79 ライガーンの担当救護所
「それでは、話を続けさせていただきますね」
アーノルド殿下の中にいるリアナとしては、殿下の弟との初対面だから気持ちが高ぶってしまったけれど、本題はここからよね!
「はい。お願いします」
「今回は四人の皇子がいらっしゃいますので、調査する森を北から南まで順番に四つの区域に分けて、北から順番に第一皇子、第二皇子……といった感じに担当が振り分けられました」
「へぇ、何だか担当区域がわかりやすくていいんじゃない?」
「まぁ、そうですね。森の東地点から出発して西に向かって移動していくので、わかりやすいと言えばそうかもしれません。まず一番北側の担当が第一皇子の第一区域ですね。この地域は山脈から吹き降ろしてくる冷たくて強い風が発生しやすいのですが、山脈からの雪解け水や川も多いので水辺に生息する魔力植物を調査します」
「寒い地域なんだね。体力の消耗が激しそうだね」
「そうですね。でも、騎士団もそうですが第一皇子も普段から鍛錬を積んでおりますので、問題はないと思います。そして、私は、第一皇子殿下の区域の第一救護所にその日は配属されておりますので、アーノルド殿下とは別行動になります」
「え⁉ そうなの⁉」
私は、アーノルド殿下の担当する区域の近くの救護所か隣接する救護所にライガーンが配属されると軽く考えていたので、一番遠い北側を指差されて少し動揺してしまう。
「殿下。ご心配がおありですか?」
「ううん。そういうわけではないけど……何となく、怪我をしたり、体調が崩れて治療してもらうのはライガーンかなって勝手に思い込んでいたから、驚いただけ」
いや、内心はかなり動揺している。いつも傍にいて、耳元でアドバイスをしてくれる人がいないと咄嗟に誰だか話かけられてもわからない可能性がある。
私……大丈夫かしら。
「殿下が、頭をぶつけられて、記憶が曖昧なことは騎士団に周知されておりますので、万が一どなたと会話をしているかわからなくても、失礼には当たらないかと思いますのでご安心ください」
ライガーンは私の懸念していることを表情から読み取ったのか、安心するような言葉をかけてくれる。
いつもさりげなくフォローしてくれる彼の優しさに甘えてばかりいたことに、今更ながら感謝する。
そうよね。ライガーンがいつも傍にいるとは限らないのだから、しっかりしなさい! リアナ!!
私は、コクリと頷くとライガーンの説明を続けて聞くことにする。
「じゃあ、次のこの区域がパンハー第二皇子が担当するってことだよね?」
私は、気持ちを切り替えて、北側から一つ南に下った地域を指差す。
あぁ~。思い出したくないけれど、パンハー第二皇子とはリアナとしての初対面は最悪だったわね。剣術訓練でこてんぱんに痛めつけられて打撲したことも併せて思い出してしまったわ。
読んで下さりありがとうございます!




