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78 まだ見ぬ弟

「そういえば、午前中に魔力植物調査の会議があったんでしょ? 担当区域が発表されたんだよね?」


 私は、ふと午前中にライガーンが会議に参加していたことを思い出した。


 まぁ、どこの地域に当たっても、土地勘が全然ないから担当区域が決まってから詳しく地図を見ないとさっぱりわからないんだけどね。


 そんな、私の考えが伝わったのか、ライガーンはティータイムで使い終わった食器を下げるように、廊下に控えていた侍従と侍女に声をかける。


 あ……もう少し、のんびり、まったりと休憩していたかったけれども、綺麗さっぱり片づけていく様を見て、ライガーンも仕事モードになっているから集中したいのねと理解する。


 侍女が綺麗に片づけた後、侍従が持ってきてくれた地図をライガーンは机上に広げる。

 土地勘のない私には地名だけ言われてもさっぱりだから、とても助かるわ! さすがね、ライガーン!

 私ののんきな気分とは打って変わって、ティータイムを経てリラックスできたはずのライガーンの美しい顔の眉間に皺が寄っている。


 あら? これは、何か良くないことが発表されたということね。

 まぁ、ひとまずライガーンからの説明を聞くしかないわね。


「殿下、お待たせいたしました。こちらが、担当区域を記入した地図になります」


 目の前に広げられた地図を見る。すでに赤色で線が記入されていることに気がつく。


「まず、今回、参加される皇子は第一皇子殿下、第二皇子殿下、アーノルド第三皇子殿下。……そして、第四皇子殿下の全ての皇子になります」

「え? 第四皇子って、アーノルドの……いや、ぼくの弟なんだよね? 二つ年下だからまだ出ないと思っていたんだけど、今年、参加するの?」

「えぇ。私も驚いたのですが、今年から現場に出て調査に加わるとのことです」


 ライガーンも予想外のことだったのね。現地調査に加わるということは、ひょっとしたら剣術や魔法が上手に使いこなせているのかもしれない。今の私は、まだまだ以前のアーノルド殿下とは比べ物にならないほど技術面に心配があるから、第四皇子が私の技術をすでに追い抜かしている可能性もあるわね。


「そういえばさ。頭を打ってから、一度も弟には会っていないから、魔力植物調査に行く前に顔を合わす機会ってあるのかな」


 私は、弟と呼ばれている人物の顔が全くわからない。当日、久しぶりに会うことになる兄が、弟に気が付かずに会話もままならないなんてことがあったら良くないんじゃないかしら。


「……そうですね。一度、お会いする場を設けてみましょうか。実は、私自身も久しぶりにお会いしたいと思っておりました」

「え!? 本当? 是非、時間を作ってもらえると嬉しいな」


 良かったわ~。これで、顔が一致できるからどの子が弟なのか覚えることができるわね!

 私は、まだ認識できていない同じ母から生まれたと言われている弟に会えるのが、嬉しかった。


 アーノルド殿下のようなお顔立ちだったら、さぞかし可愛らしいのでしょうね! 

 孤児院にいた時に、小さい子の面倒はよく見ていたから楽しみだわ!


 私は、まだ見ぬ弟のイメージ像を膨らましてうきうきしてくる。

読んで下さりありがとうございます!

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