は目線をやや上にもっていく。

 スックソン騎士団長は短髪がよく似合う、やんちゃな感じの顔つきをしている。

 やんちゃな顔をしているのに、一つの団を任せられているのだから実力も人を引っ張る能力も長けているはずよね。確か、第一皇子の剣術指導もされているとライガーンが言っていたわね。


「殿下。馬に乗るのは久しぶりだとライガーンから聞いておりますが?」

「えぇ。頭をぶつけたせいか乗り方が思い出せません。申し訳ありませんが、初心者だと思ってもう一度ご指導宜しくお願いいたします」

「まぁ、乗り方を忘れたと言っても、なんとなく身体が覚えているでしょうから何とかなるでしょう」


 にこやかにスックソン騎士団長は心配しなくても良いと笑顔を返してくれたけれど、それに私は応えられないわ。

 だって、リアナとしては初めてなんだもの!! あまり期待しないでちょうだい。

 運動神経がそこそこ良かったらしいアーノルド殿下ですが、今は平凡な聖女が入り込んでおりますからね。


 ■■■


「おっかしいですね~」


 ほら、やっぱり。

 あまり期待しないで欲しかったわ。不出来な自分が情けなくなるもの。

 以前のアーノルド殿下と比較するのは止めて欲しい。


「私の教え方がよくないのかもしれませんね」

「いえいえ、スックソン騎士団長の教え方ではなくて、本当に馬の乗り方を忘れてしまっているんです!」


 私は、彼の責任ではないことと強く否定する。

 今日は、馬に乗ってゆっくりポコポコと乗馬する練習だけで終わってしまった。

 スックソン騎士団長の予定では、愛馬に跨って、近くの林まで往復して駆けて行こうと計画していたらしいが、そこまでの技術の習得はできなかった。


「まぁ、まだ魔力植物調査まで時間がありますから、それまでには殿下の愛馬で縦横無尽にどこにでも駆けることができるようになると思いますよ!」


 スックソン騎士団長は褒めて伸ばすタイプの教官のようで、問題ないと背中を後押ししてくれる。

 私も、日々、日進月歩。少しずつ成長していければ嬉しいし、乗馬初体験なのに馬に乗って常歩ができるようになっただけでもすごいことなのよ!


 もっと自分で自分を褒めてあげたいくらいだわ!!


 そう意気込んで、残り少ない日数でどうにか馬に乗って、ゆっくりなら駆けられるようにはなり、魔力植物調査の日を迎えることになった。

読んで下さりありがとうございます!

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